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はじめに
先行きが不透明で,将来の予測が困難(VUCA)な時代が到来し,企業に求められるITサービス提供の在り方も変化しています。「業務を円滑に遂行するための効率的・効果的なITサービス提供」だけではもはや不十分で,「競合他社に打ち勝つための迅速で柔軟なITサービス提供」を可能にする組織への変革が求められているのです。
そのためには,ITサービスマネジメントの手法をアップデートすることが必要です。本書で解説するITIL 4は,市場ニーズの変化に適用するために,2019年初頭にリリースされたITサービスマネジメントフレームワークの最新バージョンです。リリースから約4年が経過し,海外ではすでに多くの適用事例が紹介されています。
しかしながら,日本への浸透スピードが他国に比べて遅く,実践的に活用されている事例が少ないのが実態ではないでしょうか。著者はその最大の理由が,「日本語でわかりやすくかつ実践的な解説書」が存在しないことにあると考えており,今回本書を執筆する動機付けとなっています。
本書は,ITIL 4のコンセプトを図やイメージを使いながら,すでにITILを学習,活用してきた方だけでなく,今回初めて学習される方にも理解できるようわかりやすく伝えることを強く意識しています。さらに,我々がコンサルティング現場で経験したノウハウを織り交ぜて解説することで,事業部門も含めた自社サービスの企画,開発,運用保守やDX推進に関わるマネジメントまたは現場担当者が,ITIL活用のメリットや具体的に取り組むためのヒントを得られるよう構成しました。加えて,実務では様々なフレームワークが適用されているケースも多いため,関連するフレームワークについても触れています。
またDL特典として,本書で説明するITILの理解度を認定する「ITILファンデーション認定資格試験」にチャレンジする方向けに,模擬試験(解説付き)を提供しています。受験されない方も理解度を確認するためにご活用いただくことが可能です。
本書がデジタル時代のサービスマネジメントを推進していくための知識の最新化及び実践するための一助となれば,これに勝る喜びはありません。
2023年10月
アビームコンサルティング株式会社
加藤 明