情報が武器になるITシステムを実現するには

情報を活用するしくみのために必要なこと

「自分たちの仕事に関わる情報をしっかり記録し、その記録を縦横無尽に活用して、もっと仕事をスムースに進めたい⁠⁠。情報とITに関わる仕事をされている方であれば、そんな考えがおそらくあるのではないかと思います。

私たちの仕事のすべての場面には、知ってほしい情報、知りたい情報、伝えたい情報、忘れたくない情報など、さまざまな形で情報が関わっています。こうした情報を活用するための文明の利器がITであり、そしてデジタル時代の情報活用の土台として、データベースがあります。⁠ITやデータベースの活用」というと、とかくITシステム構築に関わる専門家の仕事と捉えられがちですが、実はITやデータベースをどのように活用するか、どんな情報をどのように写し取り、蓄え、取り出すかということは、実際に利用する側の方が、自分の頭で考えておく必要があります。

図1 ITは文明の利器の一つ

仕事と情報

私たちの仕事は、⁠インプット」⁠活動」⁠アウトプット」という流れで捉えることができます。⁠目玉焼きを作る」という仕事であれば、卵というインプット、目玉焼きを作るという活動、できあがった目玉焼きというアウトプットがあります。社内業務を例に考えると、誰かからの依頼がインプットとしてやってきて、社内での作業や判断という活動を経て、成果物や結果というアウトプットが生まれます。その途中や結果として残しておきたいことが情報です。仕事における情報とは、⁠それを知らないと仕事ができないもの」であり、⁠何らかの仕事の結果として生じるもの」でもあるともいうことができます。

図2 インプット、活動、アウトプット

情報は、現実の事実を後から追いかける形で発生します。たとえば、喫茶店のメニューは「メニューを考える」という仕事のアウトプットですし、注文伝票は「顧客が注文する」⁠店員が書き留める」という仕事の結果として生まれます。検討の結果や、決断した内容も同じです。

図3 事実を写し取るという活動のアウトプットとして情報が生まれる

情報とデータベース

こうした情報を、紙や記憶だけに頼らず、データとしてきちんと残すために必要になるのが、データベースです。データベースに情報を保管するかどうかは、人間が明確に意思決定しなければなりません。放っておいても自動的にデータがデータベースに記録されるわけではなく、⁠どの事実をデータとして残すか」⁠不要なデータをため込まないようにするか」を考え、決める必要があります。喫茶店でお客さんの注文をとる流れを例にとると、データベースにデータをためるためには、⁠注文」⁠商品」⁠テーブル」といった実体をエンティティ(情報のいれもの)として整理し、重複するものをまとめながら、注文見出し・注文明細・商品・テーブルといった具体的なエンティティを決めていきます。

このように、ITやデータベースを活用するためには、仕事の流れと、そこで発生する情報と、データベース上のエンティティを対応づけるといった作業をしていくことが必要となります。これは要件定義と呼ばれる作業の一つであり、データベースの活用という観点では、データモデリングという作業でもあります。データモデリングというと一般に、専門のエンジニアの仕事と思われやすいのですが、こうしたことは実際にデータを活用する立場の人こそが第1に行うべきことでもあります。

データベースの中で業務に関わるデータを一つひとつ具体化し、定義するような作業は地道で面倒な作業でもあります。しかし業務におけるデータを縦横無尽に活用することができるシステムを作り上げるためには、こうしたデータモデリングの作業こそがもっとも重要な作業とも言えます。

このような、仕事と情報とITの関係を整理し、情報をしっかり記録し、その記録を縦横無尽に活用するという仕事をスムーズに行いたい方には、こんにちは!要件定義①【情報活用とデータベース編】がお薦めです。情報とは何かから始まり、丁寧にわかりやすく、IT活用、要件定義、データモデリングについて解説してくれます。