現場の即戦力 基礎からの自動制御と実装テクニック
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熊谷英樹 編著
日野満司,村上俊之,桂誠一郎 著 - 定価
- 2,838円(本体2,580円+税10%)
- 発売日
- 2011.5.31[在庫なし]
- 判型
- A5
- 頁数
- 240ページ
- ISBN
- 978-4-7741-4681-2
サポート情報
概要
本書は「現場の即戦力」というシリーズ名の通り、自動制御を実際の場面で活用するために必要な知識を効率よく習得できることを目指しています。
自動制御の理論はやさしいものではありませんが、わかりやすい言葉を使って実用的な自動制御の考え方を学んでいただけるように、次の事柄に配慮しました。
- (1)豊富な具体例
- 自動制御を組み込んだ装置を開発したり制御実験を行ったりする際にすぐに役立つように、具体例を豊富に挙げて、出来るだけそのまま応用できるように工夫してありますので、実際の機械の制御やプロセス制御を構築する際の参考にしていただきたいと思います。
- (2)物理的イメージによるわかりやすい説明
- 本書では、自動制御の理論やシステムの特性をイメージで捉えて理解してもらえるように、数式やブロック線図の持っている意味をわかりやすく説明して、そこから物理的なイメージを持つことができるようにしてあります。
- (3)理解が進む内容構成
- 一般的な自動制御の本は、「数学→理論→数式での説明」という構図のものが大半でしたが、本書では、学生や技術者などが感覚的に自動制御の本質をマスターしてもらえるように、「具体的なモデル→式の立て方→やさしい解説」という流れになるように配慮しています。
- (4)必要最小限の数学知識の理解
- ラプラス変換や微分積分などの数学の知識が不足していて自動制御の学習をあきらめる人は少なくありません。数学があまり得意でない人たちでも、機器を自動制御するときに必要な知識を短時間で習得できるように、実際によく利用される具体例を挙げてやさしく説明してあります。
- (5)具体的な制御コントローラの構成法
- 自動制御のシステムを実際に作ろうとする人のために、どのようにして具体的にシステムを構成すればよいのか、というところにも焦点を当てています。従来の自動制御の教科書では数式から導かれる理論がメインとなり、実際にコンピュータ上に自動制御のコントローラをどのように実装すればよいのか、というようなことはあまり記述されていません。このため、具体的にどのように自動制御のコントローラを作ったらよいのか、ということが自動制御システムを構築するときの壁になっていました。
- (6)制御機器の構築法
- 実務に携わっている人たちの即戦力として役立つことを考えて、自動制御にはどのような機器が必要になるのか、また、自動制御の演算をするプログラムの構造はどのようにすればよいのか、という疑問に答えています。特に、コンピュータを使って自動制御を行うときに必要な機器の具体的な構成や、微分・積分を含むフィードバック制御プログラムを作るときのアルゴリズムについて詳しく述べ、自動制御装置の実装に必要なテクニックを紹介しています。
こんな方にオススメ
- 現場で自動制御装置に関わっている技術者
- 自動制御装置を学ぶ学生
目次
基礎編 自動制御の考え方とPID制御装置の作り方
1章 自動制御の考え方
- 1.1 電気ポットの温度の自動制御を考えてみよう
- 1.2 簡単な自動制御装置の構成
- 1.3 自動制御の意味とPID制御
- 1.4 コンピュータを使った自動制御
- 1.5 自動制御システムの構築方法
2章 PID制御装置の作り方
- 2.1 自動制御システムに使われるアクチュエータとセンサ
- 2.2 入出力インターフェース
- 2.3 PID制御のコンピュータプログラム
理論編 制御系の構築と解析方法
3章 古典制御の理論
- 3.1 システムの線形常微分方程式表現
- 3.2 ラプラス変換と伝達関数
- 3.3 物理モデルと伝達関数
- 3.4 物理系の標準形とアナロジー(類似性)
- 3.5 伝達要素の過渡応答と定常応答
4章 フィードバック制御系の設計
- 4.1 フィードバック制御系の基本構成
- 4.2 制御対象の実験的モデル
- 4.3 補償器によるフィードバック制御系の設計
- 4.4 むだ時間を含む制御対象のフィードバック制御系の設計
- 4.5 PID制御
5章 周波数応答とフィードバック制御系の安定性
- 5.1 周波数応答
- 5.2 周波数伝達関数
- 5.3 ベクトル軌跡
- 5.4 ボード線図
- 5.5 フィードバック制御系の安定判別法
応用編 自動制御のアプリケーション
6章 モータのダイナミカルモデルと外乱補償
- 6.1 直流サーボモータのモデル
- 6.2 直流サーボモータにおける外乱
- 6.3 外乱オブザーバによる外乱補償
7章 摩擦の同定と外乱オブザーバの実現
- 7.1 摩擦の同定
- 7.2 外乱オブザーバの実現
- 7.3 加速度制御の実現
8章 電動自転車における加速度制御に基づいた転倒防止制御
- 8.1 電動自転車の姿勢安定化制御
- 8.2 加速度制御と姿勢安定化制御
9章 反作用トルク推定オブザーバとその応用
- 9.1 反作用トルク推定オブザーバ
- 9.2 加速度制御と仮想インピーダンス制御
- 9.3 電気自動車における路面反力および路面摩擦係数の推定
- 9.4 電動車椅子におけるトルクセンサレスパワーアシスト制御
プロフィール
熊谷英樹
慶應義塾大学電気工学科卒業、同修士課程修了。東京大学大学院博士後期課程単位取得退学。日本教育企画株式会社 代表取締役社長。株式会社新興技術研究所 専務取締役。神奈川大学 非常勤講師。山梨県立産業技術短期大学校 非常勤講師。職業能力開発総合大学校 非常勤講師。メカトロニクス技術認定試験委員(NPO自動化推進協会)。著書に『MATLABと実験でわかる・はじめての自動制御』(日刊工業新聞社)、『現場の即戦力・使いこなすシーケンス制御』(技術評論社)、『はじめてつくるVisual C# 制御プログラム』(日刊工業新聞社)など多数がある。
日野満司
熊本大学工学部機械工学科卒業、熊本大学大学院工学研究科修士課程修了。現在、熊本県立技術短期大学校教授(機械制御技術科)、博士(工学)。日本機械学会畠山賞、日本機械学会研究奨励賞(適応制御手法の能動的制振問題への適用に関する研究)、日本機械学会教育賞(教科書「わかりやすい機械工学」による機械工学初心者教育の効果促進)などを受賞。著書に『わかりやすい機械工学』、『シーケンス制御を活用したシステムづくり入門 - わかりやすいPLC 活用技術』(以上、森北出版)、『振動工学の講義と演習』(日新出版)などがある。
村上俊之
1988年 慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業、1993年 同大学院理工学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学理工学部教授、博士(工学)。電気学会論文発表賞、電気学会産業応用部門活動功労賞などを受賞。著書に『電磁気工学』(培風館)、『コンピュータの数理(数理工学基礎シリーズ)』(朝倉書店)などがある。
桂誠一郎
慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科卒業、慶應義塾大学大学院理工学研究科総合デザイン工学専攻後期博士課程修了。日本学術振興会特別研究員(PD)、長岡技術科学大学電気系助教を経て現在、慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科准教授、博士(工学)。電気学会電気学術振興賞論文賞、丹羽保次郎記念論文賞、EPE-PEMC Best PaperAwardなどを受賞。著書に『MATLABと実験でわかる・はじめての自動制御』(日刊工業新聞社)などがある。