The Analytics──誰のためのWebアクセス解析か?

第1回 Web解析には道具(ツール)がある

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図1 Web解析ツール 3つの方式

図1 Web解析ツール 3つの方式

3つの方式

なるほど,これだとわかりやすいと納得していると,矢島がそれぞれの違いを教えてくれた。

「ログ方式の場合,自分のサーバの記録を集計することになる。大きなサイトになればなるほどやりとりの回数が増えるから,これを集計するのはすごい時間がかかってしまう場合もある。また,自分でうまく使いこなさないと基本的な情報しかとれないんだ」

「基本的な情報しか取れないと何が困るんだ?」

「実はサーバは,キャッチボールをする時に返す相手はわかっていても⁠誰⁠というところは知らないんだ。だから,おまえがAページに行ったあとにBページを見に行ったとしても,それは別々で記録される。そのままではおまえがAページからBページへ移動したことがわからないんだ」

「ふ~ん。で,何をすればわかるようになるんだ?」

「具体的にはCookieというものを利用する。これはブラウザ側に付けられるタグみたいなもので,そこにおまえをIDなどにして管理するんだ。キャッチボールをする際にはこのIDの情報も一緒になってくるから,それも記録をしておけば集計することができるようになる」

「なるほどね。じゃあ,そのIDをつける作業をしなきゃいけないんだな」

「そうだな。システムにそういう改修をすればできるだろう」

「そうか…それはお金がかかりそうだな」

1つのキャッチボールにもドラマがあるらしい。ちなみにCookieを使ってタグをつけることを業界の人は「Cookieを食べさせる」とか言うらしい。

次にパケットキャプチャ式について教えてくれた。

「パケットキャプチャ式はさっきも言ったように第3者の人が数えるんだ。これはコストがかかる」

「人件費みたいなものか?」

「おぉ,そうそう。要はその計測をする人を用意しなければならないからなんだ。これは社内でWebサーバと同じ場所にもうひとつ集計をしてくれるサーバを立てるんだ」

確かに第3者を用意するのにはコストがかかる。そりゃそうだ。ただ,その代わりとして大量のデータを集計することができるし,社内にサーバがあるために安心なのだそうだ。

そして最後にタグ方式。

「タグ方式は手紙を他のサーバに渡すんだ。この相手は社内のサーバのこともあれば,ASPサービスを使った外のサーバの場合もある」

「手紙だと今までと何が違うんだ?」

「手紙はいろいろ書けるだろ?キャッチボールを観察しているだけではわからない情報なんかも,手紙に書いておいて集計することができるんだ」

「へえ~面白いな」

「たとえば,そのページがキッチン用品だったとするだろ。そうすると"私が見ているページはAという商品で,カテゴリはキッチン用品です"といった内容が送られるわけだ。これを集計するとAという商品もわかるが,キッチン用品というカテゴリの人気も一緒に集計できるんだ」

「なるほど自由度が高いな。でも,デメリットもあるんだろう?」

「もちろん。ブラウザには手紙のフォーマットをコンテンツと一緒に送る必要がある。サーバには事前にコンテンツごとに手紙をくくりつけておく必要があるんだ」

「それはずいぶんと大変だな」

「確かにな。一度やってしまえば終わりなんだが,特に大規模なサイトの場合は結構大変なんだ」

実際にWeb解析ツールを導入する際は,サイトの規模や予算などによって方式の選択が変わるとのだそうだ。なるほど,とりあえず自分がこれからやらなければならないことは分かった。まずは,ツールの選定である。これは非常に骨の折れそうな作業だが,矢島がビールをおごることを条件に相談にのってくれるということなので,定期的にお願いすることにした。持つべきものは友である。

つづく

著者プロフィール

安西敬介(あんざいけいすけ)

大手Eコマースサイトにおいて、システムエンジニア、コンテンツディレクターを経て、マーケティング戦略の支援や、Webサイトの分析を行う。

URLhttp://an-k.jp/blog/


松田恵利子(まつだえりこ)

ダブルクリック株式会社 アナリティクス事業部

WEBサイト制作・開発,Webディレクター,モバイル向けマーケティングツール事業の立ち上げを経て,2005年ダブルクリックに入社。さまざまな企業へのアクセス解析ツールの導入を担当する。現在は,アクセス解析チームを取りまとめる一方,Webマーケティングサービスの事業開発を行う。

URLhttp://www.doubleclick.ne.jp/