プロジェクトは進むよ、なし崩し的に
はい、そういうわけでございまして!
サルでき流企業サイトの作り方、第4回を迎えました。そろそろこのペースに(みなさまもワタシも)馴染んできましたね。きましたよねっ!
それでも今回お初、というアナタは、前に3回分ほど記事がたまっておりますので、ここぞとばかりに速読にトライして戻ってきてくださいね。
さてさて。Webサイト作りを命じられたウミネココーポレーション仮設広報部の面々。そんな彼らに遣わされた助っ人は、「サルのハカセ」と「ロボのミナ」でした。
いやいや、そこはフィクションですから。ねえ。
3週連続で呆気にとられる彼らに向けて、ハカセが告げた言葉、「WordPress(ワードプレス)」とは――
ようやくお題のWordPressが登場してきましたね。連載からすればここまで来るのに4回もかかっているわけですが、彼らからすればわずか数十分、急転直下の展開です。
やったことがほとんどないWebサイト作り。そして、聞いたこともないWordPressという言葉。千川さんが静かにヒートアップしているのも仕方がないことなのです。
それでは、今回はWordPress入門の入門です。WordPressってどういうものなのか、おおまかなイメージをつかんでみましょう!
WordPressはソフトウェアである
まずはこのへんから行きましょうか。案外あやふやになっていたりするのですが、WordPressとはソフトウェアのことを指します。
ソフトウェアと言ってもピンと来ないかもしれませんね。要は「プログラムの塊」のことで、ザックリ言ってしまえばワードやエクセルと同じようなモノのことです。
現在の最新バージョンは3.6.1というものなのですが、ダウンロードしてみるとたった6.2MBしかありません。WordPressの公式ページのリンクを貼っておきますので、試しにダウンロードしてみてください。
ね?あっという間に終わったでしょう? 最近のデジカメで普通に写真を撮ると1枚3MBくらいの容量になったりしますので、写真2枚分の小さなソフトウェア、それがWordPressです。
こうして実物を見てみると「恐れるに足らず」と思えてきませんか。あれ?そうでもないですか。
でも不必要に怖がる必要は無さそうです。だって、たった写真2枚分ですよ? どんなに複雑な仕組みと言っても、ワードやエクセルよりはきっとシンプルです。
とってもシンプルなソフトウェア、それがWordPressの正体です。
WordPressは無料で使える
で、そのとってもシンプルなソフトウェアは、なんと無料で使うことができます。いよいよ気が軽くなってきませんか?
え? 「タダより高い物はない」ですか。……みなさまもそうとう疑い深い性格ですね。石橋は叩き割ってしまったら渡れませんよ。WordPressは本当に無料で使うことができるのです!!
……疑惑の視線がディスプレイ越しにビシビシ刺さってきますので、「なぜ無料か」というところを少しだけ触れておきましょう。このあたりは実は非常に複雑な背景を持っていますので、説明するのも理解するのもなかなか大変です。おまけに覚えたところで説明する機会も少ないですので、あくまでサルでき流のサラっとした説明で行かせていただきましょう。
WordPressは、「WordPressプロジェクト」というユーザー主導のプロジェクトによって、オープンソースという形態で作られています。
どこかで聞いたことありますか、オープンソース。香ばしそうな香りですか。それは多分ソース違いですぜ。オープンソースとは、訳すと「開かれた」「ソースコード(プログラム)」、という意味になります。うん、サッパリですね。
考え方を変えてみましょうか。開かれたプログラム、ということは、どこかに「閉じているプログラム」があるわけです。ですよね、きっと。
では、クローズドソース(?)は、一体どこにあるのでしょう? 正解は、「そこらじゅうに」あります。
いえね、一般的にプログラムというものは、その開発している組織(会社) 以外の人には中身を見ることができない(=閉じている)ものなのです。
だって中身を見ることができたらコピーしたい放題ですからね。「マリオやドラクエやモンハン」を、名前だけちょっとイジって「マリ男やドラク江やモンハソ」として販売する悪い人が出てこないとも限りません。オープンにしちゃダメでしょう。むしろ普通クローズでしょう。
にもかかわらず、WordPressはオープンソース、つまり、中身丸見えの状態で開発、配布が行われています。
コピーしたい放題じゃん!
