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第5回 wwwありとなしはどっちがいい? サブドメインは0円? DNSサーバの疑問を一挙解決

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DNSコンテンツサーバのAレコードとMXレコードとは?

IMJ銀行の広報担当者が今すべきなのは,DNSコンテンツサーバに「ドメインとWebサーバのIPアドレスの組み合わせ」を登録することです。実はこの組み合わせは「レコード」という名前で呼ばれます。

レコードにはいくつかの種類があります。ここではレコードの中でも,特に大事な「Aレコード」「MXレコード」の2つを紹介します。

Aレコードは「ドメインとWebサーバの組み合わせ」のことです。AはAddressのAです。もう1つのMXレコードは「ドメインとメールサーバの組み合わせ」のことです。MXはMail eXchangeの略で,⁠このドメイン宛てのメールを,どのメールサーバに送ればいいか」を定義しています。

実例を挙げてみましょう。株式会社アイ・エム・ジェイのマルチデバイスLab.http://mdlab.jp/というサイトでは,BINDで実装されたDNSコンテンツサーバに「mdlab.jp」のAレコードと,⁠www.mdlab.jp」のAレコードを登録済みです(BINDは標準的に採用されているDNSサーバのソフトウェアで,世界中にあるDNSサーバの半分以上が,このBINDでできています⁠⁠。

このDNSコンテンツサーバの中には,ゾーンファイルと呼ばれるテキストファイルが幾つも保存されています。mdlab.jpのゾーンファイルは「mdlab.jp.zone」という名前です。それではmdlab.jp.zoneの中の実際のAレコードを見てみましょう。

mdlab.jp.        IN      A       113.36.199.155
www.mdlab.jp.   IN      A       113.36.199.155

ドメインとIPアドレスの間にAと書いてありますね。この2行はAレコードです。日本語に訳すとこんな意味になります。

  • mdlab.jpのWebサーバのIPアドレスは113.36.199.155です
  • www.mdlab.jpのWebサーバのIPアドレスも113.36.199.155です

このAレコードがあることで,マルチデバイスLab.はwwwなしhttp://mdlab.jpでも,wwwありhttp://www.mdlab.jp/でも,Webサーバへたどり着くことができ,どちらでも全く同じサイトが見られます。

wwwありもなしも同じサイトが表示される

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wwwありとなしはどっちがいい?

サイトを始める際のありがちな疑問に「wwwありとなしって,どっちがいいのかな?」がありますが,ドメインとしてwwwありとなしのどちらが優れている,あるいは有利だということはありません。www.imjbank.co.jpもimjbank.co.jpも,ドメインとしての価値は同等です。

以前は,メールやニュース,Webなど,複数のサービスを提供するために1つのドメインを使用することが当たり前でした。その中でもWebサービスは後発だったため,「これはWebサイト用のサーバである」とはっきり明示するために,ドメインにwww(World Wide Web)をつけるという慣習がありました。しかし今となってはドメインをWebサイトで使うことは当たり前になり,また特定のWebサイト向けに個別のドメインを取得することも珍しくないので,wwwを付けて「Webサイト用のドメイン」と強調する意味はほとんどありません。

ですから特に理由がなければ,wwwを付ける慣習を踏襲する必要はありません。スマートフォン向けサイトなら「短くて入力しやすいwwwなし」にしたり,高年齢向けのサイトなら「URLとして認識されやすいwwwあり」にしたりと,サイトの性質によって選ぶのがいいでしょう。

お勧めは,メインを(例えばwwwありに)決めておいて,サブ(wwwなし)にアクセスしたら,自動でメインにリダイレクトされるようにしておくというものです。これなら間違えてwwwなしにアクセスした人も,取りこぼすことなくサイトに誘導できます。

実際,gihyo.jpはwwwなしがメインなので,wwwありのhttp://www.gihyo.jp/にアクセスすると,自動的にwwwなしのhttp://gihyo.jp/にリダイレクトされるようになっています。

なぜ「wwwありとなしのどちらがメインか?」を決めてアクセスをメインに流すの?

