【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド[新装改訂3版]
- 斎藤昌義 著
- 定価
- 2,068円(本体1,880円+税10%)
- 発売日
- 2020.1.25[在庫なし]
- 判型
- A5
- 頁数
- 352ページ
- ISBN
- 978-4-297-11145-8 978-4-297-11146-5
概要
累計5万部! ITの常識をあなたのビジネスの武器にする
「技術の背景や価値、そのつながりまで体系だって理解できる」と大好評の『ITトレンド』が、5万部を超えアップデート!
「デジタル・トランスフォーメーション」「注目すべきテクノロジー」の章、「MaaS」「ニューラル・ネットワーク」の話題などを新たに追加。
ITの「時流」も、そこから一歩先んじるための「本質」も、コレ1冊でかんたん総づかみ!
【特典】掲載の図版はすべてPowerPointデータでダウンロード、ロイヤリティフリーで利用可能! 研修教材や提案書など、学んだ知識をビジネスに活用する際にご使用ください。
目次
第0章 「最新ITトレンド」を見渡す ~「デジタル」が社会やビジネスの常識を大転換
- ITの最新トレンドを読み解くカギは、デジタルとは何かを知ることにある
- デジタルがもたらす3つの価値とイノベーション
- 社会やビジネスを変革するデジタル・トランスフォーメーション
- DXはITの役割や関わり方を大きく変えてしまう
- 過去から現在、そして未来に向かうITの潮流を読み解く
第1章 デジタル・トランスフォーメーション ~デジタルを駆使して変化に俊敏に対応できる企業の文化や体質を実現する
- サイバー・フィジカル・システムとデジタル・トランスフォーメーション
- デジタル・トランスフォーメーションとは何か(1)
- デジタル・トランスフォーメーションとは何か(2)
- デジタル・トランスフォーメーションに至る3つのフェーズ
- DXが生み出す2つの価値
- Amazon:DXに最も近い企業
- コラム 競争環境の変化とDX
- Amazonから読み解く、DXの本質
- デジタル・トランスフォーメーションとOMO
- DXを支えるテクノロジー
- DXの実現を支える4つの手法と考え方
- 最適な解決策を見つけ出すためのデザイン思考
- 新規事業の成功確率を高めるリーン・スタートアップ
- 変わるITへの期待
- コラム デジタイゼーションとデジタライゼーション
- DX時代のサービス・マネジメント
第2章 IoT/モノのインターネット ~現実世界をデータでとらえ、現実世界とITが一体となった社会を実現する
- IoTとは何か
- IoTのもたらす3つの価値
- IoTがもたらす2つのパラダイム・シフト
- 社会基盤をシフトする「サイバー・フィジカル・システム」
- モノの価値をシフトする「モノのサービス化」
- ソフトウェア化するモノ
- モノのサービス化の本質
- IoTの3層構造
- コラム IntelとArm
- 超分散の時代
- コラム ムーアの法則
- 第5世代移動通信システム(1)3つの特徴
- 第5世代移動通信システム(2)ネットワーク・スライシング
- 第5世代移動通信システム(3)ローカル5G
- IoTセキュリティ
- 空間をデータ化する「ドローン」
- 「モノのサービス化」で移動を変えるMaaS
- 自動車産業に押し寄せるCASEのインパクト(1)
- 自動車産業に押し寄せるCASEのインパクト(2)
- コラム ガソリン自動車と電気自動車
- IoTとインダストリー4.0 第4次産業革命(1)
- IoTとインダストリー4.0 第4次産業革命(2)
第3章 AI(人工知能) ~人間の知的能力を拡張し、人類の進化を加速する
- 人工知能とロボット
- 各時代のAIと呼ばれるもの
- ルールベース(またはエキスパート・システム)と機械学習
- 機械学習とデータ・サイエンス
- 「学習」と「推論」の適切な配置の必要性
- 統計と機械学習の関係
- 「自動化」から「自律化」への発展
- 「特化型人工知能」と「汎用型人工知能」
- 「人工知能」と「機械学習」の関係
- 人工知能・機械学習・ディープラーニングの関係
- 機械学習の学習方法
- ニューラル・ネットワークとディープラーニング
