デジタルブランドマネジメント

第1回ブランド毎に異なるデジタルストラテジー

盲目的なデジタルへのスペンディング

様々なブランドから「デジタルへのスペンディングを増やす」という話を聞きます。中にはテレビCMのメディア予算を大幅に削り、⁠デジタルに投下する」というような話も。しかし、ここで言う「デジタル」とは具体的に何のことでしょうか。一体どのような目的で、何に投資を行うのでしょうか。

残念ながら、あまり明確になっていないケースが多いと思います。競合のベストプラクティスや、単なるトレンドに左右され、盲目的に投資の判断が行われているのではないでしょうか。

一言で「デジタル」と言っても、その中身は幅広く、様々な要素や目的が存在します。もちろん、ブランドによって効果も異なります。どのタクティクスがブランドにとって重要であり、どのような効果をもたらすのか。それぞれを正しく理解し、効率的な投資を行わなければ、デジタルからのリターンは期待できません。

ブランド毎にタクティクスは異なる

ブランドマネジメントの仕事には主に4つの目的があると思います。

  1. アウェアネス(認知度)の拡大
  2. クオリティ(品質知覚)の向上
  3. アソシエーション(連想されるイメージ)の強化
  4. ロイヤルティの獲得
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すべてのタクティクスにはそれぞれの目的が存在し、最適な組み合わせはブランドによって異なります。例えば、ベビー用品のようなカテゴリーでは、⁠年間100万人ほどの新しい親」というマーケットの大半が絶えず商品情報を求めて検索を行っています。しかし、全国のスーパーやコンビニなどで販売される食品・飲料は、対象とするマーケットが数千万人規模でありながらも、検索を行うユーザーはその1%にも及びません。

これらのブランドがアウェアネスの拡大を行う上で投資すべき対象は明らかに異なります。最近はクチコミを通じたアウェアネスのために、ソーシャルメディアへの投資を積極的に行うブランドも増えています。しかし、すべてのブランドが話題になりやすいとは限りません。⁠自然な会話に適したトピックであるか?」⁠顧客が自身と関連付けたいブランドであるか?」⁠クチコミが購買動機に繋がるのか?」など、ソーシャルメディアとの最適な関わり方もブランド毎に異なるのです。

タクティクスは手段であり、目的ではない

重要なのはタクティクスを実行することではなく、先ず目的を明確にすることでしょう。そして、目的に合わせてブランド毎に最も効果的なタクティクスを選択すべきです。

  • 「Facebookページを立ち上げる」のではなく、⁠ロイヤルティを獲得する」にはどうすべきなのか?
  • 「Webサイトをリニューアルする」ではなく、⁠品質知覚を向上する」にはどうすべきなのか?
  • 「クチコミを起こす」ではなく、⁠アウェアネスを拡大する」にはどうすべきなのか?

デジタルを孤立したチャネルとしてではなく、カスタマージャーニー[1]の一部として考え、ブランド毎に最適なタクティクスを選択することが、デジタルブランドマネジメントの第一歩だと思います。

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