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「すぐやる!」
「すぐに答えを出す!」
「とにかく早く利益を出す!」
そんなスピード主義の考え方に対して,こんなふうに感じたことはないでしょうか。
「いつもうわべだけの行動で終わってない?」
「ここはもっと考えたほうがいいんじゃない?」
「いまだけ良ければそれでいいの?」
そんな疑問へのヒントになるのが,「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念です。もともとは18世紀末から19世紀初頭のイギリスの詩人ジョン・キーツの言葉と言われており,「不確実や未知なものの中にとどまる能力」を示すものですが,精神科医,心理学者,哲学者,経営学者など多様な分野の専門家によってさまざまな定義が示されています。
400以上の企業・自治体・官公庁の組織開発の支援実績を持つ沢渡あまねさんは,ネガティブ・ケイパビリティを以下のように定義しています。
「すぐ解決しようとしない行動特性および能力」
ネガティブ・ケイパビリティの真逆の概念が「ポジティブ・ケイパビリティ」。沢渡さんは,ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティの違いを下の図のようにまとめています。
ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティの比較
ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティは,どちらも大事で,共存すべきものです。ただ,ポジティブ・ケイパビリティが優勢で,ネガティブ・ケイパビリティの要素が足りない会社が少なくないのではないでしょうか。
「自分でやったほうが早い!」
「で,あなたはどうしたいの?」
「いつもポジティブに!」
「テレワークは原則禁止,副業なんてもってのほか!」
「生産性を上げろ!」
「そんなことしてなんになるの? 儲かるの?」
そんな言葉に象徴されるネガティブ・ケイパビリティ不足の“あるある”を,ストーリー形式で解説しつつ,ネガティブ・ケイパビリティを育てる戦略をまとめたのが『「すぐに」をやめる』という書籍です。
2025年1月に某テレビ局のコンプライアンス・ガバナンスの問題が話題になりましたが,「会社の一部の人の暴走を止められないというのは,うちもひとごとじゃないかも……」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。内向き,同質,モーレツ……旧態依然,バランスが歪になってしまっている組織文化がもたらすリスクはもはや無視できません。
あなたの会社の体質,一度見直してみませんか?