NORIのFlashユーザのためのMovable Type講座 gihyo.jp版

第2回MTのインストールとFlashモックアップ作成

今回から、さっそく作業にとりかかりますが、まず、環境を構築することから始めたいと思います。まず、MTをWebサーバにインストールしてみましょう。

MTのインストール手順については、ステップバイステップで話を進めます。

MTのインストール

今回使用するMTは、MTOS(エムトス)という製品です。聞き慣れない方もいるかもしれませんが、MTOS(エムトス)とは「Movable Type Open Source」のことで、シックス・アパート社のMovable Typeとコア部分が同一のオープンソース・ソフトウェアのことです。そのため機能的にはMovable Typeとほぼ同等です。この連載では便宜上MTと呼んでいますが、シックス・ アパート社のMovable Type または、MTOSの両方を指しています。

MTOSは、ライセンスフリーのため導入時のコストをカットやすい(商用利用でも無償)というメリットがありますが、同時に、GPLライセンスを採用しているので、プラグインも同様か矛盾しないライセンス形態を要求されます。また、大きな違いとして「カスタムフィールド(Movable Typeでは標準で搭載⁠⁠」がないことも挙げられます。

また、MTOSには、メーカーがあるわけではないので、有償サポートもありません。

実際、トラブれば、それなりの技術力が必要になってきますが、今回は面倒な処理をすべてFlashで賄うことを前提にし、とくにMovable Typeの特別なプラグインを使わないということで、MTOS(MTOS 4.24-ja)を選択しました。

MTOSについて、詳しくは「MTOS: Movable Type オープンソース・プロジェクト」を見てください。

ここではMTのインストールを次の手順で行います。

  • インストールファイルの入手とアップロード
  • Perlの実行環境の確認
  • データベースの準備
  • メール送信プログラムの確認
  • インストール実行
  • データベースの設定/メールの設定
  • アカウントの作成/最初のブログを作成
  • インストール終了

また、⁠インストールのやり直し」も簡単にできるので紹介しています。失敗を恐れず挑戦してください。

サーバスペックについて

MTのインストールに必要なサーバスペックは、連載もっと知りたい!「これからはじめるMovable Typeの本」第3回 サーバーのスペックを知って、MTライフを快適に♪ドキュメント「必要インストール環境、動作環境」にも書かれていますので、ご覧ください。

サーバのスペックがわからない場合は、とりあえず、MTに用意されているチェックプログラム(mt-check.cgi)を走らせることで、詳細がわかります。 MT対応と謳っているレンタルサーバであれば、おおむね大丈夫です。

インストールファイルの入手とアップロード

MTは、Perlで書かれています。そのため、そのソースはPerlによるテキストと画像ファイルです。MTの公式サイトには、ダウンロード用のファイルがありますので、ダウンロードし解凍してから自サイトにアップロードする必要があります。

  1. MTOSを公式サイトMTOS: Movable Type オープンソース・プロジェクトからダウンロードします。

    MTOS: Movable Type オープンソース・プロジェクト
  2. MTOSを解凍したら、FTPでアップロードします。ZIPファイルなので、⁠右クリック > すべてを展開」で解凍できます。

    ZIPファイルを右クリックし、「すべてを展開」

    アップロード先は、Webアクセスが可能な領域です。通常は、mtというフォルダを作成して、そこにアップロードします。

    mtフォルダに全ファイルをアップロード

    アップロード数が膨大なので、アップロードに失敗することも珍しくありません。確実にアップロードが完了するまで何度でもしましょう。

    たとえば FFFTPなら図のように「新しければ上書き」オプションを使ってアップロードを繰り返します。アップロードすべきファイルがなくなると、アップロードの進捗ダイアログ(プログレスバー)が出なくなります。

    新しければ上書きオプションでアップロード
  3. 次に拡張子cgiのファイルの属性(パーミッション)をすべて変更します。これも、FFFTPを使っているなら、ファイルを選択した後、⁠右クリック > 属性変更」で変更します。

