組織のネジを締め直す鉄壁の「報・連・相」
2006年3月29日紙版発売
是本信義 著
四六判/208ページ
定価1,518円(本体1,380円+税10%)
ISBN 4-7741-2731-0
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書籍の概要
この本の概要
虚偽情報の流布,粉飾,情報漏えいなど企業の不祥事が連日取りざたされています。海上自衛隊の元幹部で大手警備保障会社の支店トップを務めた著者は,これら企業リスクを発生させている原因は「報・連・相の不在」にあると説きます。
「報・連・相」は新入社員のキホンのキではありません。膨大な資金と,ときに数十万もの人員を動員する究極のプロジェクト=戦争の行方すら左右する情報ツールです。
本書によって,仕事上のリスクを叩き,毎日の業務をスムーズに進めるための「報・連・相」のあり方がわかります。
こんな方におすすめ
- 組織における情報の受け渡し方/扱い方を学び直したい方
- 組織の不祥事防止策をお探しの方
- 経営職や管理職などマネジメントに携わっている方
目次
第1章 なぜ,軍隊の「報・連・相」が最強なのか
- 1 寄せ集め部隊を一つにまとめあげる【作戦思想の統一】
- 部隊間の作戦思想の統一,連係が不可欠
- 報・連・相とは問題解決のプロセスのこと
- 2 すべてはトップの?指揮?のためにある【意思決定と命令】
- 報・連・相は組織運営をスムーズにする源泉
- 意思決定は情勢判断と決心の二つのプロセスからなる
- 報・連・相があってはじめて「命令」を下せる
- 3 時々刻々,作戦を変更できるようにする【作戦のフォロー】
- ビジネスサイクルで報・連・相を考える
- 軍隊では「DO」と「SEE」は表裏一体
- 報・連・相の核心を突いた『作戦要務令』
- 4 報・連・相の不在が国運を左右することも【参加部隊の協同連係】
- レイテ沖海戦――6者分進合撃の壮大なオペレーション
- 情報が届かず作戦は支離滅裂のうちに終わる
- チームワークを欠いて,各個撃破の憂き目にあう
- コラム:戦史に学ぶ上司と部下の報・連・相
- ケース1:報・連・相の名人秀吉――信長と秀吉
第2章 情報の達人になるための「報・連・相」
- 1 情報の区別や連絡方法の使い分けに意味がある【定期・随時報告】
- ビジネスサイクルに活力を与える原動力
- 適切な意思決定には情報の腑分けが欠かせない
- 意外な落とし穴はプロジェクトが順調なときの報告
- 伝える相手によって報・連・相の性格が変わる
- 2 インフォメーションとインテリジェンス【情報要求と選択】
- インフォメーションは情報の資料に過ぎない
- プロジェクトに有効なのはセレクトされたインテリジェンス
- 3 報・連・相を支える正確な文書の書き方【報告の4W1H】
- 陸軍大将になるための条件
- 組織は文書で動いている
- 漏れ落ちのない文書作成のポイントをおさえる
- 戦史に残る報告は簡潔にして要を得ている
- 【事例…無意味な美辞麗句の羅列】
- 【事例…語り継がれる簡潔な名報告文】
- 4 「小田原評定」の会議では敗北は必定【会議と所望結果】
- 会議成功の陰にも報・連・相
- 【事例…当事者能力を疑わせる発言】
- コラム:戦史に学ぶ上司と部下の報・連・相
- ケース2:すれ違いの悲劇――信長と光秀
第3章 「報・連・相」ですべての危機に対処する
1 第一報が危機管理の明暗を分ける【報告と初動全力】
- 事故処置のポイントは「初動全力」に尽きる
- なにがなんでも,まず第一報を
- 【事例…年末にブリ850尾を殺した!】
- 2 内部告発が組織をさらに強くする 【告発と真相究明】
- 告発と誹謗・中傷を分けるもの
- 内部告発を受けたら真相究明に全力を
- 【事例…支社長,内部告発される】
- 3 情報に踊らされないための報・連・相 【情報収集と確認】
- 側近たちに情報をコントロールさせることの危険性
- 実力を付けると報・連・相はスムーズに
- 情報に対するトップの認識が状況を決する
- 【事例…幻の日米和平交渉】
