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かつて,多くの雑誌が電子工作の記事でにぎわった時代がありました。50代以上の方なら,はんだごてを握って電子工作に没頭した経験があることでしょう。しかし部品も真空管からトランジスタ,IC,LSIと移り変わり,もはや自作の余地のなくなった感がある電子工作ですが,ここに来て,またじわじわと人気が出てきました。純粋に音質を求めてたどり着く人や,真空管の持つ暖かさに惹かれる人も多いようです。
自力で解決する難しさ,楽しさ
パソコンの自作でも試行錯誤は当たり前。ましてや真空管を使った工作となると,電子回路や部品について,ある程度の基礎知識を持った上で,あれこれ工夫する必要があります。回路図と部品の表があれば確実に作れます,とはいえないのが難しいところ。でもそこは趣味の世界,そのたいへんさがまた楽しいわけです。
これが実体配線図。回路図と見比べてみよう
回路図を読んで実際の部品に置き換えるには,電子回路の知識が必須です。回路図は部品の配置図ではないからです。そのため,かつての工作本には,実際の部品をどのように配置して配線するかをイラストで表した「実体配線図」が掲載されていたものです。これがあれば回路図の読みこなしに自信がなくても,なんとか工作することができます。今では貴重となった実体配線図ですが,ご紹介する『定年前から始める男の自由時間ベストセレクション 真空管アンプ・スピーカー作りを楽しむ』では,製作記事すべてにこの実体配線図が用意されています。これだけでも保存の価値アリです。
本書で取り上げるのは,6BX7管を使ったヘッドホンアンプ,6L6シングルステレオアンプ,2A3ロフティン・ホワイトアンプ,それに小型のスピーカーです。すべて回路図,実体配線図付きで,写真入りで手順を追って詳しく解説しています。
苦労の多い真空管工作ですが,それだけに完成したときの喜びは大きいはずです。
6BX7管とECC84を使ったOTLヘッドホンアンプ