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第5回Webマーケティングを意識したホスティングサービスの活用

インターネットの普及により、オンラインショップは新しい販路として注目されています。ショップ機能を売りにしたホスティング事業者が増えたこともあり、多くの企業がホスティングサービスを利用してオンラインショップを開設しています。今回は、そうしたホスティングサービスにおけるショップの開設方法、および集客手段としてのアフィリエイトの活用について考えてみましょう。

大手ECサイトを利用する

オンラインショップと言えば、⁠楽天市場」⁠Yahoo! ショッピング」や大手プロバイダ系のECサイトを思い浮かべます。これらは大規模なショッピングモールのようなもので、それぞれのショップはショッピングモールの場所を借りて出店します。ECサイトでは、インターネットやWebページ作成に関する専門的な知識は不要です。用意されている定型のテンプレートを利用するだけで、誰でも手軽にオンラインショップを開設、運営することができます。

ECサイトには、そうした出店の容易さに加え、抜群の集客力という大きなメリットがあります。ショップ単位のWebページスペースだけでなく、カテゴリ分けされた商品ディレクトリや商品検索システムが用意されているので、積極的なプロモーションを行わなくても商品に興味のある顧客が目的を持って来店してくれるのです。

その反面デメリットも少なくありません。まず、販売できる商品点数、Webページのデザインが決められているなど、開設できるショップの自由度に限りがあります。また、多数の競合他社がショップを開設しているので、同じ商品を扱っている場合、価格競争になりがちです。プロモーション活動にも制限が多く、購入した顧客にでさえショップの名前を覚えてもらえないこともあります。

さらに、利用料金が必ずしも安価ではないこともデメリットです。家賃に相当する月額基本料金に加え、販売額に応じて数%のマージンが徴収されます。さらに、プレゼントやメールマガジンなどのプロモーションにも別途費用がかかります。

こうしたデメリットがありながら、数千、数万単位の企業が出店しているのは、自由度やコスト以上のメリット、つまり売上が期待できるからなのです。そのため大手ECサイトには、中小企業や個人事業主だけでなく、大企業も「支店」として出店している例が少なくありません。つまり、Webマーケティングを意識したとき、自社で構築したショップだけでなく、大手ECサイトへの出店も効果的だと言えるのです。

ホスティングサービスでショップを開く

とは言え、大手ECサイトに出店すれば必ず成功するわけではありません。顧客のニーズに合致した商品を適正な価格で販売していたとしても、売上が上がらず撤退しなければならないこともあるのです。大手ECサイトでは、毎月数百の新規出店がある一方、数百のショップが閉店しています。

とくに、売上の少ない場合、毎月かかるコストを重視してショップを開設する必要があります。そこで利用を検討したいのが、オンラインショップ機能を充実させたホスティングサービスです。

ホスティングサービスで用意されているオンラインショップ機能は、大手ECサイトのショップに比べ自由度が高く、機能が豊富で構築も容易です。そして何よりも、毎月かかるコストが極めて安価というメリットがあります。大手ECサイトの料金は概ね月額3万円縲・万円程度ですが、ホスティングサービスではその10分の1程度の料金でショップを開設し運営できます。売上に応じたマージンもないので、売上が上がるほどコストの差は大きくなります。

ホスティングサービスは、別名レンタルサーバというように、インターネットサーバの一部を貸し出すサービスです。通常は、サーバを自由に利用してください、というのがホスティングサービス事業者の基本的なスタンスになっています。しかし、オンラインショップ機能に注力するホスティングサービス事業者は手厚いサポートを用意しており、ショップを開設、運営するまで無償または安価な費用で手伝ってくれます。さらに、コンビニ決済、クレジットカード決済など、利用実績のない中小企業や個人事業主は手が出しにくい決済機能も用意するなど、オンラインショップを開設するためのあらゆる機能を提供しているのです。

このほか、ホスティングサービスを利用すれば、独自のドメインを取得してショップを運営することができます。大手ECサイトへの出店を「支店」だとすると、ホスティングサービスに構築するショップは「本店」としての役目を十分に果たすことでしょう。

