第3回目の今回は、実際にホームページを作るために決めるべき事項について紹介します。
「独自ドメイン」を取得する
訪問者が覚えやすい簡潔な文字列に決める
独自ドメインとは「http://www.○○.com/」などで表されるネット上の“住所”のようなもの。お店ページのURLと、問い合わせ用などのメールアドレスに使用します。これらは、お店の訪問者に公開される「お店の顔」です。
プロバイダやブログ運営会社のサービスを利用しても、URLやメールアドレスを取得できますが、提供会社の名前が入ったり、無料サービスだったりと、いわば不安定な“借家”の状態。独自ドメインを所有することで、お店としての信頼度はグンと上がります。
ネットショップの多くは、独自ドメインでお店ページを運営しています。これから開業するお店にとって、独自ドメインは必須です。ドメインには「.COM」「.JP」などがあります。独自ドメインは、店名や商品をイメージしやすい名前が最適です。訪問者が覚えやすい簡潔な文字列にしましょう。
お店の名前を決める
「商品をイメージできる」などを重視して店名を付ける
ショップ名は、お店の「顔」です。それだけに、一度決めたらそう簡単には変更できませんので、慎重に決める必要があります。
では、どんな名前を付ければいいのでしょうか。ネットショップの店主40人に聞いたところ、「商品をイメージできる」「名前が覚えやすい」「インパクトがある」の3要素を重要視していることがわかりました。これらを意識しながら、付けていきましょう。なお、「おれもけ!」(上の画像参照)など、店名を短縮させたアイデアあふれるショップ名も、一度目にしたら忘れないユニークなショップ名の一つです。
ただし、すでに利用されている店名は使わないほうが良いでしょう。とくに「無印良品」など知名度の高い店名は、訴訟問題に発展する可能性があるので、絶対に使ってはいけません。
お店のロゴをつくる
お店の雰囲気に合う専用のロゴが必要
ネットショップのお店ページに訪問者がアクセスしたとき、「ちょっと見てみたい店だな」と判断するのにかかる時間は、約3秒。訪問者は“ぱっと見”で、そのお店の良し悪しを判断してしまうことが多いです。
そのため、お店ページを作るときは、訪問者がまず初めに目にする可能性の高いトップページの作り方が重要。中でもショップ名は一番目立つ位置に配置されるため、とても大切。お店の雰囲気に合う専用のロゴを作り、目立たせてアピールするようにしましょう。主にベビー服を扱う「ボンボンママン」(図3左を参照)は、優しい雰囲気のロゴデザインが店のイメージにぴったりです。
また、イラストなどを使用しないで、文字(書体)だけでロゴを作成し、店名を表現する方法もあります。「さば寿司・美園~みその~」(図3右)は、シンプルな和風の書体を使うことで、落ち着いた印象をアピールしています。ただし、書体は想像以上にインパクトがあります。洋風の店に和風の書体を使うと、逆効果です。店のイメージに適した書体を選びましょう。
お店のキャッチコピーをつける
「自店のセールスポイント」や「専門性」をアピール
ショップ名を決めて、お店の雰囲気に合わせたロゴや書体を作る過程で、もう1つ、重要な作業があります。それは、お店のキャッチコピーです。
訪問者が、お店ページを訪ねたとき“ぱっと見”が重要であることは、「お店のロゴをつくる」のページでで説明しましたが、このキャッチコピーは“ぱっと見”の印象度を、さらに高める効果があります。
お店のキャッチコピーは、ショップ名だけでは伝えきれないことを、アピールする役割を担います。つまり、ショップ名を“補完する存在”となるのです。具体的には「自店のセールスポイント」や「専門性」をアピールするのが基本です。
なお、キャッチコピーは、ショップ名の近くに配置すること。あまり離れていると、訪問者に対する訴求力は落ちてしまうので、要注意です。
また、コピーを「ロゴの中に埋め込む」のも戦略の1つ。こうすることで、店名とキャッチコピーの印象が合わさり、どんなお店であるかがイメージしやすくなります。
商品の発送方法は主に2種類
破損や紛失の補填が付いているかをチェック
