WEB+DB PRESS plusシリーズクラウドを支える技術
──データセンターサイズのマシン設計法入門

[表紙]クラウドを支える技術 ──データセンターサイズのマシン設計法入門

紙版発売

A5判/232ページ

定価2,838円(本体2,580円+税10%)

ISBN 978-4-7741-6730-5

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この本の概要

「クラウド」の設計/構築/運用の基本にスポットを当てた技術解説書。
本書は,超大規模クラウドの一つGoogleのデータセンターを題材に,数千台のサーバを「1つのマシン」として協調動作させるための,一連のハードウェア+ソフトウェア関連技術を厳選解説。
レイヤごとのポイント,コスト効率,消費電力,大規模な故障対策なども盛り込み,実稼働のシステムを支える基盤技術を丁寧に解き明かします。

Google規模のインフラを,ゼロから作り,実際に動かし続ける。
そこには,何が必要なのでしょうか。
巨大なクラウドを通して,エンジニアリングの源が見えてくる1冊です。

『The Datacenter as a Computer: An Introduction to the Design of Warehouse-Scale Machines, Second Edition』(Morgan and Claypool Publishers,2013)の日本語翻訳版。

こんな方におすすめ

  • 大規模システムに興味をお持ちの方々
  • コンピュータサイエンスに関心のあるエンジニアおよび学生の方々

著者の一言

※本書,前書き「日本語版に寄せて」より。

エレクトロニクスが大好きな子供としてブラジルで成長し,電気工学を学ぶ学生となった筆者は,日本の工業,とくにデジタルやコンピュータのテクノロジーの革新に関して日本の豊かな歴史をずっと尊敬してきました。このため,筆者達の著作の第2版が日本で広く手に入るようになることは,特別に名誉なことと感じています。
原著共著者を代表し,本書の翻訳にあたり英文を詳細にレビューし,日本語訳を作るにあたって,いくつもの誤りを正し,わかりやすい注釈を加えてくれた翻訳者のHisa Ando氏に感謝します。今日のクラウドコンピューティングサービスを実行するマシンの設計とプログラミングの入門書である本書が,日本の学生や実務家の方々の役に立つことを期待しています。

原著者を代表して Luiz André Barroso

本書に関するお知らせ

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日本語版に寄せて
エレクトロニクスが大好きな子供としてブラジルで成長し,電気工学を学ぶ学生となった筆者は,日本の工業,とくにデジタルやコンピュータのテクノロジーの革新に関して日本の豊かな歴史をずっと尊敬してきました。
第2版について
倉庫規模のコンピューティングに関して,ほぼ4年間の学会や業界での大きな発展を踏まえて,この講義の最初の主要な改訂版を出す運びになったことを嬉しく思います。
本書について
コンピューティングがクラウド(Cloud)に移行するにつれて,インターネットで使用されるコンピュータプラットフォームは宅配ピザの箱や冷蔵庫のような格好ではなく,倉庫(Warehouse)いっぱいのコンピュータ群になってきています。
Q&Aでわかる「超」基本!「クラウド」を支える技術
ここ数年,世界規模の高速接続の発達,インターネットサービス/Web技術の発展に加え,PCや,スマートフォンをはじめとしたモバイルの普及による端末バリエーションの充実と,わたしたちを取り巻くコンピューティグ環境は一変し,とても便利になりました。

著者プロフィール

ルイス・アンドレ・バロッソ(Luiz André Barroso)

ソフトウェアインフラストラクチャ,ストレージの可用性,エネルギー効率,ハードウェアの設計などを含む各種の技術分野で働いた経験を持つ。Googleのコンピューティングプラットフォームを設計するPlatform Engineeringチームの初代のマネージャである。Googleに移る前は,DEC(Digital Equipment Corporation,後にCompaqに買収された)の研究員を務めており,彼のグループは企業向けワークロードに対するプロセッサとメモリに関する開拓者的な業績を残している。この研究は,シングルチップのマルチプロセッサのPiranha(ピラニア)の設計に繋がり,現在は主流となっている,その後のマルチコアプロセッサの開発に影響を与えた。
ブラジルのリオデジャネイロのPontifícia Universidade Católica(PUC)とStanford Universityで講師を務め,University of Southern Californiaからコンピュータ工学の博士号,PUCから電気工学の学士と修士号を取得している。また,GoogleのFellow(フェロー),ACMとAmerican Association for Advancement of ScienceのFellowでもある。


ジミー・クライダラス(Jimmy Clidaras)

2004年から複数の世代のGoogleのデータセンターの技術開発プログラムを率いており,エネルギー効率とコスト効率に関する専門家。電力,冷却,組み込みソフトウェアとデータセンターのR&D技術を担当するGoogleのPlatform Infrastructure Engineeringチームの初代のディレクタである。元々は航空工学分野を学び,Harris CorporationやE-Systemsで通信や研究用の衛星搭載機器の開発を行っていた。
1984年に音響工学,1994年には機械工学(Florida Atlantic University,FAU)の学位を得ている。現在は,GoogleのデータセンターエンジニアリングのDistinguished Engineerであり,FAUのDistinguished Alumnus(優秀卒業生)でもある。彼は現在もデータセンターの研究に携わり,現状を飛躍的に変えるテクノロジーの研究を続けている。


ウルス・ヘルツル(Urs Hölzle)

Googleの初代のVice president of engineering(技術担当副社長)で,Googleの技術的な基盤の開発を率いている。現在は,Googleを動かしているサーバ,ネットワーク,データセンターとソフトウェアインフラストラクチャの設計と運用の責任者。いつも赤いソックスを履き,愛犬の放し飼いのレオンベルガー犬の(Googleの最初の支配犬/Top dogである)Yoshkaを伴っていることで知られている。
スイスで育ち,Eidgenössische Technische Hochschule Zürich(ETHZ,チューリッヒ工科大学)からコンピュータサイエンスの修士号を取得している。また,Fulbright scholar(フルブライト留学生)で,Stanford Universityで博士号を取得している。Stanford University(と後にSun Microsystemsに買収されたスタートアップの会社)の時代に,現在の多くの主要なJavaコンパイラで使われている基本的なテクニックを発明した。Googleに入社する前は,University of California, Santa Barbaraのコンピュータサイエンスの教授を務めていた。ACMのFellow,Swiss Academy of Technical Scienceのメンバー,US World Wildlife FundとOpen Networking Foundationの役員を務めている。


Hisa Ando

訳者
先端プロセッサの開発に40年間従事。シリコンバレーでSPARC64プロセッサの開発に従事。現在は,テクニカルライターとしてプロセッサやスーパーコンピュータ関係の報道や解説を中心に活動しており,『プロセッサを支える技術』(技術評論社,2011)などコンピュータアーキテクチャ関係の4冊の著書がある。また,ブログでプロセッサ関係の話題を紹介している。博士(工学)。