エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド

著者
竜盛博りゅうもりひろ 著
定価
2,068円(本体1,880円+税10%)
発売日
2015.10.8[在庫なし]
判型
A5
頁数
216ページ
ISBN
978-4-7741-7656-7 978-4-7741-7705-2

概要

世界のソフトウェア開発の本場で働けたら ―― エンジニアならば一度は考える可能性を実現するにはどうすればいいか?

アメリカで職を得るために必要なこと,レジュメを書くときの注意点,面接官の前で実際にコーディングをする面接を突破するためのコツ,日本との仕事環境の違い,転職やレイオフとの向き合い方までを具体的に教えます。

シリコンバレーやシアトルで計15年,従業員数十人のスタートアップでも10万人以上の大企業でも働き,面接する側も数多く経験した著者だからこそ書けるリアルが満載。

こんな方にオススメ

  • 「アメリカ企業で働くのはどんな感じだろう?」と思っている方
  • アメリカで働きたい方,働いている方
  • シリコンバレー礼賛記事に疑念を抱いている方(海外の企業が特別優れているわけではないと思っている方)
  • IT企業で働きたい方,働いている方(特に,コーディング面接を受ける可能性がある方)
  • 外資系企業で働きたい方,働いている方

目次

はじめに

第1章 あなたはアメリカに合っているのか

活躍できる条件をすべて揃えてから渡米する人はほとんどいない

アメリカで働くメリット ― エンジニアは優遇されている

  • ソフトウェアエンジニアはベストジョブ
  • 管理職でなくても年収の中央値は1,000万円を超える
  • 社会全体からも尊敬されている/li>
  • 外国人のハンディが少ない
  • 転職が不利にならない
  • 自由で合理的な職場環境
  • キャリアパスの選択肢がある

コラム 趣味で幸せ度アップ

アメリカで働くデメリット ― 外国人として生きていけるか?

  • 外国人として働く
  • プライベートでも外国人
  • 「外国語」を使ってコミュニケーションしなければならない
  • 管理職への昇進が難しい
  • クビになる確率が高い
  • 家族と離れて暮らす
  • 【田舎限定】食べ物の良し悪しは無視できない

メリット > デメリット? Then why not?

シリコンバレーはメジャーリーグ?

コラム 子どもは簡単にはバイリンガルにならない

第2章 どうやったら渡米できるか

「どれぐらい英語ができればいいんですか?」

  • ソフトウェアエンジニアは一番英語能力が要求されないポジション
  • シリコンバレーは一番英語能力が問われない場所
  • 一番大事なのは「情報伝達速度」
  • 日本人の英語能力は高い

コラム 英語が下手でも夢に見るし,喧嘩はできる。意図せずに相手を怒らせたら上達の証?

立ちはだかるビザの壁

  • H-1Bビザ(Professional Workers)
  • L-1ビザ(Intracompany Transferrees)
  • Oビザ(Persons with Extraordinary Ability)

留学後に現地就職 ― ヤル気と能力があれば一番確実

日本で就職後に移籍 ― 一番簡単,でも運任せ

日本から直接雇用 ― ハードルが一番高く,運も必要

雇用とは別に永住権・市民権を得る

  • 抽選による永住権
  • アメリカ人との結婚による永住権
  • 出生による市民権

第3章 アメリカ企業に就職・転職する

レジュメ作成 ― ポジションごとに内容を変える

  • 大事な項目から順に書く
  • 転職サイトでキーワードマッチングにひっかかるようにする
  • ポジションにあわせてレジュメを変える
  • ネイティブスピーカーのチェックを受ける
  • 自分の名前まで変える?

応募 ― 公式ページよりも社員からの紹介

リクルーターとの"chat" ― やりたいことを明確に,給与額は不明確に

  • 「自分にとって欠かせないものは何か?」を意識する
  • 希望給与額を言ってはいけない

電話面接 ― 電話しながらコーディング

  • 静かな部屋を確保し,ヘッドセットを使う
  • 面接では何が行われるか
  • コーディングでの注意点
  • 結果をふまえて次に備える

オンサイト面接 ― こちらも相手を面接している

  • 事前に会場を下見する
  • 働いている人の中で一番きちんとした服装で行く
  • 閃きの可能性と自信を高める
  • 面接官との距離を縮めて,緊張をほぐす
  • たとえ途中で失敗しても,最後まで最善を尽くす
  • 「ランチは面接に含まれない」は信用しない
  • こちらも相手を面接している
  • 面接の最後に質問する
  • オフィスを見せてもらう

結果通知 ― フィードバックをもらう最大のチャンス

  • すぐに「入社します」と言わない

コラム 転職面接は時の運 ― "false negative"を恐れない一流企業

最終決断 ― 舞い上がったままオファーを受けるな

  • まずは仕事の内容を検討
  • 仕事の技術レベルを考えてみる
  • 会社の文化と自分の相性を見極める
  • 条件を交渉する
  • 「交渉したらオファー取り消し」はない
  • バックグラウンドチェック ― 経歴詐称はここでバレる

