春の星座5

5やまねこ座

山猫座

学 名
Lynx(略号 Lyn)
英語名
The Lynx
設 置
ヨハネス・ヘヴェリウス
面 積
545平方度

天体観測の見どころ

1星雲星団の観察

やまねこ座にはメシエ天体はありません。この領域にはNGC番号のついた多数の銀河がありますが、ほとんどは暗く小さいために、小望遠鏡の対象とはなりにくいものです。これらの中では、かに座との境界に近いNGC2683銀河は楽しく観察できる対象です。かに座の領域に並ぶ数個の星から探すのが容易でしょう。

NGC2683銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経08h52.7m,赤緯+33°25’ 視直径8.4’x 2.4’,等級9.8,型SA

スーッと糸状の細長い銀河です。口径10cmほどから観察できるでしょう。口径20cmから、中心部が恒星状に明るい様子が分かります。写真ではレンズ状に膨らむバルジが分かります。その形状から海外では「UFO銀河」の愛称もあります。

2重星の観察

やまねこ座には小口径向けの3つの重星を紹介します。中でも、38番星は美しい観察対象です。また、12番星は三重星です。

12番星

  • 位置(分点2000.0)赤経06h46.2m,赤緯+59°27’
  • 主星A5.4等,伴星B6.0等,位置角65°,離角1.9”(2020年),スペクトルA3V
  • 主星A5.4等,伴星C7.0等,位置角309°,離角8.9”(2019年),スペクトルA3V

まず、緑色がかった主星Aと青白の伴星Cが広く間隔を空けて観察できます。主星は伴星Bとくっつくように接近した周期907.6年の連星系を作っていて全体では三重星です。これはかなり接近しているので、口径15cm以上の対象となるでしょう。高倍率で観察しましょう。

19番星

  • 位置(分点2000.0)赤経07h22.9m,赤緯+55°17’
  • 主星5.8等,伴星6.7等,位置角317°,離角13.8”(2019年),スペクトルB8V+B9V

よく見やすい白色の二重星です。さらに、離角215.3°に7.6等星もあり、この星を含めるとおおぐま座のミザールとアルコルのシステムを小型にしたように見えます。

38番星

  • 位置(分点2000.0)赤経09h18.8m,赤緯+36°48’
  • 主星3.9等,伴星6.1等,位置角224°,離角2.6”(2019年),スペクトルA1V

薄緑色の主星に接触するように小さな白色の伴星が美しいペアです。コントラストが美しく、やまねこ座の観察対象としてはお勧めの重星です。