秋の星座17

17おひつじ座

牡羊座

学 名
Aries(略号 Ari)
英語名
The Ram
設 置
古代ギリシア
面 積
441平方度

天体観測の見どころ

おひつじ座は比較的広いエリアがあるのですが、小望遠鏡の観察対象となる星雲星団には乏しいです。少々難易度が高いながらNGC772銀河を取り上げました。重星は全天でも有数のすばらしいγ星をはじめ、質量ともに充実しています。

1星雲星団の観察

NGC772銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経01h59.3m,赤緯+19°01’ 視直径7.3’x4.6’,等級10.3,型SA

γ星の1.4°東にあります。とても淡く光のしみのようです。小望遠鏡ではまず観察困難な観察対象です。口径20cm以上が必要です。それでも、存在はようやく分かるものの、内部の濃淡はよく分かりません。

2重星の観察

1番星

  • 位置(分点2000.0)赤経01h50.1m,赤緯+22°17’
  • 主星6.3等,伴星7.2等,位置角164°,離角2.9” (2018年),スペクトルG3III

とても接近した愛らしいペアです。金色の主星と深青色の伴星の色のコントラストも楽しめます。

γ星 羊の眼(Ram’s Eyes)

  • 位置(分点2000.0)赤経01h53.5m,赤緯+19°18’
  • 主星4.5等,伴星4.6等,位置角1°,離角7.4” (2020年),スペクトルA1 B9V

ほぼ等光度で白色の美しい重星です。小望遠鏡で仲の良い双子のように楽しく観察できます。おひつじ座の鼻先にあることから「ラムズアイ(羊の眼)」の愛称があります。全天でも代表的な重星の観察対象のひとつです。
この重星の発見(1664年)の歴史は古く、重星としては、ミザール(おおぐま座)、トラペジウム(オリオン座)に次いで、イギリスのロバート・フックにより史上3番目に発見されました。

λ星

  • 位置(分点2000.0)赤経01h57.9m,赤緯+23°36’
  • 主星4.8等,伴星6.7等,位置角48°,離角37.3” (2020年),スペクトルF0IV+F7V

離角の広い重星です。明るい黄白色の主星に小さな銀青色の伴星がつきます。楽に観察できる小望遠鏡向きの対象です。

30番星

  • 位置(分点2000.0)赤経02h37.0m,赤緯+24°39’
  • 主星6.5等,伴星7.0等,位置角275°,離角37.9” (2019年),スペクトルF5V+F7V

やや暗くなりますが、λ星に似たペアです。広い離角があり小望遠鏡向きです。主星は黄白色で、これに白色の伴星があります。

33番星

  • 位置(分点2000.0)赤経02h40.7m,赤緯+27°04’
  • 主星5.3等,伴星9.6等,位置角1°,離角28.3” (2016年),スペクトルA3V

明るい主星に4等級の差のあるペアです。離角はありますが、光度差があるために見落としてしまいそうです。主星は乳白色で伴星は暗く色は分からないでしょう。

π星

  • 位置(分点2000.0)赤経02h49.3m,赤緯+17°28’
  • 主星A 5.3等,伴星B 8.0等,位置角118°,離角3.2” (2018年),スペクトル B6V
  • 主星A 5.3等,伴星C 10.7等,位置角113°,離角25.5” (2018年),スペクトル B6V

明るい主星に光度差のコントラストの強い2つの伴星があります。しかし、いずれも簡単な観察対象ではありません。伴星Bは、かなり近接して3等級差の光度差があります。シーイングのよい時に口径10cmで観察可能です。伴星Cは離角は十分ですが、5等級の差がありますので、視野にあっても気が付きにくいです。主星は青白色で、伴星の色は消え入りそうでわかりません。

ε星

  • 位置(分点2000.0)赤経02h59.2m,赤緯+21°20’
  • 主星5.2等,伴星5.6等,位置角211°,離角1.4”(2016年),スペクトルA2V A2V

ほぼ等光度で非常に近接した連星系です。データ上では口径10cmで分離可能ですが、中口径以上の望遠鏡と良好なシーイングが欲しい観察対象で、一見、星が楕円状に延びているように見えます。主星・伴星とも白色です。