辞職 ― 転職イコールすべてリセット,とはならない

  • 退職日で収入が変わる
  • 日本以上に円満退社が大事

コラム 面接も円満に進めるのが大事

第4章 ホワイトボードコーディング面接を突破する

「仕事の実力」だけでは不十分

コーディング面接の流れ

  • 自分のペースをつかむ,緊張を避けられることは何でもする
  • 一般的な質問には短くまとまった返答をする
  • ネガティブなことを言わない
  • 問題を出されたら,とにかく確認する
  • 最適でなくても方針を説明する
  • ホワイトボードに余白を確保する
  • 処理の塊ごとに説明する
  • バグを見つけて修正する
  • コーディング終了でも面接終了ではない
  • 終了後は次に集中する

ノーヒントで解くより「こいつと一緒に仕事をしたら楽しそうだ」

「コミュニケーション能力」とは,アイディアを説明すること,人のアイディアを取り込むこと

問題に出しやすい技術,出しにくい技術

  • Big-O notation(ランダウの記号)
  • Hash table(ハッシュテーブル)
  • Recursion(再帰)
  • Tree(木構造)
  • Array(配列)

【例題】複数の解法とコストのバリエーション

  • 必要な情報を聞き出す
  • O(n2)の解法
  • O(n log n)の解法
  • O(n)の解法

どこで練習するか

第5章 アメリカで働くと何が違うのか

飲み会なし,ほとんどすべてランチで済ませる

残業代なし,コアタイムなし,好きなときに家で働く

ミーティングの量は最低限

開発プロセスは適量を追求

360度評価による成果主義

人事権まで握るマネージャー

日本式は通用したり,しなかったり

反対意見はしっかり表明

Disagree & Commit

感情を爆発させるのは,プロとして失格

メンタリングによりスキルアップ

エンジニアがおもな面接官

オープンオフィス,個室オフィス,キュービクル

  • オープンオフィス
  • 個室オフィス
  • キュービクル

モラルイベントが催される

コラム 外国人の同僚と仲良くなるには飯を食え

第6章 転職を通してキャリアアップする

転職のタイミングは,自分よりも「周りの状況」がカギ

コラム 予期せぬ良い知らせ

ポジション探し ― 「できること」より「したいこと」

  • 仕事の内容も環境も大事
  • 技術系の会社でもソフトウェアテクノロジーが主体とは限らない
  • 「ソフトウェアを主体とした会社が一番」とは限らない
  • 安定の大企業
  • 何でもありえるスタートアップ
  • 日本人の強みを活かすポジションとは
  • 日本関係のポジション特有のリスク
  • 迷ったら「難しいポジション」を選べ

一生,エンジニアとして生きていく

  • 技術系とマネジメント系のキャリアトラックが用意されている
  • 歳をとれば能力が衰えるのは避けられない
  • 再就職のチャンスも減ってくる
  • リスクを認識したうえで決断する

第7章 解雇に備える

「ファイア」は悪い解雇

  • なぜ,わざわざ解雇する理由を説明するのか
  • ファイアに至る理由
  • 「パフォーマンス不足」はほかとは違う

「レイオフ」は必ずしも悪いとは言いきれない解雇

  • 退職日は「その日のうち」とは限らない
  • 解雇手当は会社によって大きな差が出る
  • 雇用保険,健康保険の制度について知っておく
  • 転職支援サービスは既成事実を作るのが目的?
  • 「社内異動」という選択肢
  • 「私をレイオフしてください」で臨時収入

グリーンカードのありがたみ

レイオフに備えるには

  • 昇進直後にレイオフがあると危険?
  • 噂レベルで囁かれる“対策”
  • 「転職可能な状態」が一番のレイオフ対策

コラム 私のレイオフ体験

おわりに

「雇用の流動性」という違い

「アメリカで働けば幸せ」とは限らない

二面性を伝える

“壁”はなかった

プロフィール

竜盛博りゅうもりひろ

宮城県仙台市出身。宮城県仙台第一高等学校卒業,東北大学工学部情報工学科卒業,東北大学大学院情報科学研究科修了。修士(情報科学)。幼稚園から大学院まで,通った学校すべてが半径3kmの円内に収まっている。
日本ヒューレット・パッカード社在籍中に米国駐在。日本帰任後に米国移住を決意,Agilent Technologies(旧 Hewlett-Packard Company),Amazon.comを含むシリコンバレー・シアトルエリアの会社5社に勤務。現在,Microsoft CorporationにてSenior Software Engineerとして働く。また,シアトル周辺の日本人技術者を支援するNPO団体Seattle IT Japanese Professionals(SIJP)のVice-Presidentとして,講演会や勉強会の企画,講師なども行う。