人と人とのつながりを財産に変える オンラインサロンのつくりかた
2019年1月26日紙版発売
2019年1月26日電子版発売
中里桃子 著
A5判/176ページ
定価2,398円(本体2,180円+税10%)
ISBN 978-4-297-10412-2
書籍の概要
この本の概要
「大手企業と100万円相当のコラボ企画を実現」
「顧客との信頼関係で売上が50万円アップ」
「サロンスタートから6か月で,600名ものコミュニティに成長」
モノも情報も溢れかえる現代,安定して収益を得るには,顧客から信頼されることが大切。そして,他者がマネできない顧客との関係性をつくるのに効果的なのが,オンラインサロンです。
本書は,2年間で30社のオンラインサロンを設立・運営し1000人以上の会員を見てきた著者が教える,サロンづくりの入門書にして決定版。
「でも,有名人やカリスマじゃないと人が集まらないでしょ」
「ものすごく手間がかかるんじゃないの」
こんなよくある疑問を解消しながら,月額会費制のサロンで顧客との信頼関係を作り,安定収益につなげる方法を学べます。
こんな方におすすめ
- 労働集約型のビジネスで収益の上限が見えている個人事業主の方
- コミュニティ運営をはじめたい方
- 他からマネされないお客さんとの関係性を作りたい方
著者の一言
「1年先,いや来月の確実に見込める売上が欲しい」
「販売がどんどん難しくなっている」
「どうすれば安定収益を得られるのか」
この本を手に取ったあなたは,このようにお考えかもしれません。
モノでもコトでも,なにかを「売る」ということがどんどん難しくなっていると思いませんか? 自分たちの会社やお店で購入してもらうために,日々,自社がNO.1に見える切り口で情報発信をされているのではないでしょうか。しかし,他社も同じように情報発信をしています。そうして日々「わが社がNO.1」と発信される環境下では,顧客にとってもなにかを「買う」という行為が負担になっています。たとえば,パソコン1台を買う前には,価格比較サイトやレビューサイトを見る人は多いのではないでしょうか? 私はあれが大の苦手で,情報の取捨選択に疲れます。でも辞められない……。購入後により良い商品やより安い買い方を見つけてしまって,後悔したくないからです。
購入前にたくさんの情報が必要なのは,企業と顧客に信頼がないからです。「この商品に本当にそれだけの価値があるのか?」「この企業は信頼できるのか?」という不安があるから。逆に,「この会社で買って良かったから,またここで買おう」と思えると,必要な情報はぐっと減るのではないでしょうか。信頼はお互いの時間を節約します。新しいお客様に購入していただくコストと,既存の客様にリピートしていただくコストが数倍~数十倍も違う理由は,信頼があるかどうかです。とすると,「一度買っていただいたお客様との関係性をいかに継続していけるか?」が,冒頭の安定収益の鍵となってきます。
その関係維持に有効な手段として,オンラインサロンが注目を集めています。オンラインサロンとは,月額会費制で顧客に有益な情報や体験を提供することを通して関係性を作るモデルです。サロンの外は情報過多で,自分で取捨選択をする必要がありますが,サロンでは信頼関係でつながっているので,顧客は一定の情報の取捨選択をサロンオーナーに委ねています。
「この分野に関しては,あなたを信頼するから,ほかの人よりもあなたの言葉を信用します。だから,他所では言わない悩みや本音を聞いてください」
そんな関係性なのです。また,同じ分野に関心のある会員同士で一緒に学んだり,情報交換を行い,つながりを提供することも,サロンの魅力といわれています。商品ラインナップや価格設定,セールスレターなど表面的なことはかんたんにコピーされますが,お客様との関係性は一朝一夕ではコピーできません。
本書は,ゼロからオンラインサロンを立ち上げ,安定的に運営していくための手順を紹介しています。私は2016年にコミュニティ運営事務局の会社を立ち上げ,30数社のオンラインサロンの立ち上げと運営に関わってきました。また,講演では1200名以上にオンラインサロンの作り方をレクチャーし,運営で関与した会員数は1000人を超えます。その経験をもとにまとめた本書では,3つの特徴があります。
1つめは,よくある「自社はこうしてうまくいった」というその会社固有の成功談ではなく,私自身が事務局として関わった多種多様な業種のオンラインサロンの運営から「お客様が長く参加し続けてくださる方法」をまとめていることです。“事務局”といいながら,時には会員と一緒にオンラインサロンを本気で楽しみながら,「いいオンラインサロン運営とはなにか?」を考えてきました。30数社の経験をもとに,幅広い業種で再現性の高いものになるように意識しています。