- ディープラーニングが注目される理由
- ディープラーニングの2つの課題
- 機械学習と人間の役割
- 産業発展の歴史とAIの位置づけ
- コラム ベーシック・インカム
- 人工知能の適用領域
- 自動運転車
- 機械と人間との関係を変えるチャットボット
- スマート・スピーカー
- AIクラウド・サービス
- 人工知能と付き合う3つの方法
- コラム イノベーション(Innovation)
- AI時代に求められる人間の能力
- データ爆発の時代に加速するAIの進化
- AIやロボットの必要性
第4章 ITインフラストラクチャ ~ハードウェアや設備をソフトウェアで構築、運用、管理する
- ソフトウェア化するインフラストラクチャ
- 仮想化の本当の意味
- 仮想化の3タイプ
- ITインフラの歴史的変遷
- サーバ仮想化
- 「サーバ仮想化」がもたらす3つのメリット
- サーバ仮想化とコンテナ
- コンテナ管理ソフトウェア「Docker」
- コンテナを一元管理するKubernetes
- 仮想化の種類
- 「デスクトップ仮想化」と「アプリケーション仮想化」
- シンクライアント
- クライアント仮想化
- ストレージ仮想化
- SDIを容易に実現するハイパーコンバージド・インフラストラクチャ
- ネットワーク仮想化
- WANのソフトウェア化を実現するSD-WAN
- ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティ
- コラム サイバー攻撃への対策を担う中核組織:CSIRT
第5章 クラウド・コンピューティング ~コスト削減とビジネス・スピードの加速を支えるコンピューティング基盤
- クラウド・コンピューティングとは
- 「自家発電モデル」から「発電所モデル」へ
- クラウドはシステム資源のECサイト
- クラウドならではの費用対効果の考え方
- クラウドが生み出すパラダイム・シフト
- 歴史的背景から考えるクラウドへの期待
- コラム クラウドがもたらす本質的な変化
- 情報システムの現状から考えるクラウドへの期待
- クラウドの起源と定義
- クラウドの定義:サービス・モデル
- コラム 多様化するクラウド・サービスの区分
- クラウドの定義:配置モデル
- パブリックとプライベートを組み合わせた「ハイブリッド・クラウド」
- パブリックを組み合わせて最適なサービスを実現するマルチ・クラウド
- クラウドに欠かせない5つの特徴
- クラウドによってもたらされる3つの価値
- クラウド・コンピューティングのビジネス・モデル
- 日米のビジネス文化の違いとクラウド・コンピューティング
- クラウド・バイ・デフォルト原則
- パブリック・クラウドはセキュリティ対策の外部委託
- クラウド移行のステップ
- クラウドに吸収されるITビジネス
第6章 開発と運用 ~ビジネス・スピードの加速を支え、ビジネスの成果に貢献する
- ビジネス・スピードの加速を支える開発と運用
- 変化に即応するためのアジャイル開発
- アジャイル開発が高い品質や納期を守れる理由
- アジャイル開発がいま必要とされる理由
- コラム システムのワークロードとライフタイム
- PC操作の自動化ツール:RPA
- RPAを導入する際の懸念点と対処法
- 超高速開発ツール
- 開発と運用の協調・連携を実現するDevOps
- DevOpsとコンテナ管理ソフトウェア
- イミュータブル・インフラストラクチャとインフラストラクチャ・アズ・コード
- マイクロサービス・アーキテクチャ
- オーケストレーションとコレオグラフィ
- サーバレスとFaaS
- アプリケーション開発に集中するためのクラウド・ネイティブ
- アプリケーションの付加価値を高めるAPIエコノミー
- システム開発とクラウド・サービスの役割分担
- これからの運用技術者とSRE
第7章 いま注目しておきたいテクノロジー ~私たちの常識を変えようとしているこれからのテクノロジーをピックアップ
- ITと人との関わり方を大きく変えるVRとARとMR
- デジタル・データから立体の造形物を直接作り出す3Dプリンタ
- ビットコインの基盤技術であるブロックチェーン
- ブロックチェーンが改ざんを防ぎ取引の正当性を保証するしくみ
- 「価値交換の民主化」を目指すさまざまなブロックチェーンのサービス
