企業活動において、顧客の意見を取り入れ製品やサービスの向上につなげていくことは非常に重要です。そのためには、企業と顧客との接点における優れたカスタマエクスペリエンスの実現が不可欠です。ライトナウ・テクノロジーズ株式会社(以下、ライトナウ)は、「 全ての顧客に感動体験を提供する」ことをミッションに掲げ、カスタマエクスペリエンスの専門家として12年に渡る実績を築き上げてきました。同社では、グローバルなデータセンターに構築された完全マルチテナントのクラウド・インフラをベースとして、BtoC(Business to Consumer)のビジネスを行うあらゆる業界の企業に対して高いカスタマエクスペリエンスの実現をサポートしています。
今回はライトナウでプロダクトマネージャを務めるChristopher M. Tarabochia氏に、カスタマエクスペリエンス向上のためのポイントや、それをサポートする同社の「RightNow CX」などについてお話を伺いました。
※カスタマエクスペリエンス:マーケティング用語のひとつで、「 顧客経験価値」のこと。顧客が商品を購入したりサービスを利用したりする際に体験する様々な経験に焦点を当て、これを顧客に提供するひとつの価値として扱う。
ライトナウ・テクノロジーズ株式会社プロダクトマネージャ、Christopher M. Tarabochia氏
カスタマエクスペリエンス向上のために重要な顧客との3つの接点
Tarabochia氏は、カスタマエクスペリエンスの向上を考える上で、企業と消費者の間には3つの重要な接点があると説明します。
1つ目は「Web」です。WebサイトやWebサービス、電子メールなどによって、企業は消費者に対する様々なエクスペリエンスを提供することができます。この領域では、主に企業側が主体となってコンテンツを提供し、それに消費者がアクセスするという構図が成り立ちます。
2つ目は「コンタクトセンター」です。コールセンターやサポート窓口などがこれに該当します。この領域では、顧客側から企業に対してコンタクトを取り、意見やサポートの要請を行うといった構図になります。
そして3つ目が「ソーシャル」です。ソーシャルへの対応については、近年になってその重要性が急速に増してきました。その理由としては、企業と顧客間の関係が従来とは変わってきたことが挙げられるとのことです。従来であれば、顧客が製品やサービスについて分からないことや意見があった場合には、企業のWebサイトやコミュニティサイト、コンタクトセンターなどを利用して問題の解決を図るというのが一般的でした(図1 ) 。しかしSNSをはじめとするソーシャルメディアの登場によって、顧客側が企業の用意したコンテンツなどを利用することなく、独自の情報収集によって問題の解決を試みる傾向が強くなりました(図2 ) 。
図1 Socialへの対応の必要性:従来の関係
図2 Socialへの対応の必要性:新たなアプローチ
一言にソーシャルと言っても、顧客の意思決定を支える情報源としては、友人やその知人、クチコミサイト、ブログ、Twitterなどのつぶやきサイト、Facebookをはじめとしたソーシャルネットワークサービスなど様々です。このようなソーシャルの領域は顧客同士のつながりによって形成されるため、企業のナレッジが反映されにくいことや、企業が顧客のニーズを把握しにくいといった性質があります。そこで、この領域に企業がどのようにアプローチするべきなのかということが新たな課題になっていると同氏は指摘します。
「顧客は日々の環境の中でリアルタイムな情報やヘルプを求めています。したがって企業としては、コールセンターに連絡してもらってから回答を出すという対応では顧客のニーズに応えることはできません。すでに顧客同士がフォーラムなどを活用してディスカッションし、問題の解決を行っているわけです。その活動を企業側がどのような形でサポートできるのか考えなくてはいけません。それに加えて、顧客が何を問題にしているのかを、ソーシャルにおけるコミュニケーションの中から拾い上げる必要性も生じてくるわけです」( Tarabochia氏) 。
カスタマエクスペリエンススイート「RightNow CX」
ライトナウが提供している「RightNow CX」では、顧客に上質なサービスを提供する上で最も重要となるこの3領域のエクスペリエンスの管理を、グローバルなクラウドプラットフォームをベースとして統合的にサポートします(図3 ) 。
図3 RightNow CX
「RightNow Web Experience」は、顧客がオンラインで情報を収集したり問題を解決したりできるようにするためのエクスペリエンスを提供します。モバイル端末によるアクセスや、チャット、メール等によるマネージメントもサポートします。
「RightNow Contact Center Experience」では、顧客やオペレータが必要な情報を簡単に探し出すことができるナレッジベースの構築をサポートします。音声自動応答やオペレータによる電話や電子メールによる対応など、コミュニケーション手段を問わずに、マルチチャネルで一貫したカスタマエクスペリエンスを実現します。
「RightNow Scial Experience」は、ソーシャルWebに対する企業側からのアプローチを手助けする製品です。ソーシャルのサポートについて、Tarabochia氏は次のように語っています。
「多くの企業はソーシャルへのアプローチの仕方がわからず、恐れている部分があります。しかし、ただ待っていても顧客の要求は伝わってきません。企業がソーシャルに対して能動的にアプローチしていく必要があるわけです。我々はその解決を手伝うことができます」( Tarabochia氏) 。
企業がソーシャルにアプローチするとしてRighNow CXに用意されている機能の1つが「クラウドモニター」です。これはソーシャルコミュニティにおいて自社製品に関連するキーワードやレビュー、ディスカッションの内容を分析・レポートすることで、企業が状況を迅速に把握し、早期のうちに対策を行えるようにするというものです。情報の関連性や顧客の行動などを自動で分析し、同じ内容のディスカッションを収集するといった機能も有しているとのことです。これによって企業は顧客が求めているものをリアルタイムに把握し、提供することができるようになるわけです。
「顧客がWebにアクセスする目的は2つあります。ひとつは情報を探すこと、もうひとつはヘルプを求めることです。これらを全て統合してサポートすることが重要です。ひとつの手段だけでなく、顧客に対して選択肢を提供することが、カスタマエクスペリエンスを向上につながるのです」( Tarabochia氏) 。
今後の展望
Tarabochia氏によれば、RightNow CXでは2011年のテーマおよびメッセージとして次の内容を掲げているとのことです(括弧内は実施月の目安) 。
CX Conversion 2月 企業の知識をエクスペリエンスに結びつける"Conversion"を向上させる
CX Social Web 5月 ソーシャルWebにおけるブランドイメージの保護や促進をサポートする
CX Ecosystem 8月 カスタマエクスペリエンスに対する透過的なエコシステムを構築する
CX Mobility 11月 携帯電話やスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末のサポートを強化する
ただし、上記はあくまでも予定であり、市場の状況などに応じて変更される可能性もあります。
Tarabochia氏からのメッセージ
最後に、Tarabochia氏より以下のメッセージをいただきました。
「日本の状況とアメリカの状況を比べると、日本ではすでにモバイルにおけるビジネスが主流となっています。アメリカでも、まさにこれから移行していこうという段階です。手元の端末を使ってどこからでもWeb上のコンテンツなどにアクセスできる状況になったことで、迅速なサポートが欲しいという顧客が増えています。そのため、カスタマエクスペリエンスの向上は企業にとって今後ますます重要性が増してくることでしょう」 。
ライトナウ・テクノロジーズ株式会社
URL:http://jp.rightnow.com/