デジタルブランドマネジメント

第22回クリエイティブの効果を高める3つのポイント

マーケティングメッセージを表現するクリエイティブには無数の可能性がありますが、効果的なものは限られています。また、効果的なクリエイティブのアイディアを見つけることができたとしても、そのエグゼキューションが伴わなければ、マーケティングメッセージが相手に伝わることはありません。

Webサイトやキャンペーンなどのクリエイティブを適切に制作し、その効果を高めるためには、クリエイティブのアイディアをチーム内で正しく評価する必要があります。どのようなポイントを押さえればクリエイティブアイディアを正しく評価することができるのでしょうか?

ターゲット

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まずは明確なターゲット像を定義する必要があります。デモグラフィックや購買行動などの基本的な情報だけでは、ブロードターゲットという広い定義に留まり、クリエイティブアイディアの評価には役立ちません。ブルズアイターゲットと呼ばれる詳細な定義のためには個人の関心や価値観、購買動機などより詳しいサイコグラフィックを知る必要があります。

ブランドコンサルタントであるJim Signorelli氏は著書『StoryBranding』の中でターゲットの心理を一人称の文章で詳細に描く「I am Statement」の作成を推奨しており、金融サービスのクライアントに提案した一例を紹介しています。

「私は銀行を使うようになってから、彼らから「顧客第一主義」「顧客満足度の高さ」というようなメッセージを聞かされ続けてきた。正直、そんな話は誰も信じないし、気にもしない。過剰なサービスや優遇を期待しているわけではない。基本的なことをきちんとやってほしいと思うだけ。電話でたらい回しにしないでほしい。窓口ではなくATMで済ませられるようにしてほしい。

顧客第一と言うのであれば、私の日常がどれだけ忙しいかを理解してほしい。厳しい仕事や大切な家族、一日にたくさんのタスクを抱えている。私にとって、銀行に行くことは決してプライオリティの高いことではない。銀行に使う余分な時間なんてない。銀行が人の夢を叶えるとかいうコピーにも全く興味はない。

私が求めているものは簡単だ。銀行をもっとシンプルにしてほしい。もう少し長く開いてくれてもいいだろう。せめて仕事帰りに寄れるようにして欲しいし、ATMの使用料なんて取らないでほしい。書類は誰でも簡単に理解できるものを送ってくれ。顧客第一主義というのなら私の話を聞いてくれ。」

いかがでしょう? ターゲットの明確なイメージを抱くことはできたでしょうか。このように心理的な側面を詳細に描く一人称の文章を用いることで、チーム内でターゲット像が明確になり、クリエイティブアイディアの良し悪しを全員でロジカルに判断・議論することができるようになります。

インサイト

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インサイトとはターゲットの思考と購買行動の因果関係に対する洞察です。どのような考えが購買、または非購買につながっているのか。これを定義することができなければ、伝えるべきこともわかりません。上記のターゲットであればインサイトは次のようになるでしょう。

「金融サービスはどれも面倒だから、大きく金額が変わらないのであればわざわざ今の銀行から変える気はない。」

コミュニケーション

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コミュニケーションはインサイトへのレレバンス(関連性⁠⁠、競合とのディフレンシエーション(差別化⁠⁠、クレディビリティ(信頼性)の3つの要素を満たすことで売りにつながります。

上記のインサイトであればレレバンスとして「簡単さ」を表現するべきです。ディフレンシエーションとして「競合が提供していないサービス」をアピールするなどが考えられます。そしてクレディビリティとして「顔が見える、有人での問合せ対応」などを表現しても良いでしょう。

クリエイティブを正しく評価し、その効果を高めるためには、これらのターゲット・インサイト・そしてコミュニケーションのポイントを1つのシートにまとめ、プランニングやクリエイティブを行うチーム内で共有しましょう。制作の各段階でクリエイティブアイディアがターゲットに響くか、インサイトに強く関連しているか、競合との差別化ができているか、そして信頼できるかを客観的に評価することができるはずです。

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