夏の星座7

7へびつかい座

蛇遣座

学 名
Ophiuchus(略号 Oph)
英語名
The Serpent Holder
設 置
古代ギリシア
面 積
948平方度

天体観測の見どころ

1星雲星団の観察

(1)へびつかい座

へびつかい座には、メシエ番号の付いた明るい球状星団が多数あります。

M9球状星団(=NGC6333)

  • 位置(分点2000.0)赤経17h19.2m,赤緯-18°31’ 視直径9.3’,等級7.6,集中度(高1-低12)8

へびつかい座の足元にある、中型で球状星団の典型のような均整の良い星団です。そらし眼に見ると、周辺まで微光星が広がっています。

M10球状星団(=NGC6524)

  • 位置(分点2000.0)赤経16h57.1m,赤緯-04°06’ 視直径15.1’,等級6.6,集中度(高1-低12)7

へびつかい座の球状星団で最も大きく明るい観察対象です。双眼鏡で存在が分かります。暗黒を背景に浮かび上がり、見ごたえのある素晴らしい星団です。

M12球状星団(=NGC6656)

  • 位置(分点2000.0)赤経16h47.2m,赤緯-01°57’ 視直径14.5’,等級6.8,集中度(高1-低12)9

このM12もM10に匹敵する明るい星団です。球状星団としては中央集光が少なくまばらです。ユニークな星団ですので楽しんで観察できます。倍率を上げると中心部も星に分解してきます。

M14球状星団(=NGC6402)

  • 位置(分点2000.0)赤経17h37.6m,赤緯-03°15’ 視直径11.7’,等級7.6,集中度(高1-低12)8

中型で特徴の少ない星団です。あまり中央の集光がない円盤状で星雲のように見えます。まばらな部類ですが、倍率を上げても中央付近は星に分解されません。

M19球状星団(=NGC6273)

  • 位置(分点2000.0)赤経17h02.6m,赤緯-26°16’ 視直径13.5’,等級6.7,集中度(高1-低12)8

まずまずの大きさのある美しい球状星団です。中央の集光が南に偏っている特徴があります。周辺まで微光星が広がっていて、そらし目にすると星団の広がりが分かります。南北に長い楕円状の姿をしていることもこの星団の特徴です。

M62球状星団(=NGC6266)

  • 位置(分点2000.0)赤経17h01.2m,赤緯-30°07’ 視直径14.1’,等級6.7,集中度(高1-低12)4

さそり座との境界付近にあります。一見中型の星団ですが、微光星が周辺まで広く広がっています。中央の集光が南東側に偏っている特徴があります。写真では星団中に赤い恒星が多く、星団全体が赤っぽく写ります。

M107球状星団(=NGC6171)

  • 位置(分点2000.0)赤経16h32.5m,赤緯-13°03’ 視直径10’,等級8.1,集中度(高1-低12)10

メシエ天体としては小型の球状星団です。かなりまばらで中央に集光が少なく、球状星団としては特異な性状です。最も明るい部分が中心から偏ったところにあることに特徴があります。

NGC6633散開星団

  • 位置(分点2000.0)赤経18h27.7m,赤緯+06°34’ 視直径27’,等級4.6,星数30

へびつかい座の北東部、天の川の中にある、満月の直径ほどに大きく広がった散開星団です。広さのわりに、星数が少なく、周囲の微光星に紛れてしまい星団のあることに気づきにくいでしょう。双眼鏡の方が分かりよい観察対象です。

IC4665散開星団

  • 位置(分点2000.0)赤経17h46.3m,赤緯+05°43’ 視直径40’,等級4.2,星数30

へびつかい座の左肩β星の1°北東にある、満月よりも広く大型で星粒の大きい散開星団です。星数はとても少ないのですがよく目立ちます。双眼鏡で楽しめますし、望遠鏡の低倍率でも視野内に大粒の星がばらまかれて面白く観察できます。
写真は焦点距離200mmで撮影したものです。中央右上の黄色の恒星がβ星でその北東の星団がIC4665です。

2重星の観察

(1)へびつかい座

ρ星

  • 位置(分点2000.0)赤経16h25.6m,赤緯-23°27’
  • 主星5.1等,伴星5.7等,位置角335°,離角3.0” (2021年),スペクトルB2IV+B2V

ほぼ等光度でくすんだ黄色のペアがくっつくような重星です。すぐ北と南西には護衛するように2つの7等星があり、興を添えています。

λ星

  • 位置(分点2000.0)赤経16h30.9m,赤緯+01°59’
  • 主星4.1等,伴星5.2等,位置角44°,離角1.4” (2019年),スペクトルB2IV+B2V

双子のようなレモン色のペアです。これがお互いにくっつくように並びます。129年周期の連星系で、実視できる連星系としては例外的に短周期です。現在はもっとも離角の大きな時期ですが、年を追って間隔を狭めていきます。2068年には0.35”まで間隔をせばめますので、こうなると口径50cm以上の望遠鏡でも観測困難となります。
へびつかい座には短周期の連星としては70番星もあります。

36番星

  • 位置(分点2000.0)赤経17h15.3m,赤緯-26°36’
  • 主星5.1等,伴星5.1等,位置角138°,離角5.1” (2021年),スペクトルK5V+K1V

へびつかいの左足の先にある、等光度の可愛らしいペアです。主星伴星とも明るいオレンジ色をしています。観察して楽しいお勧めの対象です。

ο星

  • 位置(分点2000.0)赤経17h18.0m,赤緯-24°17’
  • 主星5.2等,伴星6.6等,位置角355°,離角10.8” (2019年),スペクトルG8III

適度な離角、適度な光度差のある見本のような美しい重星です。赤橙色の主星にシルバーの伴星で、色の対比も楽しめます。

ξ星

  • 位置(分点2000.0)赤経17h21.0m,赤緯-21°07’
  • 主星4.4等,伴星8.9等,位置角26°,離角4.1” (2016年),スペクトルF1III-IV

明るい黄色の主星に、とても小さく消え入りそうな伴星を連れたペアです。4等級の光度差ですので意外と観察しづらい対象です。

61番星

  • 位置(分点2000.0)赤経17h44.6m,赤緯+02°35’
  • 主星6.1等,伴星6.5等,位置角92°,離角20.8” (2019年),スペクトルA1IV-V

γ星のすぐ西隣にあります。広く間隔を空け、美しいコンビネーションを見せています。主星伴星ともレモン色です。

τ星

  • 位置(分点2000.0)赤経18h03.1m,赤緯-08°11’
  • 主星5.3等,伴星5.9等,位置角291°,離角1.4” (2021年),スペクトルF4IV+F5V

明るい対象ですが、小望遠鏡ではぎりぎり分離可能な近接したペアです。公転周期257年の連星系を作っています。主星伴星ともレモン色です。現在は離角を狭めつつある時期に当たっており、2090年には0.254”まで近くなり、こうなると小望遠鏡ではまったく歯が立ちません。離角1.5”の現在でも簡単な対象ではありませんが、今のうちに見ておきましょう。

70番星

  • 位置(分点2000.0)赤経18h05.5m,赤緯+02°30’
  • 主星4.2等,伴星6.2等,位置角121°,離角6.9” (2021年),スペクトルK0V+K4V

明るく観察しやすい観察対象です。公転周期わずか88年の実視連星で、λ星よりも短周期です。これほど短い周期だと、数年でその位置関係の変化が分かります。現在はほぼ離角の最大の時期に当たり、これから年々近接していきます。赤橙色の主星に紫の伴星です。