Webデザイン業界の三位一体モデル

第4回イメージソース/ノングリッド 代表 小池博史(後編) クリエイターだったらこんな会社で働きたい。

4回目は、制作会社の立場から既存のWeb制作の枠にとらわれずに幅広い制作活動を行っているイメージソース/ ノングリッド 代表 小池博史さんにお話を伺った。今回はその後編です。

社内にある程度その領域のノウハウがあると、外部の人たちともすぐに一緒に仕事ができる

新野:

先ほど、自分たちは単なるWebの制作会社ではなくて、広告の制作会社だという認識でいるとお話しされていましたが、Webをハブにしていろいろと新しいメディアを手がけられるような会社という視点でみると、日本ではまだそういう分野でライバルになる会社が少ないように思いますがどうですか。

小池:

いやー、そんなこともないですよ。全てをワンパッケージで提供できるところはそんなにないかも知れませんが、それぞれの技術を持った会社さんや、Webの技術の高いプロダクションさんが新たな領域のことをされてたりしますし。海外などでも面白い作品とかたくさん出てきてますから、うちもまだまだ頑張らないとなーって思ってますよ。

新野:

ワンパッケージで提供できるところがまだ少ないのかも知れませんね。

最近面白い作品を世に出しているスタッフをみると、少人数のクリエイティブチームがいくつか集まって、お互いの得意分野をうまく組み合わせてやっているようなプロジェクトが増えてきましたね。

小池:

そうですね、僕らも、社員をどんどん増やして領域を増やしていこうっていうわけではなくて、いろんな技術を持っている会社さんと組んでやっていくことも意識してます。ただ、そういう外部の人たちと組んでやるときに、社内にある程度その領域の前提知識となるようなノウハウがあると、外部の人たちともすぐに一緒に仕事ができるんですよね。

新野:

なるほど。僕も自分で作るわけではないですが、初歩的なHTMLやFlashの製作工程は経験したことがあるので、プロデューサーとして制作の人たちと話をする際に、いわゆる共通言語である程度の話はできると思っているのですが、いわばそういうことですよね。

小池:

そういうノウハウが溜まってきたら、ゆくゆくは海外の人たちとも一緒に仕事したいと思ってるんですよ。

小池博史 さん
小池博史 さん

制作者としてのアイデアがあるように、クライアントならではのアイデアもある

新野:

今日いろいろとお話を伺っていくうちに、僕がもしも制作のクリエイターで会社組織に入ってやっていくとしたら、小池さん達の会社に入りたいなと本気で思いましたよ。

クリエイターのやりたいことを尊重しているっていうか、ものづくりが好きな人が集まって良い刺激を与え合っている感じがすごく魅力的で。

小池:

そう言ってもらえると。すごく光栄です。ぜひ来てくださいよ。⁠笑)

新野:

僕自身が、クリエイターだったらそうしたいところなんですが、作るセンスはあんまり無いので。⁠笑)

なので、いまの広告代理店のなかのプロデューサーという立場で頑張っていこうと思ってます。

小池:

でも、プロデューサーの仕事ってすごく重要だと思いますよ。

いろいろな人の間に立って、僕らが制作に集中して取り組めるようにプロジェクトを仕切ってくれるのは、代理店のプロデューサーですから。

お互いの役割をきちっと果たしていいものが作っていければいいですよね。

新野:

ええ。いろんな人が関わっているわけだから、関わっている人毎に、それぞれの視点やこだわりがあるんですよね。

クリエイターは「作品として面白いものを作りたい」っていうのがあると思うし、クライアントはクライアントで「商品のアピールをもっと強調したい」とか、代理店は代理店の論理があったりして。まあ、それはある意味当然のことなんですが、それぞれの意見がぶつかったときに何を判断基準にするかっていうと、広告を受け取る消費者にとってそれがいいことなのかどうかってところに立ち返って判断したいと思ってます。

そういうことをチームに投げかけたときに、メンバーがちゃんと理解してくれるようなチームが作れたらいいなと。

小池:

制作者としてのアイデアがあるように、クライアントならではのアイデアもあるし、代理店ならではのアイデアもあって、それらが全部出てきていいものができるんじゃないですかね。

僕たちは芸術を作っているアーチストなわけではなくて、広告を作っているわけだけど、自分たちだけで考えているとやっぱり考え方の甘い部分とかがでてきちゃって突き抜けないこともあるんです、苦手な部分を避けるっていうか。

そういうときに、クライアントからの要望だったり、代理店からのアドバイスがあるからこそ超えられるものがあると思います。

新野:

いろんな意見にさらされるうちに、だんだん角が取れたつまらないものになるんじゃなくて、いい感じの化学反応が起きてより良いものが生まれるようにしたいですね。

そのためには、すぐにそういういい関係が築けないとしても、徐々に信頼関係を築いていくことが大事だと思って日々やってます。

小池:

僕も、若くてとんがってた頃は、代理店なんていなくても直接仕事とってきちゃったほうがいいんじゃないかって、思っていた時期もあったんですよ。

でも、僕らがいくら面白いアイデアを思いついて実現できたとしても、それが世の中に受け入れられるかどうかとか、それをエンドユーザーに届けるための仕組みだったりとかの視点が欠けていたりして、そういった部分を任せられる代理店さんの必要性を感じています。餅は餅屋っていうか。

新野:

おっしゃるとおりですね、そこら辺を僕ら代理店が頑張りますので。

今日は希望が広がるようなお話がたくさん伺えました。ぜひお仕事でもまた一緒にやらせてください。

ありがとうございました。

新野(左⁠⁠、小池博史 さん(右)
新野(左)、小池博史 さん(右)

何度か一緒にお仕事をさせていただいていたが、仕事の現場で出会う小池さんはプロだけが持ち合わせるオーラのようなものを放っていて、こちらも背筋がピンとする思いがしたものだった。

そして、今回のインタビューでは、記事に紹介しきれないほどの多彩な事例や、将来の展望を語っていただいた。

そこでは仕事中の厳しさとはまた別の、夢を語る少年のような一面を拝見することができた。

数々の話題作、受賞作が生まれた背景には、こうした一途なクリエイター魂があってこそなんだなと納得すると共に、⁠日本のWebもなかなかやるぜよ!」と思わず竜馬口調になってしまうような希望に満ちた気持ちにさせてくれるインタビューであった。

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