デジタルブランドマネジメント

第28回デジタルマーケティングが失敗する3つの原因

デジタルマーケティングへの投資が年々増加し続けるなか、多くのマーケターは未だその成果を実感できていません。アメリカでのアドビ社の調査でも60%のマーケターが「デジタルマーケティングへの投資を増やす」と答えましたが、⁠自社のデジタルマーケティングが機能している」と答えたのはわすか9%にすぎません。多くの効果的なテクノロジーが存在し、企業が積極的な投資をしているにも関わらず、具体的な成果が出ないということは、エージェンシー側に問題があるのではないでしょうか。デジタルマーケティングを成功させるためには、私たちエージェンシー側のデジタルマーケティングへの取り組み方を根本から見直す必要があるかもしれません。

デジタルマーケティングの問題の多くは、エージェンシーが持つ従来のマーケティングプロセスやフレームワークで解決することができません。よって、いかに優秀なエージェンシーでも、その多くは未だデジタルマーケティングの効果的なソリューションを提供できずにいます。デジタルマーケティングが失敗に終わる3つの主な原因は、タッチポイントの正しい設計、クリエイティブのテスト、そして公開後の改善施策ができていないことだと言えます。

タッチポイントの正しい設計

デジタルマーケティングを成功させるためには、複数の施策を複合的に実施する360°(スリーシックスティー)のような考え方ではなく、ディスプレイ広告、YouTube、キャンペーンサイト、Amazon、Facebookなど、様々なタッチポイントを連携させ、一人ひとりのユーザーを確実に購買へと誘導する必要があります。ブラウザのクッキーやメールアドレスを活用し、同じユーザーに異なるタッチポイントで継続的に接触することができなければ、デジタルマーケティングは機能しません。リターゲティングメールマーケティングなどの最低限のテクノロジーを活用し、正しくタッチポイントを設計する必要があります。

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FICCでは、特定のYouTube動画を閲覧したユーザーにリターゲティングバナーを配信し、効率的にターゲットをキャンペーンサイトへと誘導した事例があります。さらに応募者にはメールで送付したAmazonクーポンで購入を促し、購入者にはレビューの投稿やソーシャルメディア上のクチコミを促すメールを送信しました。また、商品のパッケージに貼ったシールなどから、クローズド懸賞へと誘導し、リピート購入やクチコミを獲得する施策なども実施しています。このようにタッチポイントが正しく連携するよう設計をすれば、確実に売上やクチコミを増加させ、マス広告を超える費用対効果を実現することができるのです。

クリエイティブのテスト

デジタルマーケティングではクリエイティブの数に制限はありません。バナー、映像、そしてWebサイトなどのクリエイティブはいくつでも、同時にテストすることが可能です。バナーや、Webサイトのクリエイティブをテストするソリューションは多く存在し、低コストで導入が可能です。消費者の反応を見ずに、クリエイティブの効果を正しく予測することはできません。複数のクリエイティブをテストしなければ、マーケティング施策の成功を運に任せてしまうことになります。

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バナーなど、低コストで作れるものは、有効であると考えられるバリエーションをすべてテストします。ある事例ではイメージ、コピー、ボタンなどを組み合わせ、200パターンのバナーをターゲットの年齢セグメント毎に配信をしました。多くのクリエイティブをテストし、効果の高いものだけを採用すればキャンペーンのパフォーマンスを大幅に向上させるだけでなく、店頭やCMなどで活用できるコミュニケーションを見つけ出すこともできます。

公開後の改善施策

デジタルマーケティングではリアルタイムな測定と改善が可能です。無料のGoogle Analyticsからでも改善に必要な情報は十分に得ることができます。マーケティング施策に改善の余地が無いということはありえません。そのため、公開後の改善施策を怠ることは、費用対効果の低下を招きます。一度開始したキャンペーンでも、途中で迅速かつ柔軟にその内容を変更できるようにしましょう。

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改善施策はキャンペーンなどの公開後、十分なデータが集まり次第、速やかに開始します。広告やWebサイトのクリエイティブだけでなく、広告費の配分も見直しましょう。公開後、高頻度な改善施策を繰り返し実施し、短期間でパフォーマンスを向上させた後に、広告費を集中的に投下することで、キャンペーンの効果に大きな山を作ることができます。

タッチポイントを正しく設計し、より多くのクリエイティブをテストし、公開後に高頻度の改善施策を行えば、デジタルマーケティングは成功します。多少のワークロードの増加はありますが、提供できる成果には変えられません。エージェンシーはこのようなデジタルマーケティングへの取り組み方を受け入れ、プロセスを徹底することで、クライアントにデジタルマーケティングの成果を実感してもらうことができるでしょう。

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