- 孫子の教え――情報に費用を惜しむな
- 情報が混乱したら一切をご破算にして原点に戻る
- 4 知る必要のない者には徹底して知らせない 【秘密保全の体制】
- 情報の差で負けるはずのない者が負ける
- 【事例…ミッドウェー海戦を分けた情報収集力】
- 企業における情報流失の怖さ
- 軍隊では秘密区分を設け取扱者を制限する
- コラム:戦史に学ぶ上司と部下の報・連・相
- ケース3:報・連・相の欠如――宿将追放さる
第4章 危機への対応は悪い報告を最優先することではじまる
- 1 現場に示す目的は二つあってはならない 【攻略目標の明示】
- よい報・連・相は,よい人間関係から
- リーダーシップよりもフォローワーシップ
- 縄張り意識が思わぬ悲劇を生む
- 【事例…ガダルカナル島を知らなかった陸軍】
- 現場を混乱に陥れるだけの命令
- 【事例…二兎を追ったミッドウェー海戦】
- 希望的観測を排除することの重要性
- 【事例…決戦場を誤ったマリアナ沖海戦】
- 2 速やかな第一報に勝る報告はなし 【即時即決の報告】
- 鉄則はできうる限り速やかに第一報を送ること
- 【事例…日本海海戦の勝敗を左右した信濃丸の報告】
- 【事例…報告遅延が災厄を招いた第一次ソロモン海戦】
- 3 よい報告は急がず,悪い報告こそ最優先 【中間報告の励行】
- 中間報告は上司・部下の双方に役立つ
- 【事例…中間報告を欠き,大プロジェクトの受注競争に負ける】
- よい知らせは急がなくてもよい
- 【事例…The longest day――そのときヒトラーは?】
- 悪い知らせはオーバーに報告するぐらいがいい
- 4 スタッフにトラの威を貸してはいけない 【中央と現地の連絡調整】
- スタッフの権限が大きくなりすぎることの弊害
- 現場重視のモントゴメリー元帥の統率
- 権威を笠に着る社員に対してこそ報・連・相の徹底を
- ?幕僚は足で稼げ?という軍隊の金言
- 5 「結論」「経過」「自分の判断」の順で伝える 【結論冒頭の原則】
- 掛け合い漫才型の報告はもっとも非効率
- 前置きが長いと肝心の焦点がぼやける
- 「どうしましょう?」は自分の無能を告白すること
- 相談には常に代案を持って臨む
- 情報を確実に伝達するために復唱を励行
- メモをとることは情報の受け手,伝え手双方に有益
- 気配り報・連・相で上司の不安を解消
- 上司不在時の状況報告をより完璧にするポイント
- 6 報・連・相の不在が破滅を招く 【誤報と負の連鎖】
- 錯覚した情報を取り消せず大敗北に
- 【事例…海軍の大誤報――悲劇のフィリピン作戦】
- トップに届くことのなかった航空主兵論
- 【事例…報告を棚ざらしに――井上中将の左遷】
- 報・連・相の不徹底が国をも滅ぼす
- 【事例…ドイツ軍突然退却――マルヌの奇跡】
- 無責任・怠慢が対応の機会を失わせる
- 【事例…司令長官の怠慢――トラック島の壊滅】
- 臆病風に吹かれ,事実確認を怠り大混乱
- 【事例…司令長官,敵前逃亡す――ダバオ誤報事件】
- コラム:戦史に学ぶ上司と部下の報・連・相
- ケース4:軍司令官と師団長の相克――日本陸軍史上最大の汚点
第5章 以心伝心の「報・連・相」が強い組織をつくる
- 1 上司の意を察して先手を打つ 【補佐する心構え】
- 以心伝心の境地を目指すのも部下の務め
- 上司が多言しなくても仕事が順調に進んでいく組織
- 2 すさんだ関係ほど非効率なものはない 【組織統治と委任】
- 「委任」と「放任」を取り違えない
- 報・連・相は企業統治(ガバナンス)の要
- 上司自ら部下の中に飛び込んで真意を伝える
- 【事例…インパール攻防戦に勝利を呼び込んだスリム中将の統率】
- 3 軍隊は?命令違反?も奨励する 【独断専行と戦機】
- 上司の指示を待ってばかりいては勝機を逸する
- 信念を命令に優先させて勝ちをものにする
- 【事例…「余には,その信号は見えない!」――ネルソンの決断】
- コラム:戦史に学ぶ上司と部下の報・連・相
- ケース5:究極の報・連・相――世界最強艦隊を率いる指揮官への抜擢