ええ、そうです。それが正解です。こういうのがコンピューターの世界にはあるんですね。権利は捨てているわけではないけれども、世の中の人々のためにオープンで提供するよ、という美しすぎる考え方が。
もちろん、WordPressプロジェクトは様々な形で収益を得ています。WordPress自体は無料かつ中身丸出しで配布していますが、広告やプレミアムサービスを提供するビジネスモデルになっているようです。
WordPressを使う人が増えれば、直接的では無いにせよ彼らは儲かる仕組みになっているから、無料にできる。ということですね。なんだか心配になってしまいますが。
しかし、収益の面は大丈夫そうです。だってこのページによると、「世界のWebサイトの18%」がWordPressを使っているんですって。超スゲェ。
権利関係について、もう少し詳しい内容を知りたい方は、(おそろしく難解ですが…)こちらのページで確認してくださいね。
WordPressは常にアップデート(最新化)している
いやー、もうこれは使うしかないですねえ。
……と思ったら、まだ疑惑の眼差しが飛んできてますよ。え?「安かろう悪かろう」って言葉をオマエは知らんのか、ですか。無料で使えるものなんて、どうせ大して使えないんだろう、ですか。みなさま、どれだけ今まで100均で余計な散在を……。
前回の記事で、「WordPressはWebサイトのひな形だ」なんて話をしましたね。覚えていますか? ますね! それだけ聞くと、WordPressは単に「Webサイトをカンタンに作ることができるもの」というイメージになってしまいますね。
しかしここで、Webサイトが持っている「ある特性」について勉強すると、WordPressのスゴさがよくわかるようになります。何でしょうね、ある特性。
それは、Webサイトは、日々進化するという特性です。
例えば、みなさまは、iPhoneが世の中に登場したのがどのくらい前か覚えていますでしょうか。
初代がアメリカで発売されたのが2007年の6月。日本で3Gが発売されたのが2008年の7月です。電車の中でみんながiPhoneの画面を見ている、なんてごくあたりまえの日常風景に感じていたりしますが、まだせいぜいここ5年くらいのことなんです。
当然のことながら、5年よりチョット前のWebサイト界には、スマートフォンという考えが(ほとんど)ありませんでした。Webサイトを見るには、「パソコン」から見るか、いわゆる「ガラケー」から見るか、そういう選択肢しか無かったわけです。
そんな「考えてもいなかった」スマートフォンが、わずか5年で「あたりまえのモノ」になってしまったために、そのスマートフォンで閲覧されるWebサイトも「あたりまえのように」対応を余儀なくされてしまいました。
「スマホから見れねーじゃん」と、文句言われる時代の到来です。
そんなこと言われたってねえ。スマホに対応するには、「アクセスしてきた人の環境を割り出して」「対応する構成を読み込んで」「コンテンツを取捨選択して」「アレして」「コレして」と、実際にはイロイロやらなければいけないために、サッとパッと対応するなんてことはできないのです。
頭を抱えて場末の居酒屋で安い焼酎をあおりながら一人泣く。そんな開発者がどのくらいいたか。みなさんは想像できますか。ワタシにはできませんけど、きっといましたよ。ええ、いましたとも。
ところが、WordPressは「あたりまえのように」スマホ表示に対応(アップデート)しました。世界中で使われていることで、有益な情報を山ほど持っていて、その情報を元に優れた技術者が日々最先端の開発しているWordPressプロジェクトの前では、スマホ対応なんて朝飯前のことだったのでしょう。
これと同じことをイチ企業のイチ担当者がやるのは本当に大変です。
WordPressプロジェクトという、世界有数のWebサイトひな形開発専門チームだからできることがあって、それをそっくりそのまま使うことができる。それもまたWordPressを使う大きなメリットなのです。
まとめ
いかがでしたか?
前回、「最近ではよほど特殊な事情が無いと、Webサイトをイチから作りこむことはない」と言った理由、なんとなくわかっていただけましたでしょうか。
WordPressベタ褒め記事でしたが、ベタ褒めするだけのスゴさはあるんです、この子。
まあ、IT技術屋さんとしてみれば、ただ使うだけでは技術が錆びついていきかねませんので、常にイチから作るつもりで最新技術も磨いておく必要があるのですが。
経営者さんや我らが仮設広報部の面々にとって、考えなければならないことは、「良いサイトにする」ことですので、こんな便利なものは使わない手はありません。バンバン使っていきましょう。
ではでは、このまま一気にWordPressの導入手順……と行く前に、少~しだけこぼれ話をしましょうか。
え、誰ですか。 「この連載は全面的にこぼれ話だろう」ってミもフタもないことを言っている人は。その通りですけど。
次回のお題は「Webサイトって、いくらでできるの? 」です。
ほらほら、ちょっと興味があるでしょう?
……おっと。
と、いうところで終了の時間です。
ではでは、今回はここまで!
次回をお楽しみに~ 。