2つめは,講座ビジネスや会員ビジネスにありがちな「カリスマ」を必要としない運営方法を解説していることです。カリスマやエネルギッシュな創業社長でしかできない方法では,再現性がありませんし,運営を人に任せることができません。変化の激しいこれからの時代に,カリスマや権威的な象徴に承認をしてほしい人を集客して中長期的に課金させ続けることは難しいと考えています。本書では極力,そのような要素のない,普通の人(スタッフや現場責任者の方)が運営できる手順を紹介しています。具体的には,「サロンのビジョンやコンセプト設計を考え抜く」ということですが,その詳細は第3章をご覧ください。
3つめは,図表を多く使用してわかりやすく理解できるようにしていることです。人の感情や心理の動きは文章だけでは伝わりづらいものがあるので,心理の動きを図表であらわしています。また,オンラインサロンでのコミュニケーションの手順,顧客の話の聞き取り方など,運営チームで共有できるワークシートも取り上げ,本書1冊で必要なツールが揃うようにしています。
オンラインサロンの運営を通して,お客様との関係をつくり,継続率の向上やリピート,売上アップにつなげていただきたいと思います。誠実にお客様に向き合う方が,本書を通して,お客様との強い結びつきを作っていただけることと,その事業の運営を通していつもどおり働く“普通の人たち(非カリスマ)”が自分の日々の仕事に誇りを持てるようなものになれば,これ以上うれしいことはありません。
(本書「はじめに」より)
目次
- はじめに
第1章 オンラインサロンとは?
1-1 オンラインサロンとはなにか
- オンラインサロン=コミュニティ+月額課金
- 今コミュニティが注目される理由
1-2 なぜオンラインサロンがブームになっているのか
- 参加者が得られる4つのメリット
- COLUMN 既存のサービスを置き換える
- オンラインサロンの4つの機能
第2章 どんなサロンをつくるか決める
2-1 オンラインサロンのテーマを決める
- 3つのサロン型とオーナーに必要な資質を押さえる
- 周りから見た自分のポジションを知る
- COLUMN 仲間ポジションや応援されるポジションの要素を大事にしよう
2-2 サロンのテーマを決める
- 経験を整理して,サロンのテーマを見つける
- 「テーマ×ポジション」でサロンの方向性を決める
2-3 どんな人を集めるのか決める
- サロンへ課金ができるダーゲットを探る
- サロン会員による広がりがあるか考える
2-4 提供価値と価格設定
- テーマ×ターゲットで価格が決まる
- 競合サービスをリサーチする
第3章 コンセプトとビジョンを考えよう
3-1 コンセプトとはなにか
- サロンのすべてがコンセプトに集約される
- コンセプトの3つの役割
3-2 オンラインサロンのコンセプトをつくる
- ターゲットを設定する
- ターゲットの悩みに共感して「ハッピーな未来」を提示する
- 既存サービスとは異なる課題を設定する
- 陥りやすい失敗6パターン
3-3 オンラインサロンで目指すビジョンを描く
- ビジョンとはなにか
- ビジョンを語るか,ノウハウを語るかで,集まる人が全然違う
- ビジョンづくりのフレームワーク
3-4 ビジョンづくりの2つのハードルを越える
- ハードル1:魅力的なビジョンがつくれない
- ハードル2:集まる会員をまとめきれない
3-5 ビジョンでメンバーをサロンに巻き込む
- ビジョンに共感してくれる人を巻き込もう
- 15分でできる理想のメンバーの見つけ方
- 理想のメンバーをサロン会員として巻き込む6つのステップ
- コミュニティが自走するための4つの要素を押さえよう
第4章 オンラインサロンのコンテンツづくり
4-1 コンテンツに欠かせない「環境の5要素」を押さえる
- コンテンツを通して「環境の5要素」を提供する
- コンセプトに合わせて学びのコンテンツを配置する
- わかりやすい目標を設定する
- 仲間意識を高めてヨコのつながりを強める
- ロールモデルを通して,サロンの成功ストーリーを示す
- モチベーションを維持できるペースメーカーを用意する
- オンラインサロンの環境の5要素を考えるためのヒント
4-2 コンテンツを設計する
- 環境の5要素に合わせてコンテンツの大枠を考える
- 具体的なカリキュラムを作成する
- いつ入会者が入ってもついていける場とカリキュラムづくりの4つの施策
4-3 カスタマージャーニーで改善点を探る
- 会員の理想の姿を想像しながらコンテンツをつくる
- オンラインサロンにおけるカスタマージャーニー
- 第三者視点でカスタマージャーニーとコンテンツを改善する
4-4 既存のサービスとオンラインサロンのバランスを考える
- コンテンツの質と量のバランスを考える4つの注意点
- 既存のサービスとの分類を明確にする
第5章 オンラインサロンの会員募集
5-1 会員募集の全体像を把握する
- 会員募集のための4つを押さえる
- 集客のスタート地点の違いを知ろう
5-2 専門家として認知・信頼を得る
- SNSやブログで情報を発信する
- 認知度0からファンをつくる近道
- 魅力的な発信の3つの特徴
- 「発信のレシピ」でファンを獲得できる意見をつくる
- 専門性を伝えるためのブログタイトルテンプレート
- COLUMN なにを発信したらよいかわからないときは?