- 人間の脳を模倣して作る、ニューロモーフィック・コンピュータ
- 2つの課題を解決する量子コンピュータ
- 従来のコンピュータと量子コンピュータの違い
- 2種類の量子コンピュータ
- 量子コンピュータの性能と実現に向けての課題
巻末 これだけは知っておきたい情報システムの基礎の基礎 最新トレンドを理解するうえで、知っておきたいITの基礎知識
- 情報システムの構造
- DXの基盤となるERPシステム
- ERPシステム登場の歴史的背景
- ERPとERPシステムとERPパッケージ
- ERPシステムのもたらす価値
- ERPをパッケージやクラウドとして導入するメリット
- グローバル企業の全体最適を実現する2層ERP
- 経営手法とエンタープライズ・アプリケーション
プロフィール
斎藤昌義
ネットコマース株式会社 代表取締役。
1982 年、日本IBM に入社、営業として一部上場の電気電子関連企業を担当。その後営業企画部門に在籍した後、同社を退職。
1995 年、ネットコマース株式会社を設立、代表取締役に就任。産学連携事業やベンチャー企業の立ち上げのプロデュース、大手IT ソリューションベンダーの事業戦略の策定、営業組織の改革支援、人材育成やビジネスコーチング、ユーザー企業の情報システムの企画・戦略の策定などに従事。IT 関係者による災害ボランティア団体「一般社団法人・情報支援レスキュー隊」代表理事。
『未来を味方にする技術』『システムインテグレーション再生の戦略』『システムインテグレーション崩壊』(すべて技術評論社 刊)ほかの著書、雑誌寄稿や取材記事、講義・講演など多数。
ホームページ:https://netcommerce.co.jp/
ブログ:http://www.netcommerce.co.jp/blog/
Twitter:@Takamaro
Facebook :https://www.facebook.com/solution.sales
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/ LiBRA:http://libra.netcommerce.co.jp/
著者の一言
はじめに
「ITは大切だ!」
そんなことはわかっていても、難しくてついていけないと、尻込みしてはいませんか。
「新しいITのキーワードについていかなければ!」
でも、どんどん出てくるし、どれが重要なのか、自分たちのビジネスに、どう役立つのかわからないし、追いかけきれないとモヤモヤしてはいませんか。
そんなお困りを解決するために、本書は生まれました。
ITに関わるトレンドは多岐にわたり、お互いが複雑に絡み合っています。
ITに関わる専門家でさえ、それを見渡し、体系的に理解できている人はわずかです。ましてや、それをわかりやすく説明できる人など、さらに限られています。
それでも、ITは私たちの日常にこれまでになく深く関わり、ITを味方にできなければ、ビジネスで生き残ることは難しいのが現実です。せめて、そんなITのトレンドを体系的に見渡すことができる書籍があればと探してはみたものの、想いにかなうものを見つけることはできませんでした。
ならば自分で書いてしまえと作ったのが、2015年に出版した本書の初版です。世の中に広く散らばるITのキーワードを大きなテーブルに広げ、これを歴史やビジネスの文脈で並べ替え、その「さわり」と「役割や価値」をできるだけわかりやすい表現で、体系的にまとめようと仕立てました。
それから4年半が経ちました。途中2017年に第2版を出しましたが、さらに2年が経ったいま、もはやそれさえも「最新」とはいえなくなってしまいました。
たとえば、「デジタル・トランスフォーメーション」という言葉は、いまでこそだれもが見聞きする言葉になりましたが、2年前は一部のITアナリストが語る程度でしかなく、25年前の「インターネット」、10年前の「クラウド」ほどの認知度しかありませんでした。しかし、これらが、世界のありようを大きく変えてしまったように、「デジタル・トランスフォーメーション」もまたそんな可能性をうかがわせる言葉へと、いまその存在感を高めています。
また、AIはいまや私たちの日常に溶け込み、IoTはそんなAIを支えるしくみとして、ビジネスに深く関わっています。これもまた、2年前には、「すごいねぇ、そんな技術があるんですねぇ」といっている程度でもなんとかなりましたが、もはやそんなことでは、非常識のそしりを免れません。