商品の発送方法を決めるとき、“安ければいい”と考えてはダメ。破損や紛失時の補償が付いていて、迅速かつ安い料金で発送できることがポイントになります。基本は「郵便局のゆうパック」か「クロネコヤマトや佐川急便などの宅配便」。下の違いを見ながら、自店に合うものを選びましょう。
なお、商品単価が低い場合には購入者への付加サービスの1つとして、クロネコメール便など安く送る方法も検討しましょう。この場合は「補償なし」と断りを付けておきましょう。
表 宅配便とゆうパックの違い
| クロネコヤマトの宅急便 | ゆうパック |
料金 | 東京―大阪<3辺計のサイズが60cmまで。2kg以内>で集荷にきてもらい発送で840円 | 東京―大阪<3辺計のサイズが60cmまで。30kg以内>で集荷にきてもらい発送で800円 |
発送 | 集荷は19時までと時間が決まっているが、コンビニに持ち込めば、24時間発送可能 | 郵便局が休みのときは発送できないが、大きな郵便局またはコンビニに持ち込めば24時間対応 |
時間指定 | 細かく指定できる | 可能(4区分) |
補償 | 最高30万円まで | 最高30万円まで |
割引 | 実績を積むことで、かなりの割引を期待できる。実績がなくても、一度相談してみよう(※) | 持込割引(1個につき100円割引) 同一宛先割引(1個につき50円割引) 複数口割引(1個につき50円割引) |
※表脚注:実績がなくても割引のチャンスあり
少しでも安く送る方法「宅配業者のメール便」
ヤマト運輸、佐川急便など宅配業者が実施している「メール便」。値段はかなり安いといえますが、問題は「厚さ2cm以内」。この数字をクリアできるのであれば、利用価値は高いといえます。
表 宅配業者のメール便
名称 | サイズ | 最大 重量 | 料金 | 配達スピード | 補償 |
クロネコメール便 (ヤマト運輸) | 縦、横、厚さの合計が 70cm以内。 最長辺40cm以内。 厚さ2cm以内。 | 1kg | A4・厚さ1cmまで:全国一律80円、 A4・厚さ2cmまで:全国一律160円、 B4・厚さ1cmまで:全国一律160円、 B4・厚さ2cmまで:全国一律240円 | 通常の宅配便と同じ | なし |
飛脚メール便 (佐川急便) | 縦、横、厚さの合計が 70cm以内。 最長辺40cm以内。 厚さ2cm以内。 | 1kg | ~300g:全国一律160円、 ~600g:全国一律210円、 ~1kg:全国一律310円 | 通常の宅配便と同じ | なし |
定形外郵便物 | 縦、横、厚さの合計が 90cm以内。 最長辺60cm以内。 | 4kg | ~50g:全国一律120円、 ~100g:全国一律140円、 ~150g:全国一律200円、 ~250g:全国一律240円、 ~500g:全国一律390円、 ~1kg:全国一律580円、 ~2kg:全国一律850円、 ~4kg:全国一律1,150円 | 普通郵便と同じ | なし |
EXPACK 500 | 縦約25cm×横34cm。 専用封筒に入れば 厚さは問わない。 | 30kg | 一律500円 | 速達 | なし |
導入する決済方法は主に5種類
「クレジットカード決済」「コンビニ決済」の導入も不可欠
ネットショップでは、購入者と直接、お金のやり取りはできません。銀行振込などの決済手段を介することになります。
数年前までは、開店時には「郵便振替」「代金引換」「銀行振込」の3つの決済方法の導入が基本でしたが、現在は「クレジットカード決済」「コンビニ決済」の導入もネットショップには必要不可欠。購入者の多くが、クレジットカードなどでの買い物を望んでいるからです。クレジットカード決済やコンビニ決済は、代行会社を介することで、個人でも導入できるため、開店時の必須サービスと考えてください。
決済手段を導入する際、しっかり頭に入れておきたいことがあります。それは“手数料”です。たとえば、代金引換(郵便局のサービス)で250円かかります。そのほかのサービスでも、多くの場合、手数料は発生するので、この点は、考慮しておきましょう。この中で、クレジットカード決済には通常売上げの5%~の手数料がかかりますが、少しでも安く、また回収金が少しでも早く振り込まれる業者を選びましょう。