Linux Foundation、Agentic AI Foundation（AAIF）設立を発表 ——MCP・goose・AGENTS.mdが初期の中核プロジェクトに

Linux Foundationは2025年12月9日、Agentic AIの発展を支える新たな組織として「Agentic AI Foundation（AAIF）」を設立したと発表した。AAIFは、Agentic AIが透明かつ協調的に進化するよう、中立かつオープンな基盤を提供することを目的としており、設立にあわせてModel Context Protocol（MCP⁠）⁠、goose、AGENTS.mdという3つの主要オープンソースプロジェクトがAAIFに寄贈された。

Linux Foundation Announces the Formation of the Agentic AI Foundation (AAIF), Anchored by New Project Contributions Including Model Context Protocol (MCP), goose and AGENTS.md - Linux Foundation
同タイトルのニュースが、Agentic AI Foundationのサイトでも公開されている

Today we launch the Agentic AI Foundation (AAIF) with project contributions of MCP (@AnthropicAI), goose (@blocks) and https://t.co/jBPxH1YTJa (@OpenAI), creating a shared ecosystem for tools, standards, and community-driven innovation.

Learn more about this major step toward:… pic.twitter.com/1mNeV3W4SR
— The Linux Foundation (@linuxfoundation) December 9, 2025

AAIFはLinux Foundationの下に設置された「directed fund」であり、Anthropic、Block、OpenAIの共同設立のもと、Google、Microsoft、Amazon Web Services（AWS⁠）⁠、Cloudflare、Bloombergなど複数の企業から支援を受けて運営される。

MCP（Model Context Protocol）は、AIモデルを外部ツールやデータ、アプリケーションに接続するためのオープンプロトコルであり、Anthropicが2024年11月に公開して以降、採用が急速に進み、1万を超えるMCPサーバーが公開されている。Claude、Cursor、Microsoft Copilot、Gemini、Visual Studio Code、ChatGPTなど複数の主要プラットフォームでの採用や、AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Cloudflareといったインフラ提供者によるデプロイ支援もおこなわれている。AnthropicはMCPをAAIFに寄贈することで、オープンかつ中立でコミュニティ主導のインフラとして維持する意図を示している。寄贈後もMCPのガバナンスモデルは変更されず、メンテナはコミュニティの意見を重視して透明性の高い意思決定を継続すると述べている。

Donating the Model Context Protocol and establishing the Agentic AI Foundation - Anthropic

なお今回の発表にあわせて公開されたGitHub Blogでは、MCPがクライアントとツール間の「n × m」統合問題を解決するベンダーニュートラルなプロトコルであることを改めて紹介している。MCPが公開されてからOAuth対応や長時間タスクのサポート、ツールスキーマとサーバー発見の整備、リファレンス実装の拡充、MCP Registryによる信頼できるサーバー発見といった改善が進み、実務での採用が促進されたと指摘している。

MCP joins the Linux Foundation: What this means for developers building the next era of AI tools and agents - GitHub Blog

gooseは言語モデルと外部ツールやデータを組み合わせ、端末やローカル環境を優先して動作するローカルファーストのエージェントフレームワークである。BlockはgooseをAnthropicのMCPのリファレンス実装と位置づけ、リリース以来世界中の数千人の開発者を惹きつけていると述べている。AAIFへの移行後もgooseはオープンソースライセンスと商用に配慮した条件を維持しつつ、中立的なガバナンスとより広いコミュニティ参加による開発を促進すると説明している。

Block, Anthropic, and OpenAI Launch the Agentic AI Foundation　- Block

AGENTS.mdは、エージェントの振る舞いを定義するMarkdownベースのガイドラインである。OpenAIによれば、すでに6万以上のプロジェクトやエージェントフレームワークで採用され、Codex CLIやAgents SDKなどの関連ツールと併せて相互運用可能なエージェントエコシステムの構築を支援していると説明している。上記Anthropicのブログでは、CLAUDE.mdとの今後の関係について直接の言及は見当たらなかったが、今後Anthropicでの採用が進むかが注目される。

OpenAI co-founds the Agentic AI Foundation under the Linux Foundation - OpenAI

AAIFには様々な企業が参加しており、AAIFがクラウド、開発ツール、エンタープライズ、セキュリティ、オープンソースエコシステムなど多様な分野を横断して連携する場となることが期待される。