著者の一言

IoTシステムという言葉が騒がれてからすでにかなりの時間が経ちました。しかし、IoTシステムが世の中に普及しているとは言い難い状況ではあります。

そんな世の中の流れとは別に、ちょっとしたIoTシステムを自分の手で実現したいと考えておられる方は多いのではないかと思います。しかし、製作するに当たって、どういうデバイスやセンサを使ったらよいかわからなかったり、どれを使うか迷ったりすることがしばしばです。

本書はそんな方々を対象に、多くの方法がある中からどれを選ぶかを決める手間を省くという趣旨で、代表的なエッジデバイスに使える機器やセンサなどを中心に、実際の製作例でどんなものになるかを試した結果を解説しています。

対象としたデバイスは、PICマイコン、Arduino Uno、XIAO、Raspberry Pi Pico W、M5Stack、Raspberry Pi 4B、パソコン、タブレットとなっています。

いずれの製作例も基本的な機能だけに絞っていますから、これらの例題をベースにしたり、組み合わせたりして実際に使えるデバイスを製作することを前提にしています。

使っているセンサや表示器などは、同じものを複数の製作例で使っていますので、第3章の最初にまとめて仕様や使い方を解説し、各製作例での詳細な解説は省いています。

また、IoTのセンター機器については、対応するプログラムが大規模でアプリケーションごとに異なりますから、本書では対象から外しています。中継役となるゲートウェイや、エッジデバイスとゲートウェイ間の通信方法については、簡単な製作例で解説しています。

インターネット経由で便利に使えるクラウドについては、代表的なものについて解説をしました。すべて無料で使える範囲としています。

本書は、ある程度自作経験のある方々を読者の対象としていますので、全く初めてという方々は、他の入門書などから始めて頂く方がよいかと思います。

これからIoTで身の回りのことを自作した機器で自動化、最適化したいと考えておられる方々に、本書が少しでもお役に立てば幸いです。

後閑哲也(ごかんてつや)

1947年生まれ。子供のころに電子工作に魅了され,大学,仕事とすべて電子の世界を歩む。この子供のころからの電子工作の趣味の世界と,仕事としているコンピュータの世界を融合した遊びの世界をホームページや書籍で紹介し続けている。