このリダイレクトの設定は,サイトへアクセスするユーザにとって親切なだけでなく,サイト運営者にとってもメリットがあります。

Googleなどの検索エンジンは,wwwありとwwwなしが全く同じページを表示していたとしても,2つを別のWebサイトとして認識します。表示しているのが同じサイトであるならば,きちんとアクセスをメインの方に集約させないと,ドメインとしての価値が分散されてしまい,結果として検索された際にサイトが上位に表示されにくくなってしまいます。SEOの面から見ても,メインを決めて,そちらにアクセスを寄せることは重要です。

またネットショップやSNSなど,SSL証明書を使っているサイトでも,⁠メインがどちらなのか?」を決めておくことは大切です(SSL証明書って何?という方は第3回を参照⁠⁠。

SSL証明書は「ドメイン」に対して1枚ずつ発行するものなので,たとえ同じサイトを表示していたとしても,wwwありに対して発行されたSSL証明書をwwwなしのサイトで使うことはできません。例えば,株式会社アイ・エム・ジェイのコーポレートサイトは,wwwありのwww.imjp.co.jpでSSL証明書を取得しているため,wwwなしのhttps://imjp.co.jp/をブラウザで開くと次のような画面が表示されます。

「この証明書は www.imjp.co.jpにだけ有効なものです」というエラーメッセージ

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このような複数の理由から,wwwありでもなしでも同じサイトを表示させるときは,メインを決めて,サブにアクセスしたらメインにリダイレクトさせる設定がお勧めです。

DNSコンテンツサーバにAレコードを登録しよう

IMJ銀行の広報担当者は「短いURLのほうがアクセスしやすいので,wwwなしをメインにして,wwwありからはwwwなしへリダイレクトさせよう」と決めました。これで,やることがさらに具体的になりました。広報担当者が今すべきなのは,「DNSコンテンツサーバに,ドメイン(imjbank.co.jp及びwww.imjp.co.jp)とIPアドレス(192.0.2.84)を紐づけるAレコードを登録すること」です。

ではそのDNSコンテンツサーバは,どこにあるのでしょう?

大きめのWeb制作会社であれば,自社のインフラ担当部署が自前で構築・運用しているかもしれません。⁠DNSにドメイン(imjbank.co.jp)とIPアドレス(192.0.2.84)を紐づけるAレコードを登録したいんだけど……」と社内の担当部署に確認してみましょう。IMJ銀行の広報担当者が,インフラ担当に依頼をしたところ,⁠自社のDNSコンテンツサーバ,ns1.imjm.netとns2.imjm.netとns3.imjm.netにAレコードを登録しておきました」と連絡が来ました。

DNSコンテンツサーバを自社で用意する場合,最低でも2台用意して,冗長構成にするのが基本です。Webサーバが正常に稼動していても,DNSサーバが停止してしまったら,サイトにアクセスできないからです。

管理の煩雑さを考えると,規模の小さいWeb制作会社では,自社ではDNSコンテンツサーバは運用していないかもしれません。その場合はどうしたらいいのでしょうか。その場合には,「ドメインを購入したお店のDNSコンテンツサーバを使わせてもらう」という方法があります。

例えばお名前.comでドメインを買うと,お名前.comのDNSコンテンツサーバを無料で使うことができます。お名前.comなら1つのドメインにつき,最大で50レコードまで設定できるため,特に個人でドメインを購入した場合はこちらを使うことがほとんどでしょう。お名前.comの管理画面「ドメインNavi」から,⁠ドメイン設定⁠⁠→⁠ネームサーバの設定⁠⁠→⁠DNS関連機能の設定⁠⁠→ [DNSレコード設定を利用する]と進みます。

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ホスト名の欄に何も入れなければ「imjbank.co.jp」のAレコードを,wwwを入れれば「www.imjbank.co.jp」のAレコードを設定できます。VALUEにはWebサーバのIPアドレス(192.0.2.84)が入ります。⁠追加」ボタンを押して,確認画面へ進み,⁠設定する」ボタンを押せばAレコードの登録は完了です。

TTLはTime To Liveの略で,このAレコードをDNSキャッシュサーバが何秒間キャッシュしておいてよいかを指定しています。デフォルトは3600秒(=1時間)になっていますので,直近でIPアドレスを変更する予定がなければそのままで大丈夫です。

著者プロフィール

堀越良子(ほりこしよしこ)

株式会社アイ・エム・ジェイのインフラエンジニア。ウェブインテグレーションの下支えとなるサーバホスティングサービスの構築と運用を担当している。

モバイルサイトのエンジニア,SIerとソーシャルゲームの広報を経て,2013年より現職。「分からない気持ち」に寄り添える技術者になれるように日々奮闘中。