    拡張子cgiのファイルに実行権限を付与

    cgiファイルの属性値はサーバごとに異なりますので、レンタルサーバの指示に従ってください。大抵は、755や700でしょう。

Perlの実行環境の確認

MTはPerlで書かれているため、Perlの実行パスが正しくないと動作しません。

デフォルトは、/usr/bin/perlです。telnetで次のように「whereis perl」と入力すれば確認できますが、通常は、レンタルサーバのヘルプにPerlの実行パスについて書いてあります。

whereisperlコマンドで調査

もし異なる場合は、次のファイルの1行目(!# /usr/bin/perl -w)を書き換える必要があります。例(!# /usr/bin/perl5 -w⁠

  • mt-add-notify.cgi
  • mt-atom.cgi
  • mt-check.cgi
  • mt-comments.cgi
  • mt-feed.cgi
  • mt-search.cgi
  • mt-tb.cgi
  • mt-testbg.cgi
  • mt-upgrade.cgi
  • mt-view.cgi
  • mt-wizard.cgi
  • mt-xmlrpc.cgi
  • mt.cgi

データベースの準備

MTは、ブログ記事やブログを構築するためのhtmlなど、すべてをデータベースに保存して管理しているので、データベースは必須です。MTに対応しているデータベースは、ドキュメント「必要インストール環境、動作環境」にもありますが、代表的なものとその条件は、次の3つです。

  • MySQL 4.0 以降、バージョン5.0.x
  • PostgreSQL 8 以降
  • SQLite

レンタルサーバで、MT対応を謳っているところであれば、MySQLがインストールされていると思いますので、ここではMySQLを前提で紹介します。まず、データベースへの接続方法として、ログイン名とパスワードなど次の情報が必要です。

  • データベースサーバ…データベースが同じサーバにある場合は「localhost」ですが、データベースだけ異なるサーバにある場合もあります。その場合は、データベースサーバのホスト名が必要です(例:mysql.example.com⁠⁠。
  • データベース名…データベース名は、データベースサーバの中のデータベースを特定します。大抵は、レンタルサーバのログイン名などと同じですが、確認 しておいてください。レンタルサーバによって、データベースの個数は1個、5個などと制限している場合から無制限につくれる場合まで様々です。
  • ログイン名/パスワード…データベースにログインするときには、ログイン名とパスワードが必要です。これも、レンタルサーバによって、レンタルサーバのログイン名と同じ場合や、いくつも作成できる場合がありますので、調べておきましょう。

以上のデータベース関連の情報は、インストール時に必要です。また、データベースは作成しないといけない場合も多いと思いますので、MTのインストールを始める前に準備しておきましょう。そのときの文字コードはUTF-8がトラブルなく良いでしょう。

メール送信プログラムの確認

MTにコメントが投稿されたときなどにはメールでお知らせする機能があるのですが、メールを使用するためには、どのメール送信プログラムを利用するのかを指定しないといけません。

メール送信には、次の2つの方法があり、選択肢によって尋ねられる内容が異なります。

  • sendmail
  • SMTPサーバ

sendmailの場合には、そのプログラムまでのパスが必要です。デフォルトでレンタルサーバごとに決まっていますので確認しておきます。SMTPサーバの場合には、ホスト名を尋ねられますので、これも確認しておきます。

インストール実行

準備が整ったら、インストール作業です。インストールウィザードで事前に調べた必要事項を入力したり、質問に答えるだけで、mt-config.cgiという「構成ファイル」を生成し保存してくれます。

「インストールディレクトリ」をWebブラウザで開き「ログイン」ボタンをクリックします。

  • http://www.examlpe.com/mt/
「ログイン」ボタンをクリック

データベースの設定/メールの設定

控えた内容を元に、設定情報を入力していきます。赤枠が主に入力したところです。データベースの接続テストは必須です。テストメール送信は、成功してから「次へ」行きましょう。