5G(第5世代通信システム)が本格的なサービスを開始すれば、社会やビジネスの常識をひっくり返してしまうでしょう。ブロックチェーンはさまざまな形で実用の段階に入りつつあります。少し前までは未来の技術と考えられていた量子コンピュータもまた、いまやビジネスの現場で使われ始めています。
本書では、あらためていまの「最新」を見渡し、これまでの解説を見直すとともに、前版にはなかった、「これから」を牽引するであろうテクノロジーについても新たな項目をふんだんに盛り込みました。
「ITは難しくて、よくわからない!」
もうそんな言い訳はもうやめにしませんか。私たちの日常はITなくして成り立たないし、ITを味方に、いや武器にできないビジネスに、もはや未来はありません。ましてや「ITの戦略的な活用」や「ビジネスのデジタル化」なんて、できるわけありません。電車やバスの乗り方がわからなければ生活できないように、ITを知らなければビジネスができない時代になったのです。
たとえば、新しく自宅を建てるとき、「なんでもいいから、格安で住み心地のいい家を作ってくれ」と建築会社に頼み、できあがった家を見て「こんな家を頼んだつもりはない」と文句をいっても後の祭りです。
どうしたいのかは施主の責任です。ITの場合も同じ話です。何を解決したいのか、何を実現したいのか、それを決めるのは「当事者」であるあなた自身です。その手段として、ITにできること、できないこと、そして、自分の「どうしたいのか」にどのように応えてくれるのか、そのアタリをつけておく程度のことは、最低限できなくてはなりません。そのうえで、ITの専門家である情報システム部門やITベンダーに相談するのがスジというものです。そのとき、ITについてはなにも知らないでは、「なんでもいいから、儲かるシステムを作ってくれ」というしかありません。
もちろん、システムを設計する、プログラムを書く、ネットワークを構築するなどは、専門的な知識や技能を持つ人たちに任せればいいのですが、ITの最低限の常識がなければ、そんな彼らと真っ当な話すらできません。彼らの提案や見積が妥当なのか、これで自分たちのビジネスはうまくいくのかがわからないでは仕事になりません。
昨今、システム開発が失敗して訴訟になるといった事件をよく耳にしますが、それは必ずしも専門家たちの不手際が原因ではなく、事業の当事者や経営者のITの最低限の常識さえ知らず、丸投げしてしまったことが原因であることも少なからずあるようです。せめて、IT用語が何のことをいっているのか、ビジネスでどのような役割を果たしてくれるのかといった程度の知識は、常識として持ち合わせていたいものです。
「進化が速すぎてついていけない」
ついていくのではなく、先を見通すことです。一歩先んじてこそ、チャンスは自分の味方になってくれます。昔も今も、変化のなかった時代はありませんでした。これからも同じです。そして、その変化を先取りできた人たちが、チャンスを掴んできたことも変わりません。
本書は、そのための最新ITの常識を、専門知識を持たない方にもご理解いただけるように、わかりやすく体系的に整理しました。
また、ITの仕事に関わっている方でも、新しい言葉についていけずに、困っている方もいらっしゃると思います。そんな方にとっては、いまの常識をあらためて整理して見渡すのにお役に立つでしょう。
就活生や新入社員の皆さんにとっても、ビジネスの現場で必要とされているITの最新の常識を体系的に学ぶ教科書として、うってつけの内容です。
1つひとつのテクノロジーを深く理解するには、それぞれについての専門書を、お読みください。本書の役割は「深く理解する」ことではなく、「広く見渡す」ことです。そして、自分たちの取り組むべきテーマやビジネスへの活かし方を考えるきっかけがご提供できればと思っています。
前版同様、本書の説明で使っている最新チャートのパワーポイント版をロイヤリティフリーでダウンロードいただけるようにしました。その方法については、本書の最後で説明しています。どうぞ、企画書や提案書に使ってください。
ITの常識をあなたのビジネスの武器にする
そのために、本書をご活用いただければと願っています。
令和元年12月末日
斎藤昌義