それは言わないお約束
はい、そういうわけでございまして!
サルでき流企業サイトの作り方、第5回目を迎えました。早いもので連載開始から1ヵ月が経過したことになります。ダイエットも1ヵ月目くらいが苦しくて、このタイミングをなんとか突破すると、グッと安定したペースになってくるとかこないとか。
こちらの連載も、そしてヘッポコマンガも、ボチボチ見慣れてきますので、もう少し我慢して読み続けましょうね!ということが言いたいわけですよ、ワタシは。
さてさて、我らがウミネココーポレーション仮設広報部、今回は「社長に向かってWebサイト制作を制作会社に任せるよう提案、そしてカウンターパンチ」という流れになりました。
後に「会社では正論が正しいことではない」という「現代社会の理不尽さ」について、辰巳君が語ったとか語らないとか。後に「魂が口から出てるのをはじめて見た」という「マンガ世界の不可解さ」について、護国寺君が語ったとか語らないとか。そういうお話でした。(登場人物については連載第1回目をチェックしてくださいね!)
でもこの社長のヒトコト、結構大事なことだったりします。ワタシはこういう考え方に賛成です。なんでもかんでも人任せにしていたら、自分たちは「何も知らない人」「何もできない人」になってしまいますものね。頑張りは人の為ならず、です。
さてさて!
前回のお約束の通り、今回はWebサイト制作の費用についてのお話をします。WordPress自体とは少し離れますので、コーヒーブレイクとしてお楽しみ下さいませ。
Webサイト制作には、決まった価格がない
……なんだかいきなりどうしようもない結論が出てきたような気がします。集合即解散って感じです。この先聞きますか? 一応? まあもしかしたらドコかでどんでん返しがあるかもしれませんものね。では、気を取り直して進めていきましょうか。
仕事の関係上、ワタシはよく「Webサイトっていくらでできるんですか?」と聞かれることがあります。それも結構まじめなシーンで。正直ワタシはそのたびに答えに窮しています。だって、わかりやすい答えがドコにもないのですもの。
ですので、まずはこう答えます。「価格は作りたいサイトの内容(量と難易度)、そして、作ってもらう制作会社さん(制作者のレベルと制作方針)によってマチマチです」と。
で、そんな感じに答えると、相手の方の背後からブワワっと禍々しいオーラが立ち昇ります。そのオーラに名前を付けるとすると、「何当たり前のこと言ってるんだオマエはオーラ」です。ああ、怒ってるよう。でもアナタの質問も悪いんだよう。わかっておくれよう。
ワタシの感覚ですが、そもそもWebサイト制作の費用については、「価格についての当たり前の考え方」を少しだけ変えないと理解しにくい気がします。言ってしまえば、「IT 業界の常識は社会の非常識」なのです!
……あ、少し言い過ぎたかもしれません。
Webサイト制作の価格は、こうして決まる(その1)
大前提として、Webサイト制作にかかる費用のほとんどは人件費だ、というところがポイントオブポイントズです。
「インフォメーションテクノロジー」とか、カッチョイイ言葉で言ったところで、Webサイト自体は「プログラム」と「文書」と「画像モロモロ」でできていて、コレ全て人力制作です。手作業です。
では、「人力である」という前提に立って、何が価格に影響するのかを考えてみましょう。
そうするとまず真っ先に、作業量の影響がありそうですね。人力でやっていますので、単純に制作する量が多くなれば多くなるほど時間がかかります。
制作会社としても、「ひとつのWebサイトを丸々2ヵ月間、3人掛かりで作って、10万円で売りました」なんてことをやっていたら、食べていくことができません。だって1人あたりの月間作業代3万円チョイですもの。ファーストフード店でヘビーシフトを組んだほうがよっぽど多く貰えるってものです。
要は、制作に掛かった人件費をカバーできるくらいの金額、というのが、Webサイト制作における価格決定要因のひとつになります。制作者が食っていけないとダメじゃん、ということです。
いろんなことをキレイサッパリ忘れて、単純化してみますね。
エンジニアさんが3人いたとして、その人達の月給が各々25万円だったとしましょう。上記のように、あるWebサイト制作に3人で1ヵ月かかったとすると……。
とりあえず75万円もらえればトントンになる、ということです。
どうです?こう考えるとシンプルでしょう?
