こんにちは!前回に続いてWebSigモデレータのえふしんが、絶賛参加募集中の10月5日開催のイベント「WebSig1日学校2013」の授業の見どころを紹介いたします。
今回のWebSig1日学校は、「あたりまえのWebをRe-designする」というテーマなのですが、よく考えたら、「あたりまえのWeb」ってなんだろう、「あたりまえじゃないWeb」ってなんだろう、ということを整理しないと、ぼくらが「あたりまえ」「あたりまえ」って言っても、それに響くのは、WebSigの常連さんや、うまく空気を読んでくれている人のどちらかに限られるのではないか!?なんて、ふと思ってしまいました。
今回取り上げている「あたりまえのWeb」というのは、簡単に言うと、多種多様な考えを持つ日本人がネットにアクセスし、時には情報発信するようなWebのことです。だから、冷蔵庫写真をアップして炎上するのも、今の「あたりまえのWeb」にある光景です。あれをITリテラシーの不備と、発信者を攻めてしまうのは簡単ですが、メシウマの種にする側のモラルの問題はないのか?!それを取り上げて大げさな現象に祭りあげてしまう大手メディアの現状まで含めると、人種間闘争に近いと思っています。
『半沢直樹』から垣間見えた「あたりまえじゃないころのWeb」
最近『半沢直樹』というドラマが話題になりました。誰がどの回から見てもわかりやすいストーリーで、視聴率がぐんぐんうなぎのぼりで、先日、最終回を迎えたのですが、ネットでは、この現象について懐疑論もちらほらありました。異論があるのは何も問題ないのですが、少し偏ってるなぁと思ったのを、ぼくが見たもので言うと、
- IT業界の人が主体のQ&A掲示板で「『半沢直樹』を観ますか?」という質問に対して8割以上が「観ない」と答えている光景
- テレビの視聴率調査が、テレビを見る人で濃縮されていくという事実を、高視聴率の理由にしている記事
などが印象的でした。前者は、「あたりまえ的な質問」には「あたりまえじゃないと思っている人」しか回答しないという現象が、回答者がネットネイティブ過ぎて気持ち悪いなぁと思ったのは内緒の話で、後者の視聴率の話は、そもそも昔の視聴率調査から何も変わらない問題点だし、それは「ネットで調査をしたらネットに詳しい人というバイアスがかかるのではないか?!」と言っているのと同じ問題です。
これを限りなく現実に持っていくには、「ネットに詳しくない人」「テレビに興味がない人」も十分な人数が参加し、俯瞰して状況が見える必要があります。「あたりまえのWeb」というのは、そういう世界のことを意味します。
ところが、ネットはユーザ視点では、得られる情報が分断化するようにできています。それこそがネットサービスの役割だからです。はてなブックマークのホットエントリしか見ない人、Gunosyしか見ない人(=自分の得意な記事しかクリックしない人)、ITが好きな人ばかりのSNSのタイムライン、などがそれです。こういう世界に入っていくと、なかなか「あたりまえのWeb」の世界に脱皮することができない。しかも、それぞれに毎日、流れてくる膨大な情報量の前に、1日の可処分時間を費やすには十分すぎる世界が待っています。
その結果が、冷蔵庫写真などのバカッター写真に対するリスクをいくらブログやTwitterで唱えても、バカッターが減らないという事実でした。つまり、ぼくらは「あたりまえのWeb」にアクセスする手段をもっていないのではないか?!少なくとも正論を語って相手を説得できるほど簡単な世界ではないです。それを知っている「人の不幸メシウマ!」な人たちは、実力行使で学校やバイト先というネットではない裏側から手を回して相手を潰しているわけで、それではネットに対するネガティブなイメージを作り禍根を残すだけで、何も解決しません。
「あたりまえのWeb」を見つける方法
今回、WebSig1日学校では、「仕事を通じて」、あたりまえのWebの世界にアクセスしている人たちに登壇していただくことにしました。つまり、自分たちが提供するネットサービスを通じて、たくさんのお客さんと繋がっている人たちということです。こういう世界を垣間見えるのは規模が拡大したビジネスをやっている人たちだけの特権です。
ぼくも以前、モバツイというTwitterを持ち歩くモバイルサービスを主にガラケー向けに展開していて、多分、ITに詳しい人が思っているTwitterユーザ層とは全然違う人たちをメインのユーザとしてやってきました。正直、ユーザが増えていく過程で、ビジネスとサービスの規模がなりたっていなかったときは、サポートで問われる内容も、「それはTwitterだから仕方ない」ということがたくさんあったのです。でも、そういう言いわけはユーザさんには通用しません。少なくとも不安や不満に真摯に向き合い、相手の目線に立って状況をご理解していただくサポートが不可欠なのです。すごく勉強になりました。
どうしても自分だけの世界に閉じていると、「自分のあたりまえ」に閉じてしまうと思うのですが、WebSig1日学校で考えている「あたりまえのWeb」は、多分、あなたとは違う世界を志向している可能性も高いと思っています。
ごく日常の中で、自然にWebを活用し、その中で、お金を課金したり、新しい情報に触れ合ったりする「あたりまえのWeb」に着目したいと思っていて、ネット上ではなかなか見えないけど、「あたりまえのWeb」の方が世界は広い!ということを知ってもらうのが今回のイベントの目的だと思っています。
ただ、いろいろ進めていて、今後、改めて考えなおさなきゃいけないと思っているのが、ここで書いたような「あたりまえ」に対する解釈をうまく伝えられていたかなぁ?!というのは思っています。皆さんに「あたりまえ」の理解を委ねて、逆を言うと、それを理解してくれる人しか来なくていい、という姿勢になってはいないだろうか。そんなことを今さらならが自問自答しながら、この文章を書いています。
そういうツンデレな姿勢は改めていかないといけないと思っていますが、もしかしたら、ぼくらが考えている「あたりまえ」について、何を考えているのか少しでも理解いただけましたでしょうか。もし何か思うところがありましたら、会場で一緒に、お話させていただけませんか?!
当日、1日のセッションをお聞きいただいて、グループワークや懇親会などにはぼくやWebSigモデレータスタッフもいますので、ぜひ、ネットについてお話しましょう! WebSigのスタッフは、ネットが好きで仕方ない奴らの集まりで、かれこれもう9年以上もやっています。ぜひ、ネットが好きで仕方ない人に集まってほしいです!