救国!日本の「技術」「知恵」
−転換期を迎えた技術大国の顔−

[表紙]救国!日本の「技術」と「知恵」−転換期を迎えた技術大国の顔−

紙版発売

B6判/288ページ

定価1,738円(本体1,580円+税10%)

ISBN 4-7741-1962-8

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書籍の概要

この本の概要

技術大国と呼ばれた日本が技術の分野でも低迷を始めてから,ずいぶん経ちます。かつての看板技術は他国に移転された結果そちらの方が勢いを増してしまい,いまでは逆に圧されているほどです。現在の日本に必要なキーワードは「メタ技術」です。技術の技術,知恵の知恵と言い換えることもできるでしょう。その追求なくして,この苦境からの脱出などあり得ません。

こんな方におすすめ

  • 技術とは何か知りたい方
  • 技術とコンテンツについて理解したい方
  • 自分の道を探っている方

著者の一言

ほとんどの日本人が,近視眼的に見れば,現在の日本は戦後以来一貫して成長してきたもののバブルでつまずき,そのうえ先が見えにくい状態にあると思っているだろうが,長い目で見れば,いま日本は1つの転換期を迎えているに過ぎないのだとわかる。日本が,そして日本人が本来持っている特性――特に「技術」と「知恵」をよく理解することで,また新しい時代が開ける。本書は,多数の卑近な例から出発して,日本人に本来備わっている技術と知恵の本質を引き出すことを目的とし,次の時代へと進む道標の1つとしたものである。

目次

第1章 日本の技術は衰え始めているのか?

  • 1 コピー製品の氾濫 
  • 2 大量均一に生産する能力と少量均一に生産する能力 
  • 3 アメリカ人の典型的な考え方 
  • 4 日本流とアメリカ流 
  • 5 アメリカにおける初等教育の実際 
  • 6 国民性を決定づける教育の問題 
  • 7 日本における均一化の進行 
  • 8 ハードとソフトの両面から見る日本の国力 

第2章 優雅さを持ったデビュー

  • 1 芸術に見る自由,自主性,多様性 
  • 2 浮世絵に見る技芸と芸術性 
  • 3 日本は第二文化の国か? 

第3章 優雅なデビューから鬼の顔のデビューへ,そして崩壊へ

  • 1 中国の影からヨーロッパの影へ 
  • 2 初期段階におけるヨーロッパとの交流 
  • 3 文化を輸出するための条件 
  • 4 明治維新後の欧化政策 
  • 5 熾烈な試験制度の功罪 

第4章 顔のない国家としてのデビュー

  • 1 アメリカの影 
  • 2 文化というよりも社会経済的な要因から見た日本 
  • 3 共産資本主義国家の素地 
  • 4 単一路線としての制度 
  • 5 共産資本主義国家の誕生 
  • 6 なぜ日本という国家には顔がなくなったのか? 

第5章 拡大と停滞の繰り返しによる経済発展

  • 1 いかにして世界は動き出したか? 
  • 2 第一次世界大戦と第二次世界大戦 
  • 3 社会主義陣営の崩壊 
  • 4 国家総総務課主義社会は崩壊するか? 
  • 5 新しい顔が欲しい 

第6章 変化は突然に,そしてドラマティックにやってくる

  • 1 ドッグ・イヤーの現実 
  • 2 規格という考え方 
  • 3 大学には工学部があって技術学部はないのか? 
  • 4 技術とは利用手段である 
  • 5 情報技術の読み書き算盤(そろばん) 
  • 6 既成社会における情報技術の影響 

第7章 通貨制度と技術革新の変遷は酷似している?

  • 1 通過の歴史に見る標準化とその後 
  • 2 通貨の原理と動向 ――信頼される現金通貨の発行場所 
  • 3 通貨は現金のみか? ――各種カードの決済手段としての位置づけ 
  • 4 仮想社会における電子マネーの基本的構造 
  • 5 電子マネーを用いた決済秩序の確立 

第8章 小さく持ち運べる技術が加速する時代

  • 1 ユビキタスとは何か? 
  • 2 ユビキタスの道具の移り変わり 
  • 3 なぜ携帯電話は急速に進化したか? 
  • 4 かくして携帯電話は普及した 
  • 5 ユビキタスネットワーク環境と片手親指文化 
  • 6 指来す(ユビキタス)ネットワーク文化が日本と世界を変える 

第9章 重要なのは技術(テクノロジー)か? 内容(コンテンツ)か?

  • 1 コンテンツとは何か? 
  • 2 コンテンツは状況により変化する 
  • 3 顔を作るための努力 
  • 4 戦争(鬼)のコンテンツ(顔) 
  • 5 次世代の日本の顔 

第10章 あらゆる技術はロボットに集約される

  • 1 残された最大のフロンティア 
  • 2 日本人の魂の根源とロボット 
  • 3 日本で進化を続けるロボットの定義とは何か? 
  • 4 人の心の在(あ)る場所とロボット 
  • 5 ロボット文化創造の源 

著者プロフィール

大島邦夫(おおしまくにお)

1947年,東京都に生まれる。1979年,米国ヒューストン大学理学系大学院博士課 程修了。Doctor of Philosophy in Mathematics(Ph. D)。現在,東京理科大学経営学部 および同大学院教授。専門は応用数理および情報科学。『各年度版[最新]パソコン用 語事典』(技術評論社刊)の改訂および執筆を行っているほか,著書多数。

著書