いま、見ておきたいウェブサイト

第102回Bombermine、BLOKK font、Chrome Super Sync Sports

ゆっくりと寒さが緩み始め、春の到来を感じながらも、あのムズムズも同時に感じつつある今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

"1000人"いっしょに遊びましょう

Bombermine - Massively Bomberman Online with up to 1000 players on the single map

最大1000人が同時に対戦できるオンラインゲーム、⁠Bombermine』です。

図1 1000人が同時に遊べるオンラインゲーム、⁠Bombermine』
図1 1000人が同時に遊べるオンラインゲーム、『Bombermine』
credit:MassiveMachine

ウェブサイトで参加するサーバを選択後、名前を入力すると、すぐにゲームが始まります。プレイヤーは爆弾を使って、20分という制限時間内でどれだけ多くのプレイヤーを倒せるかを競い合います。⁠ひとつのマップ上で最大1000人が同時に対戦する」ということで、常に周囲に気を配りながらのプレイとなるため、ドキドキするようなゲーム展開となるのが特徴です。

図2 "同時に1000人が同じマップてプレイする"という感覚が面白い
図2 
credit:MassiveMachine

急速に進化する、"ブラウザ上"のゲームコンテンツ

『Bombermine』は、⁠HTMLやJavaScript、WebGLやWebRTCといったオープンな技術でゲームを作る」という、MozillaのゲームコンテストGameOnのために開発された作品です。このため、"1000人が同時に対戦できる"というだけでなく、"ブラウザだけで遊べる"という気軽さも作品の魅力の一つとなっています。

図3 ⁠Internet Explorer 10」のプロモーションとして公開された『Atari Arcade』
図3 「Internet Explorer 10」のプロモーションとして公開された『Atari Arcade』

最近では、Microsoftが公開したAtari Arcadeなど、ブラウザの各ベンダーが、ブラウザを拡張する"新たな技術を公開する場"として、ゲームコンテンツの公開を積極的に行っています。一昔前なら、こうしたブラウザ上で楽しめるゲームは、すぐ飽きるような"単純なもの"ばかりという印象でしたが、現在では高いクオリティを持った作品も登場しています。

アーケードゲームの時代を経て、⁠ゲーム=家庭用ゲーム機」という時代が長く続いていますが、こうしたゲームコンテンツの拡大を見ていると、いずれ「ゲーム=ブラウザ」という時代が訪れる可能性も否定できません。多彩なデバイスで動くブラウザの上でゲームがどんな進化を遂げるのか、一人のゲーム好きとして、その展開を興味深く見守っていきたいと思います。

モックアップのために作られたフォント

BLOKK font gives you a nice fill text for mock-ups and wireframing without the lorem ipsum. The new and better wireframing font.

モックアップやワイヤフレームのために開発された、塗りつぶしテキストフォント、⁠BLOKK font」のウェブサイトです。

図4 モックアップやワイヤフレームに最適なフォント「BLOKK font⁠⁠」のウェブサイト
図4 モックアップやワイヤフレームに最適なフォント「BLOKK font」」のウェブサイト
credit:Dinamo Services

「モックアップとワイヤフレームのための新しいフォント」ということで、ウェブサイトからダウンロードできる「BLOKK font」をテキスト部分に適用すると、すべての文字がブロックで塗りつぶされます。

解決のための"制作"が生み出すもの

ウェブサイトの制作時には、レイアウトの確認や画面の各要素の強さなどを確認するため、ワイヤフレームが用いられます。その目的を考えれば、ワイアフレームに理解できる文字が表示されていることは、あまり好ましいものではありません。文字の意味に引きずられ、本来確認すべき事柄に集中できない場合もあるでしょう。

このためワイヤフレームのテキスト部分には、意味を持たない文字を入力することで、こうした問題を未然に防ごうとします。海外ではダミーテキストとして、lorem ipsum(ロレム・イプサム)を入力する場合が多いようです。日本では、漢字やひらがな、カタカナをデタラメに並べると混乱を招くことが多いため、四角などの記号を入力するなどして、チェックが円滑に進められるような工夫がされてきました。

図5 Photoshop上で、テキストに「BLOKK font」を指定した場合の例(残念ながら日本語には対応していない)
図5 Photoshop上で、テキストに「BLOKK font」を指定した場合の例(残念ながら日本語には対応していない)

「BLOKK font」は、このようなワイヤフレーム制作時のひと手間を大幅に改善してくれます。すべてのテキストが素早くブロックになるだけでなく、フォントの指定を変えるだけなので、実際のテキストデータを入れ替えることなく、ワイヤフレームに最適な「ブロック」と通常の「文字」を素早く切り替えられる利点も持っています。

アイデアもですが、それ以上に"モックアップやワイヤフレームのためだけ"にフォントを制作して解決するという行為には、本当に頭が下がります。こうした"アイデアだけで終わらせない"という実例から、私たちが学べることは非常に多いのではないでしょうか。

自分の端末が、ゲームコントローラーに

Chrome Super Sync Sports

個人の持つスマートフォンやタブレット端末などを利用して、マルチプレイのゲームが楽しめるウェブサイト、⁠Chrome Super Sync Sports』です。

図6 マルチプレイのゲームが楽しめる『Chrome Super Sync Sports』
図6 マルチプレイのゲームが楽しめる『Chrome Super Sync Sports』

ウェブサイトに表示された手順に従って表示されたアドレスにアクセスすると、⁠Chrome Super Sync Sports』に接続した端末が、最大4人のマルチプレイが楽しめるゲームのコントローラーに早変わりします。参加者は画面を共有しながら、ランニング、サイクリング、スイミングの3つのゲームを、自分の持っている端末の画面を使って操作します。

図7 最大4人のプレイヤーがゲームを楽しめる
図7 最大4人のプレイヤーがゲームを楽しめる

"最も身近な端末"が広げる、新たな世界

『Chrome Super Sync Sports』では、スマートフォン、タブレットといった端末をゲームのコントローラーとして利用することで、誰もが手軽にゲームに参加できるようになっています。誰もがこうした端末を一人1台持つことが普通になった時代だからこそ、登場してきた方法だといえるでしょう。

最近では、個人が持つモバイル端末を上手に利用したプロモーションも増えています。昨年、AKQAが公開したクリスマス・コンテンツMobile Orchestraでは、ユーザーが持ち寄ったモバイル端末がオーケストラの各パートとなって、クリスマス曲「Carol of the Bells」を演奏します。端末の数が増えるほど、演奏者の数が増え、演奏される楽曲がにぎやかになる様子は実に面白いです。

AKQAのクリスマス・コンテンツ『Mobile Orchestra』を紹介する動画

セカンドスクリーンと呼ばれる、こうした2つ目のディスプレイを利用する試みは、現在、さまざまな分野で始まっています。最新型の家庭用ゲーム機は新しいゲームの楽しみ方を、最新のテレビは新しい情報の伝え方を、そして、ウェブサイトでは新しい体験をユーザーに提供するため、使い方やルールといったフォーマットを試行錯誤している最中です。

どの分野でも、共通する部分は、個人が身につけ、持ち歩き、使い慣れているデバイスをもっと利用しようとしているところです。⁠Chrome Super Sync Sports』では、単なるゲームのコントローラーという姿でしかありませんが、今後、こうした機能の拡張は広がりを見せるでしょう。どの分野から革新的で新しい使い方が生まれてくるのか想像できませんが、ウェブサイトに関しても、こうした事例が続々と登場してくることを期待せずにはいられません。

というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

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