オープンソースでショップを構築

ホスティングサービスが提供しているオンラインショップ機能でも、まだ満足できないというのであれば、ホスティングサービスで提供されているサーバにオープンソースのオンラインショップ構築アプリケーションを導入することで、より自由度の高いショップを構築するという選択肢もあります。

オープンソースのオンラインショップ構築アプリケーションの中には、すでに多くの構築実績があり定番となっているものもあります。⁠osCommerce」は、osCommerce.comを拠点としたオープンソースコミュニティによって開発が進められているオンラインショップ構築アプリケーションです。日本語をはじめ十数言語に翻訳され、世界中で数千のショップがosCommerce上で運営されています。

osCommerceには、オンラインショップの開設に必要な機能がひととおり揃っています。商品登録や在庫、受注、出荷処理、配送完了までの商品の流れ、顧客情報などの管理はブラウザを利用して容易に行えます。データベースに登録した商品は、自動的にショップに掲載されるので、商品数が多い場合も手間はかかりません。また、顧客に商品のレビューを書いてもらったり、顧客宛てにダイレクトメールやメールマガジンを一斉に配信することも可能になっています。

また、osCommerceから派生したプロジェクトによって開発された「Zen Cart」も、注目されているオープンソースのオンラインショップ構築アプリケーションです。SEO(サーチエンジン対策)を考慮し、プロモーション機能やXHTML/CSSによるデザインテンプレートの搭載、さらにオブジェクト指向のプログラミングなど、より高度なオンラインショップを開設できるソフトウェアになっています。

なお、これらのアプリケーションをサーバに導入する場合、共用レンタルサーバでは許可されない場合もあります。専用サーバによるホスティングサービスで利用することを前提に考えてください。

ショップ開設の際の注意点

オンラインショップを開設するとき、とくに注意しなければならないのは、商品によって許認可が必要な点です。

中でも注意すべきは、食品とリサイクル品、動物などです。食品ではまず、酒類を販売する場合に税務署で「酒類販売業免許」を取得する必要があります。無免許で酒類を販売すると、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられることがあります。また、原料を自分で加工した食品も許認可が必要になります。保健所で食品衛生責任者の資格を取得し、営業許可を申請します。

リサイクル品を販売する場合は、警察署で古物商の許認可を受ける必要があります。許可が必要なのは、衣類、書籍、事務機器、自動車、美術品、時計/宝飾など13品目ですが、リサイクルショップと銘打つ場合には必ず許可を得るようにしましょう。

イヌ、ネコなどのペットの場合、都道府県が実施する講習を修了し、動物取扱主任者の資格を取得します。その後、動物取扱業の登録を動物愛護相談センターに申請します。動物取扱業には、ペットショップのように動物を直接販売する場合だけでなく、動物を扱うあらゆるサービスも含まれます。

アフィリエイトを活用する

最後に、オンラインショップを開設した後のプロモーションについて考えてみましょう。

プロモーションの手段として、大手検索エンジンに対するSEOが挙げられますが、もう1つ費用対効果に優れた手段としてアフィリエイトがあります。

アフィリエイトとは、さまざまなホームページに商品のバナー広告を掲載してもらい、クリック数や商品販売数に応じて報酬を支払うという仕組みです。商品販売のプロモーションは通常、高額な費用がかかりますが、アフィリエイトを利用すれば、口コミに近い感覚で、少ない予算で広告を打つことができるのです。

アフィリエイトの広告主になるには、⁠リンクシェア」⁠バリュークリック」⁠トラフィックゲート」⁠エーハチネット」などのアフィリエイトサービスプロバイダと契約します。プロバイダは、広告を掲載するホームページの運営者(アフィリエイタ)を集めてくれるので集客力の大幅なアップにつながります図1⁠。

図1 アフィリエイトの仕組み
図 アフィリエイトの仕組み

ちなみに、ホスティングサービスを利用したオンラインショップを運営している場合、ショップ自身がアフィリエイタとなることも可能です。自社と競合しない商品広告を置くことで、副収入が得られるようになります。

オンラインショップを開設しよう

インターネットというインフラが拡大し、一般に普及しつつある現在、新しい販路としてオンラインショップの重要性はますます高まっています。自社に最適な商品を周到に準備し、ビジネスにつながるオンラインショップをぜひ開設してください。

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