夏の星座11

11わし座

鷲座

学 名
The Eagle
英語名
The Lyre
設 置
古代ギリシア
面 積
652平方度

天体観測の見どころ

1星雲星団の観察

わし座は大きな星座にもかかわらず、意外にもメシエ天体はなく、またその他の顕著な星雲星団もありません。ここでは上級者向けの天体2つを取り上げました。

NGC6760球状星団

  • 位置(分点2000.0)赤経19h11.2m,赤緯+01°02’ 視直径6.6’,等級9.1,集中度(高1-低12)9

小型の球状星団です。淡く丸い星雲状に見えます。小望遠鏡では、存在を見つけることがようやくのことで、のっぺりと特徴のない円盤状で星団には見えません。まるで大型の惑星状星雲のような印象があります。大口径の望遠鏡ではザラザラした質感から星の集まりと分かります。

NGC6781惑星状星雲

  • 位置(分点2000.0)赤経19h18.4m,赤緯+06°33’ 視直径109”
  • 写真等級11.8,視等級11.4,中心星等級16.2

この星雲はとても淡く、小望遠鏡では観察困難です。惑星状星雲としてはかなり大型で、非常に淡く円盤状に広がり、おおぐま座のM97ふくろう星雲に似た印象があります。眼視的な対象というより写真向きの天体です。

2重星の観察

5番星

  • 位置(分点2000.0) 赤経18h46.5m, 赤緯 -00°58’
  • 主星A 5.9等,伴星B 7.0等,位置角121°,離角12.5” (2019年),スペクトル A2V
  • 主星A 5.9等,伴星C 11.3等,位置角155°,離角21.8” (2017年),スペクトル A2V

とても興味深い三重星です。A-Bは、小望遠鏡で楽に観察できる重星です。1等級の光度差が愛らしく、主星は黄白色で伴星は澄んだ青い色をしているペアです。これに、格段に暗くうっかり見落としてしまいそうな11等の赤黒い伴星Cがあり、これを見るとこの伴星Cの印象が強く残ります。
主星には6.8等の分光で判明した伴星があります。また、30”の離角には11.3等の伴星もあります。これも小口径では観察困難です。

11番星

  • 位置(分点2000.0)赤経18h59.1m,赤緯+13°38’
  • 主星5.3等,伴星9.3等,位置角304°,離角20.8” (2019年),スペクトルF6IV

離角は十分ですが、4等級の大きな光度差があり小口径ではシーイングによっては観察が難しいでしょう。明るい黄色の主星に微かな灰青色の伴星です。天の川の中にあって視野内は微光星であふれています。

15番星

  • 位置(分点2000.0)赤経19h05.0m,赤緯-04°02’
  • 主星5.5等,伴星7.0等,位置角211°,離角39.6” (2019年),スペクトルK0IV

やや暗めですが、小望遠鏡で観察しやすい素晴らしい重星です。色合いも美しく、オレンジがかった黄色の主星に、深い青色の伴星がついています。

π星

  • 位置(分点2000.0) 赤経19h48.7m, 赤緯 +11°49’
  • 主星6.3等,伴星6.8等,位置角106°,離角1.4” (2018年),スペクトル A3V

とても近接した等光度の双子ペア。口径10cmのテスト星ですが、シーイングの良い時でもしっかり見ないと分離せず、細長い星に見えます。目試し,機材のテストに挑戦してみるとよいでしょう。

Σ2404星 (=HIP92475)

  • 位置(分点2000.0) 赤経18h50.8m, 赤緯 +10°59’
  • 主星6.9等,伴星7.8等,位置角182°,離角3.5” (2018年),スペクトル K5III

暗目のペアですが、まずまず面白い近接した観察対象です。一見、だるまの身体と頭のように見える明るさのバランスです。オレンジと薄い青色のペア。

Σ2489星(=HIP 94720)

  • 位置(分点2000.0)赤経19h16.4m,赤緯+14°33’
  • 主星5.7等,伴星9.3等,位置角347°,離角8.3”(2013年),スペクトルB9.5V

明るい白色の主星に青みががかった銀色の伴星のペアです。光度差のコントラストを楽しめます。主星はさらに5.9等と7.4等の分光連星です。

57番星

  • 位置(分点2000.0)赤経19h54.6m,赤緯-08°14’
  • 主星5.7等,伴星6.3等,位置角171°,離角36.3” (2019年),スペクトルB7V B8V

この57番星のすぐ南にある56番星とは双眼鏡的な重星となっています。57番星の主星伴星とも明るい黄色で、広く間隔を空けている小望遠鏡で最適な観察対象です。