春の星座6

6かに座

蟹座

学 名
Cancer(略号 Cnc)
英語名
The Crab
設 置
古代ギリシア
面 積
506平方度

天体観測の見どころ

1星雲星団の観察

かに座には、メシエ番号の付いた2つの見事な散開星団があります。ひとつはもちろんプレセペ星団(M44)で、もうひとつは散開星団M67です。

プレセペ星団(=M44 =NGC2632)

  • 位置(分点2000.0)赤経08h40.1m,赤緯+19°59’ 視直径95’,等級3.1,星数50
プレセペ星団。星団の左上の白色の星はγ星,左下のオレンジの星がδ星。両星は星団を飼い葉おけに見立てて餌を食むロバとされてきました。

プレセペ星団には「ビーハイブ(Beehive ハチの巣)」の別名もあり、望遠鏡で観察すると、この名称もなかなか的を得ていると感じます。望遠鏡が発明される以前には、ネビュラ(nebula 星雲)とか雲(cloud)と呼ばれていました。この天体に初めて望遠鏡を向けて記録したのは、ガリレオ(Galileo Galilei 1564-1642 イタリア)で、「まぐさ桶と呼ばれるネビュラ(星雲)はただひとつの星にあらず、40あまりの星の集まりなり。われは、ロバのほかに30の星を見たり」と記しています。
肉眼,双眼鏡,望遠鏡それぞれで観察して楽しめる、全天屈指の散開星団です。

M67散開星団(=NGC2682)

  • 位置(分点2000.0)赤経08h50.4m,赤緯+11°49’ 視直径29’,等級6.9,星数200

プレセペ星団に注目が集まるせいか、ついわき役になってしまいがちですが、双眼鏡でも美しく観察できる、大型で星粒のそろった美しい散開星団です。小口径ではぼんやりとした星雲状の中に、星粒が半月の形にまぶされているようです。星粒がそろいかつ密集していてとても見事です。ファインダー、双眼鏡では星雲状にみえます。

2重星の観察

ζ星

  • 位置(分点2000.0)赤経08h12.2m,赤緯+17°39’
  • 主星AB 5.0等,伴星C 5.9等,位置角64°,離角6.0”(2020年),スペクトルF8V
  • 主星A 5.3等,伴星B 6.3等,位置角359°,離角1.1”(2021年),スペクトルF8V
かに座ζ星の軌道。1115年周期の連星系です。

明るいレモンイエローのみごとなペアです。口径6cmで楽に観察できます。この重星は、主星がさらに離角わずか1.1”に6.2等星の伴星が1115年周期で公転する連星系で、今後も200年ほどの間、離角はあまり変わりません。全体では三重星です。ただし近接したペアを観察することは15cm以上の口径がないと難しいでしょう。

ι星

  • 位置(分点2000.0)赤経08h46.7m,赤緯+28°46’
  • 主星4.1等,伴星6.0等,位置角308°,離角30.6”(2021年),スペクトルG7.5IIIa

間隔が広く観察しやすく実に美しい小口径向きの重星です。オレンジ色の主星と青い伴星のコントラストは溜息をつくような素晴らしい観察対象です。

かに座φ2

  • 位置(分点2000.0)赤経08h26.8m, 赤緯 +26°56’
  • 主星6.2等,伴星6.2等,位置角219°,離角5.2”(2019年),スペクトル A3V+A6V

等光度の可愛らしいペアです。離角は狭いのですが、等光度のために案外と分離して観察しやすい対象です。両星とも白色で、仲の良い双生児のようです。

Σ1245(=HIP42172)

  • 位置(分点2000.0)赤経08h35.8m,赤緯+6°37’
  • 主星6.0等,伴星7.2等,位置角24°,離角10.0”(2017年),スペクトルF8V+G5V

明るい黄色の主星とオリーブ色の伴星が程よい間隔に並ぶペアです。

Σ1311(=HIP44768)

  • 位置(分点2000.0)赤経09h07.4m,赤緯+22°59’
  • 主星6.9等,伴星7.1等,位置角198°,離角7.6”(2017年),スペクトルF4V+F5V

オレンジ色の主星とそれほど明るさの違わない赤い伴星のぺアです。あまり明るくはありませんが魅力的な重星の1つです。