Webサイト制作の価格は、こうして決まる(その2)
……なーんて、シンプルに行かないのが現実ってヤツでして。
上記の例は、あくまでこの子達が「普通に作業をやって完成させられるWebサイト」の場合に限られてきます。そうなんです。作業には難易度があるのです。
例えば、そのWebサイトに対して、お客様が「アップルのようなイカしたサイトにして欲しい!」とか、「グーグルのように面白い機能がたくさん付いたサイトにして欲しい!」とか、そういうことをポロッと言ったとしましょう。
さあ大変です。そんなことを真面目に実現させようとすると、日本中、もしくは世界中からトップエンジニアを集結させないといけなくなります。仮に1人1ヵ月数千万円の契約で何人か集めてきたとしたら……想像するのも恐ろしい価格になってしまいますね。
そこまで行かなくとも、例えば、自分たちの会社が、Webサイトを通じて「こうしたい」と思うようなコトを「ちゃんとヒアリング」してくれて、それを「実現可能なアイデア」にしてくれる。そんなエキスパートなエンジニアさんにWebサイト制作をお願いしたい、と思ったら……うーん、さすがに月間25万円とはいかないかもしれませんね。
みなさんの会社にも「エース」と呼ばれる人たちがいるでしょう。もしかしたらアナタなのかもしれません。その人達って、もっともっと高い金額で働いていたりするでしょう?
制作会社で働くエンジニアさんも同じことなんですよ。
さて、再び色んなことをキレイサッパリ忘れて、単純化してみますね。
エンジニアさんが3人いたとして、今度の月給は、1人はエキスパートさん(80万円)、1人はベテランさん(40万円)、最後の1人は若手さん(20万円)だったとしましょう。前と同じで、あるWebサイト制作に3人で1ヵ月かかったとすると……
[(80万円×1人)+(40万円×1人)+(20万円×1人)]×1ヵ月=140万円
倍くらいになりました。
ふーむ、まあそういうことですよね。こう考えてくればなんとなくわかる気もします。
Webサイト制作の価格は、こうして決まる(その3)
……ところが、たまにこんな質問をされる方がいます。
「Webサイト制作10万円ってトコロを見たんだけど」ってヤツです。おおう…計算がまったく合わないですぜ、コレ。試しに単純化してみましょうか。
エンジニアさんが1人いたとして、その人の月収が最初と同じで25万円だったとしましょう。で、あるWebサイト制作に0.4ヵ月掛かりだったとすると……。
0.4ヵ月。1ヵ月の営業日が20日だったとして、わずか8日。2週間以内で完成させる計算になります。ひとつのWebサイトを普通のエンジニアさんが2週間以内で作らないと成り立たない前提に立ったWebサイト作り。
アナタがもし制作会社に入社したとして、「Webサイトひとつ2週間でよろしく」と言われたら、どうします?ブ◯ック企業として某巨大掲示板に書き込みを……いやいや、それはいかがなものかと。
こうして順を追って見てくると、この金額がいかに現実離れしているか、というのがわかると思います。
わかりやすさのために省略しましたが、本来のWebサイト制作は複数人掛かりで数ヵ月かかるものなのです。しかも、制作会社にしても利益を確保しなければなりませんので、25万円で雇っているエンジニアさんに1ヵ月作業させて、お客様に25万円請求する、ということはあり得ません。それじゃ事務所の家賃が払えませんもの。
下手したら数百万かかるものが、それでも10万円ってことは……いったいどういうことなのでしょう? そう、この段階で、実質「Webサイト開発(=ガリガリのプログラミング)」は行わないのです。イチからWebサイトを作ろうと思ったら、期間にしても価格にしても、いろいろ無理です。常識的に考えて、やれることは、ひな形に文書と画像をはめ込んでWebサイトのカタチにする、Webサイト編集くらいなものでしょう。
そう、カンのいい方ならお気付きですね。ひな形と言えば、この連載ではWordPressでした。開発する代わりに、WordPressを使うのです。
言葉遊びみたいになってしまいますが、エンジニアさんが開発しても、エディターさんが編集だけしても、制作(プロデュース)していることには変わりはないのです。「Webサイト制作」という範囲では、どちらもOK……なのですね。まあ……言葉…的には。
まとめ
いかがでしたか?
あまり業界に馴染みが無い人が、なんとなく「Webサイト制作」と言われると、「最新のテクノロジーを使いこなした超効率的なナニヤラで、不可能を可能にする!」なんて感じの想像をしてしまいかねない雰囲気がありますが、実際のところは結構アナログだったりします。
この買い手側の認識のズレと、価格のあまりのバラバラさのおかげで、「スーパーエンジニアが作った最先端のWebサイトが、10万円くらいで手に入る時代になっているのではないか」と思ってしまう人が続出してしまうのもある意味仕方がないことかもしれません。
ただですねー。やっぱりそんなことはないんですよ。
ガッチリ作るところはしっかり高いです。当たり前です。安いところは安くするだけの割り切りをしています。これまた当たり前です。
制作会社さんにお願いするときは、そのあたりのバランス感覚を持っておくとイイと思います。
「だったら自分達で作って覚えてしまおう」というウミネココーポレーションの社長の考え方も、案外理に適っているのです。ね。みなさまもガンバって一緒に覚えましょうね。
…おっと。
と、いうところで終了の時間です。 ではでは、今回はここまで!
次回をお楽しみに~。