- 専門家として信頼されるプロフィールを書く
- プロフィールで押さえておきたい3つのポイントの整理のしかた
- SNSを使って,自分の存在を発信しておく
5-3 発信にリアクションしてくれる人を集める
- SNSやブログで個別のメッセージを送る
- 相手との関係性を理解してメッセージを送る
- 3ステップで「お誘いメッセージ」を送る
- 相手の返信から自分の立ち位置を見分ける
- オンラインサロンがあったら参加してみたいかを確認する
5-4 見込み顧客リストをつくる
- 誰を見込み顧客リストに入れるか
- リスト管理には便利なツールを使おう
- 狙う客層によって見込み顧客リストはつくりなおす
5-5 会員募集のための集客を行う
- オンラインサロンの募集の際に使いたい4つの集客パターン
- ①自分×リアル:一人ひとり口説いて会員を獲得する
- ②自分×ネット:ベースとなる会員募集を作成する
- ③他人×リアル:自分の認知をより広げる
- ④他人×ネット:効率良く会員を獲得する
- 「販売する前に,9割決まっている」という事実
第6章 オンラインサロンの運営手順
6-1 会員が入会する前の準備
- 会員が継続を考える4つのタイミングを押さえる
- カスタマーサクセスマップをつくる
- 入会フローを整備する
- 入会する会員を審査する場合
- サロンのコンセプト・目的・ルールを言語化しておく
6-2 入会直後に行うこと
- 会員が入会したら,すぐにマニュアルを届ける
- サロンの情報を1ページにまとめる
- 入会直後の行動を案内する
6-3 入会後〜3か月で行うこと
- 1か月以内に効果を実感してもらう
- オリエンテーションで会員と直接会話する
- サロンでわからないことを問い合わせる場所を明示する
- 協調が苦手な「一匹狼タイプ」の居場所も用意しておく
6-4 入会後〜6か月で行うこと
- 成長実感を持ってもらえるようにサロンを設計する
6-5 入会6か月後以降に行うこと
- 会員と協力して,コンテンツを拡大する
- サロンの人数が100名を超えて大きくなったら
- 解約には快く応じて,出戻りしやすい雰囲気をつくる
第7章 オンラインサロンの運営・集客を効率化する
7-1 改善策を効率良く考える
- 運営ミーティングを週1回〜月1回必ず行う
- 全体的なオンラインサロンの伸びを左右する指標
7-2 ワンソース・マルチユースで,コンテンツづくりを効率化する
- 効率的にコンテンツを増やす
- 毎月1回,メインの定例会/交流会を開催する
- 毎月1回,Q&Aライブセッション/オンライン相談室を開催
- 毎月1回,学習コンテンツを提供する
- 高い専門性を持つ会員にコンテンツづくりを依頼する
- 外部の専門家に対談を申し込む
7-3 会員が自分で仲間を集めて活動できる環境をつくる
- 「部活」制度で,運営効率と会員満足度を同時にアップする
- 会員が新しい役割を経験できる環境をつくる
- オーナーとしての役割をきちんと押さえよう
第8章 オンラインサロンの月会費以外の売上をつくる
8-1 アップセル・クロスセルで売上をつくる
- サロンの信頼を得て,中〜高額商品を販売する(アップセル)
- 顧客の成長に応じて別商品を販売する(クロスセル)
8-2 プロデュース・アフィリエイトで売上をつくる
- 会員のサービスや商品をプロデュースする3つのステップ
- サロン会員へ外部の商品やサービスを紹介し,紹介料を得る(アフィリエイト)
8-3 オンラインサロンとビジネスの考え方
- 会員とサロンの外部で一緒にビジネスを行うときの注意点
- サロン運営の経験は,お金にできなくとも経験がビジネスチャンスになる
- おわりに
- 参考図書
- 著者紹介・読者特典