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第15回進化するデータセンタ&ホスティングサービス

ソーシャルネットワーク、スマートフォンと並んで、2011年のIT業界のキーワードとなっているクラウドコンピューティング。これらのインフラとして欠かせないデータセンタは、さまざまなニーズに応えるため、さらなる進化を遂げています。今回は、進化するデータセンタやホスティングサービスの動向を追ってみました。

3つのキーワードに対応

ソーシャルネットワーク(SNS)は、6億人以上のユーザ数を誇る Facebookをはじめ、mixiや MySpace、モバゲータウン、GREEなど、インターネットシーンを牽引する原動力となっています。英国王室のニュースも FacebookやTwitterが利用されるなど、使い方も様変わりしつつあります。そうした爆発的な人気の裏では、特化型の SNSが注目を浴びるなど、新たなトレンドも見えてきました。Webデザインにおいても、Web 2.0ツールや SNSを利用したコラボレーション型のサイトが現在多く制作されており、コミュニケーションやコラボレーションの促進、マーケット情報の収集、サービスの強化などに活用されています。

さらに、SNSは、携帯電話やモバイル機器、スマートフォンなどからアクセスが多いことも大きな特長です。⁠今すぐに興味にあることを知りたい」⁠友人や知人と連絡を取りたい」など、最も身近なデバイスを使った情報のやりとりは、iPad2の登場、Android携帯の新製品などによって、今後も拡大する傾向にあります。こうした「ソーシャルネットワーク」「スマートフォン」を組み合わせた動きは、インターネット業界にとっても重要なポイントになることは間違いありません。

また、もうひとつの大きなトレンドといわれVol.35るクラウドコンピューティングも、ビジネスのサービスの多様化、コスト削減などに大きく貢献しています。以上の 3つのキーワードを支えるインフラとして、データセンタやホスティングサービスが進化を遂げています。

スマートフォン対応、クラウド対応が加速

たとえば、ホスティングサービスでは、携帯端末に特化したサービスを提供する「モバイルサーバ」サービスを扱う企業が増加しています。モバイルサイトの作成や会員登録、管理、ブログ機能のほか、アクセス解析や SEO対策などのマーケティング機能も提供されており、ECサイト向けのサービスを展開するものも登場しています。

また、これらの中にはスマートフォンへの対応を図っているものも多く、CMSをベースにしたテンプレートの活用で操作性が最適化されています。

さらに 2011年の Webデザインにおいて、大きなテーマとなっている HTML5+CSS3が本格化の兆しを見せています。その流れに沿ったサービスが今後増えてくるのは明白です。

昨年からは、ソーシャルアプリ向けのホスティングサービスも本格化し、新たにサービスを開始する企業が目立っています。ソーシャルアプリは、急激にアクセス数が増加する、サービスの遅延や停止が機会損失に直結する、開始から終息までの期間が短いなどの特長があります。

このニーズに応えるため、スモールスタートで、すぐに利用できる安価な料金体系以外にも、柔軟なリソースの拡張、監視、保守、障害対応などのサービスがパッケージ化されたプランが数多く用意されているのが大きなポイントです。

一方、ビジネスやエンタープライズなどで活用が進むクラウド対応は、仮想化技術を応用し、柔軟にサーバのリソースを確保できるサービスが増えています。代表的な VPSホスティングでは、仮想化ホスティング基盤上に仮想専用サーバを設置、構築することが可能です。ほかにも、クラウド対応をうたうサービスが続々と登場しています。その中には、パブリック・クラウドとプライベート・クラウドを組み合わせたハイブリッドクラウド対応のサービスがあります。

同サービスは、リソースの柔軟性が求められるキャンペーン特設サイトなどで活用が進んでいます。また、定量的なアクセス数のサーバを専用サーバで構築し、変動するサーバをクラウド型で対応するなど、ハイブリッドクラウドは適材適所に配置が可能なため、機能面、コスト面でシステムを最適化することができます。

堅牢性から拡張性へのシフト

データセンタは、仮想化技術を応用した、サーバの統合、集約が加速していますが、ファシリティ重視から拡張性、柔軟性重視へ、求められる要件が変化しています。

従来のデータセンタは、自然災害などにも対応できる免震構造、海岸線への近接といった立地など、堅牢なファシリティが重要なポイントでした。装備も電源の供給体制や空冷、空調などが求められ、壊れないことを競ってきたと言えます。しかし、クラウド・コンピュータによって、ネットワークにつながってさえいれば、立地を気にすることもなくなり、サーバやメモリなどのシステムのリソースをサービスとして提供することになるため、オペレーションや保守対応をリモート集中管理に切り替えることも可能になりました。また、海外のメガデータセンタをハブにして、サービスを展開する企業も登場するなど、企業におけるデータセンタの役割も、所有から利用へと大きくシフトしていると言えます。

Facebookへの対応

これまで説明してきたように、ここ最近のデータセンタやホスティングサービスは、時代のニーズを反映しながら、重要なインフラとしてビジネスを支えています。

今後も、さらなる進化が期待されていますが、そのひとつのテーマとみられているのがFacebookの活用です。企業のファンページが人気を博すことで、人と人のつながりが強まり、ビジネスやマーケティングに活用できるシーンが多くなるとみられています。実際にファンページは、FBML(Facebookマークアップ言語)を利用すれば容易にカスタマイズできます。また、マーケティングであれば、アンケート機能を利用する、製品紹介であれば動画を埋め込むなど、モジュールが数多く提供されているため、開発がしやすいのも大きな特長です。

Twitterやブログなどのフォローも重要な情報になりえますが、Facebookは便利な機能が数多く実装され、システムとしての完成度を高めています。加えて、インターネットを介した友達の輪や口コミによるネットワークは、強力な潜在顧客の開拓になるといえるでしょう。

ただし、実名主義を嫌う企業が多い、企業としてファンページをどう管理していくかなど、日本市場での課題も多く残されています。特に企業対企業のビジネス領域では、使い方から検討が必要です。電通がFacebookと提携し、プレミア広告枠の独占販売権を取得するなど、Facebookへの関心は高まるばかりですが、ホスティングサービスにおいても、Facebookのファンページ制作など新たなサービスに注目したいところです。

このほかにも、より確度の高いリードを獲得するためのソーシャルメディアの活用や、製品理解力を高めるための動画の活用なども加速していくと見られます。

3つのキーワード「ソーシャルネットワーク⁠⁠、⁠スマートフォン」⁠クラウドコンピューティング」は、今後密接な関係を築きながら、市場を拡大していくと予想されます。コスト削減だけでなく、重要なビジネスインフラとなるデータセンタ、ホスティングサービスの動向にこれからも注目です。

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