秋の星座16

16さんかく座

三角座

学 名
Triangulum(略号 Tri)
英語名
The Triangle
設 置
古代ギリシア
面 積
132平方度

天体観測の見どころ

さんかく座には、この星座の代名詞にもなっているM33銀河があります。アンドロメダ座の大銀河(M31)に次ぐ大きな天体で、この銀河の存在がさんかく座を知らしめているといってもよいでしょう。M33銀河は、M31銀河や私たちの天の川銀河を含む局部銀河を作っています。詳しくはアンドロメダ座の章を参照して下さい。

1星雲星団の観察

M33銀河(=NGC598)

  • 位置(分点2000.0)赤経01h33.9m,赤緯+30°39’ 視直径67.0’x41.5’,等級5.7,型SA
ロス卿が口径1.8m反射望遠鏡でスケッチしたM33銀河

M33銀河の実体は、天の川銀河の半分ほどの直径しかない小型の銀河ですが、大小マゼラン銀河を除いて最も近距離にある銀河のひとつですから、たいへん大きな視直径を持ちます。その見かけの大きさは、満月を2ケ並べるほど大きなものです。しかし、広がりが大きい故に望遠鏡での観察にはあまり適しているとはいえず、なるべく低倍率で観察したい対象です。小望遠鏡でも濃淡から腕の存在がなんとなく分かりますが、全体的にボヤーッとしていてつかみどころのない姿に見えます。
双眼鏡でも楕円形状が分かります。空の状態がよいと鋭眼の人ならば肉眼でも存在が分かるといいます。筆者もチャレンジしてみますが、私の目では自信を持って「見えた」とはいいがたいものです。天体写真には好適の被写体で人気があります。フェイスオンの渦巻きの腕までもよく分かり、M33銀河の中にある散光星雲などの天体も写し出されます。
M33銀河の発見者はイタリアの天文学者ジョヴァンニ・バッティスタ・オディエルナ(1597-1660)で、約100年後の1764年メシエが独立して発見しました。J・ハーシェル(John Herschel 1792-1871 英)は、低倍率で良く観察できて、輝いたところは16~17等の数百個の星に分かれるだろうと記しています。また、ロス卿(William Parsons,3rd Earl of Rosse 1800-1867 英)は、口径1.8mの巨大反射望遠でこの銀河を観測し、銀河の腕と思われる分枝をスケッチしています。

2重星の観察

ι星

  • 位置(分点2000.0)赤経02h12.4m,赤緯+30°18’
  • 主星5.3等,伴星6.7等,位置角68°,離角4.0” (2019年),スペクトルG0III

たいへん素晴らしい観察対象です。薄い黄色の主星に、ほとんどくっつくようにちいさなグレーの伴星があります。この光度差と離角が絶妙です。シーイングが悪いと観察は難しいでしょう。