冬の星座8

8ろ座

炉座

学 名
Fornax(略号 For)
英語名
The Furnace
設 置
ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ
面 積
398平方度

天体観測の見どころ

ろ座は南天に低く、星雲星団や重星などの観察には困難さがあります。しかし、銀河南極付近にありますから、銀河系内のチリが少なく遠くを見通せるために、遠方の銀河が多く見られます。ろ座には「ろ座銀河団」という約50もの銀河の集団がありますが、いずれも小望遠鏡には小さく、ほとんどは観察困難です。この中では、NGC1316とNGC1365が比較的明るいので取り上げました。

1星雲星団の観察

NGC1097銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経02h46.2m,赤緯-30°14’ 視直径10.5’x6.3’,等級9.2,型SB

代表的なフェイスオンタイプの棒渦巻銀河です。棒渦巻銀河の例として、よく引き合いに出されます。日本からの観察は南天に低く観察できる時間が限られます。中心部と中心を貫く棒の部分が明るく眼視的にはこの部分が見えます。口径20cm以上でも淡い渦巻部分を眼視的に見ることは困難で、紡錘状の銀河に見えます。

NGC1316銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経03h22.7m,赤緯-37°12’ 視直径13.5’x9.3’,等級8.2,型SAB

ろ座銀河団の一員です。ろ座の銀河の中では明るい天体で、口径20cm以上で楕円形に見えます。小さな円形の光芒の中心部は、恒星状に強く光ります。実体は巨大な楕円銀河で「ろ座A」と呼ばれる強力な電波源となっています。写真の中央がNGC1316で、すぐ北にはNGC1317銀河があります。

NGC1365銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経03h33.6m,赤緯-36°08’ 視直径8.9’x6.5’,等級9.3,型SB

ろ座銀河団の一員です。NGC1097同様に代表的なフェイスオンタイプの棒渦巻銀河で、この天体も棒渦巻銀河の例として、よく引き合いに出されます。写真では特徴的な姿が写し出されますが、眼視観測では口径20cmでも中心部がとても淡い楕円形状に見えるのみで、濃淡も少なく感じます。

NGC1398銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経03h38.9m,赤緯-26°20’ 視直径7.1’x5.2’,等級9.5,型SB
DSS(Digitzed Sky survey)によるNGC1398銀河

掲載している写真では不明ですが、周囲に淡く広く広がる銀河の腕があります。この写真では中心部のみが写っていますが、中心部はほんのりとした集光があります。中心部は口径10cmほどの望遠鏡ならば確認できます。

2重星の観察

α星

  • 位置(分点2000.0)赤経03h12.1m,赤緯-28°59’
  • 主星4.0等,伴星7.2等,位置角301°,離角5.4”(2017年),スペクトルF8V

光度差と色の対比を楽しめる美しい重星です。真珠のような乳白色の主星にオレンジ色の小さな伴星が近接しています。この重星は269年周期で公転する連星系で、現在は離角の最も離れた時期に当たっています。

ω星

  • 位置(分点2000.0)赤経02h33.8m,赤緯-28°14’
  • 主星5.0等,伴星7.7等,位置角246°,離角11.0”(2013年),スペクトルB9.5V

青白色の主星に、小さなグレーの伴星があります。南天に低いながら、導入さえできれば楽に観察できる観察対象です。