データベースの設定 メールの設定

アカウントの作成/最初のブログを作成

ここで作成するアカウントは、このMTの管理権限をもつユーザになります。また、最初のブログはとりあえず、デフォルトのままで作っておけば良いでしょう。

アカウントの作成 最初のブログを作成

インストール終了

最初のブログを作成するときに、データベースにテーブルを作成します。

データベースを自動作成

MTのインストールが終了すると、ダッシュボードと呼ばれる管理画面のトップページが出てきます。次に、複数のブログを管理するMTでは、まず、ブログを作成し、それから、そのブログに対してブログ記事(エントリー)を追加していきますが、今回はいったん、ここで終わります。

ダッシュボード

インストールのやり直し

なんらかの事情でやり直したいときは、mt-config.cgiを削除してから、もう一度インストールディレクトリをブラウザでアクセスします。また、mt-config.cgiというテキストファイルを直接編集しても、変更できます。

インストールウィザードでは質問されない項目も多数あり、それらを設定するにはテキストファイルとしての編集が必要です。詳しくは公式サイトのドキュメント環境変数リファレンス環境設定ファイル mt-config.cgi の設定を参照してください。

Perlモジュールについて

MTでは、Perlモジュールの有無によって使用できる機能に制限があります。これらは「オプションモジュール」という扱いですが、MTを使いこなすにはほぼ必須といえるモジュールです。システムにどのPerlモジュールがインストールされているのかを知るには、2つの方法があります。

  • MTの[システムメニュー]-[ツール]にある「システム情報」からPerlモジュールの確認ができます。
    システム情報を確認
  • MTのインストールフォルダにある mt-check.cgi をブラウザから実行します。
    mt-check.cgi実行結果
  • 「必須モジュール」の中にインストールに必要なものが無ければ問題ありません。
  • ⁠オプションモジュール」は、任意なので、MTの基本動作に影響はありませんが、特に注意すべき点があるとすると次の2つです。
    • Image::Magickモジュール…無い場合、画像ファイルのサムネイルが生成できないため、画像のアップロード機能が使用できません。
    • Archive::Zipモジュール…無い場合、バックアップ・復元機能でZIP圧縮が機能しません。また、もう1つのgzip圧縮を利用するにはIO::Uncompress::GunzipとIO::Compress::Gzip、およびArchive::Tarが必要です。

サーバにインストールされていないPerlモジュールが必要な場合、CPANから取得できるのですが、Perlとtelnetが前提のスキルを要求されるため、まずサーバの管理者に相談するのが良いでしょう。

Flashモックアップ作成

Adobe Illustrator CS4でデザインして、それをFlashに読み込みます。従来よりも、かなり容易に連携できるようになりました。

Adobe Illustratorでデザイン

サイズが可変であるFlash画面のデザインをするために、ベクターベースで作業をすすめます。デザインはAdobe Illustratorで作成しました。いろんなサイトを見て、気に入った機能や、デザインを取り入れました。UIは、Flashらしく作りながら考えていきますので、テストしながら変更する予定です。

画像

Flashへの読み込み

出来上がったIllustratorデータdesign_outline.zipをAdobe Flash CS4に取り込みます。

  1. FlashのAS3.0のドキュメントを新規作成します。
  2. [ファイル]-[読み込み]-[ステージに読み込み]で、作成したaiファイルを「ステージサイズをIllustratorのアートボードと同じサイズに設定」をチェックして読み込みます。

    デフォルト状態で読み込むと、IllustratorでのレイヤーがFlashでもレイヤーになり、名前もそのまま引き継がれます。

    また、グループはもちろん、ドロップシャドウの設定などは、オブジェクトをムービークリップ化した上でフィルタ設定として引き継いでくれるため、見た目はまったく変わりません。

    aiファイルをFlashに読み込む

    どうしても気になる場合は、ムービークリップのシンボル名を直したりしてライブラリを整理整頓しておきましょう。

    実際に読み込んだ後のFlashのステージは図のようになります。

    読み込んだ結果

    次回は、Flashに読み込むXMLデータ用のMT側の開発になります。

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