GitHub⁠Actionsの料金体系変更を発表 —⁠—フィードバックを受けてセルフホストランナーへの課金は再検討へ

GitHubは2025年12月16日、GitHub Actionsの料金体系を見直し、2026年1月1日にGitHubホストランナーの料金を最大39%値下げするとともに、2026年3月1日からセルフホストランナーに対して1分あたり0.002ドルの「Actionsクラウドプラットフォーム」課金を導入する計画を発表した。

しかし、セルフホストランナーにも時間単位の課金が発生することに対して多くの懸念や批判が寄せられたことを受け、GitHubは2025年12月17日にセルフホストランナー向けの課金導入をいったん保留し、コミュニティからのフィードバックを踏まえてアプローチを再検討する方針を表明した。一方で、GitHubホストランナーの料金値下げについては、予定どおり2026年1月1日から実施するとしている。

GitHubは、2026年1月1日からGitHubホストランナーの利用料金をマシンタイプに応じて最大39%引き下げるとしている。無料利用枠(各プランに含まれる分の利用時間)は、この値下げ後も変更されない。あわせて2026年3月1日からは、セルフホストランナーの利用に対して1分あたり0.002ドルがかかる「GitHub Actionsクラウドプラットフォーム」課金を導入する計画であった。

この変更で料金が発生するジョブ実行シナリオとして、プライベートリポジトリで標準のGitHubホストランナーまたはセルフホストランナーを利用するジョブ、および大きなGitHubホストランナー上で実行されるジョブが挙げられている。一方、パブリックリポジトリでの標準GitHubホストランナーまたはセルフホストランナーの利用は引き続き無料であり、GitHub Enterprise Serverではこの変更の影響を受けないことが明示されている。また、2026年3月1日以降は、セルフホストランナーの利用も各プランに含まれる無料利用枠に含まれ、Linux/Windows/macOSの標準ランナーと同様に、その無料分から消費されると説明されている。

今回の発表後、セルフホストランナーに対する新たな課金導入に関して、短期間で多くのユーザーから懸念や批判が寄せられた。たとえば、セルフホストランナーはユーザー自身が管理・運用するインフラであるにもかかわらず、その利用に対して追加の課金が発生することへの疑問や反発などがあった。

そのようななか、GitHub SVPのJared Palmer氏は、全体の96%の顧客は今回の変更による請求額の変化を受けないと説明している。具体的に、影響を受ける残り4%のActionsユーザーのうち、85%は請求額が減少し、15%は請求額が増加するが、その増加額の中央値は13ドル程度と述べている。個人ユーザー(FreeおよびProプラン)でみると直近1カ月にプライベートリポジトリでGitHub Actionsを利用したユーザーのうち、0.09%のみが料金増加の対象となり、その増加額の中央値は月あたり2ドル未満であるという。また、この影響は現行プランに含まれる無料分の利用時間(約33時間分のGitHub計算リソース)を使い切ったあとの追加利用に対して発生するものであるし、パブリックリポジトリ上での無料利用には影響しないことを改めて説明している。さらに、同じ個人ユーザー群のうち2.8%は、この変更により月額コストが減少し、残りは影響を受けないとのこと。

ただ、こうしたフィードバックを受け、冒頭で述べたようにGitHubは2025年12月17日にセルフホストランナー向け課金導入をいったん保留し、コミュニティからのフィードバックを踏まえてアプローチを再検討する方針を表明した。

Jared Palmer氏はXへの投稿の中で、GitHub Actionsが多くの開発者にとって重要なワークフローを担う基盤であり、その信頼に応える責任があるとしたうえで、今回の対応はその責任を十分に果たすものになっていなかったとコメントしている。さらにActionsは数百万の開発者にとって不可欠なインフラであり、直近1年間だけでもオープンソース支援のために115億ビルド分(約1億8400万ドル)相当のビルド時間を無償提供してきた一方で、サービスは無料ではないと指摘している。ホストランナーとセルフホストランナーのいずれについても、ログやアーティファクト、キャッシュ、Redis、データ転送、エンジニアリング、サポートなどを含むコントロールプレーンの裏側には現実的なコストが発生しているとし、そのうえで、エコシステム全体と連携しながら、こうしたコスト構造に見合った適切な料金体系を見いだす必要があると述べている。また、今回の価格変更についてコミュニティから事前に十分なフィードバックを集める機会を逃したことを「大きな失敗」であると認め、今後はフィードバックをより丁寧に取り入れながら改善していくとしている。

現在GitHubはGitHub Community Discussionsでもこの問題に関するフィードバックを収集している。こうしたフィードバックを踏まえて、セルフホストランナー向け課金の在り方を再検討するとともに、GitHub Actionsの料金体系全体を見直していくものとみられる。

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