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Linux 6.18リリース⁠2025年最後のメジャーアップデート

Linus Torvaldsは11月30日(米国時間⁠⁠、2025年最後のメジャーカーネルバージョンとなる「Linux 6.18」を公開した。通常のスケジュールどおり、約2ヵ月の開発期間と7本のリリース候補版(RC)を経ての正式リリースとなる。

Linux 6.18のハイライトは以下の通り。

  • スラブアロケータに2個の空きオブジェクトの配列で構成される「シーブ(sheaves⁠⁠」というCPUごとのキャッシュ機能を追加し、メモリ割り当て/解放のパフォーマンスを向上
  • SSDやHDDといった低速なブロックデバイスの前段に配置する高性能な永続メモリキャッシュ「dm-pcache」⁠DeviceMapperに新たなターゲットとしてdm-pcacheを追加)
  • pidfdと同様に、プロセス名前空間をファイルハンドルとして管理可能にname_to_handle_at()およびopen_by_handle_at()を使用して名前空間ファイルハンドルのエンコード/デコードを実現)
  • TCPにおける正確な明示的輻輳通知(Explicit Congestion Notification:ECN)のイニシャルサポート
  • TCP接続の転送中データを暗号化するGoogle開発のセキュリティプロトコル「PSP(PSP Security Protocol⁠⁠」のサポート
  • スワップテーブル(swap table)および新しいスワップ抽象化レイヤの導入によるスワップパフォーマンスの向上
  • UDP受信パフォーマンスの改善(受信側のUDPスタックの最適化)
  • 暗号署名付きBPFプログラムのイニシャルサポート(権限のないユーザも検証済みのBPFプログラムをロード可能に)
  • NFSサーバのI/Oキャッシュを無効にするプロトタイプ … キャッシュの削除によりNFSサーバの双方向スケーリングが容易に
  • メモリ管理を行う構造体struct pageの改善に向けた最初の取り組みとしてmemdesc_flags_tの使用を開始(struct pageの肥大化を解消する施策の第1段階、将来的にはstruct pagestruct slabstruct folioから分離される予定)
  • Bcachefsのメインラインからの完全削除
  • AndroidのBinderドライバのRustによる書き換えなど、メインラインにおけるRustコードの増加

なお、Linux 6.18は2025年最後のメジャーアップデートとなるため、LTS(長期サポート版)になる可能性が高い。

Linusはすでに次のカーネルとなる「Linux 6.19」のマージウィンドウをオープンしており、11/30時点で34件のプルリクエストが保留中になっているという。なお、Linux 6.19のマージ期間中である12月8日~10日には東京でLinusも参加する「Open Source Summit Japan」および「The Linux Kernel Maintainer Summit」の開催が予定されている。Linusは「マージウィンドウの大部分は旅行前に終わらせて、それほど影響が出ないようにするつもりだが、どうなるかはわからない。RC1のリリースは遅れる可能性はあるが、だからといって遅れて届くプルリクエストを受け付けるわけじゃないから」と影響を最小限に留めるつもりでいるとしている。

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