スクラム開発のトレーニングやコーチングをしているPeter Stevens氏によるブログ記事の翻訳です。記事タイトルのとおり、顧客とサプライヤ(開発会社)との間で交わす契約形態について10種類の分類を行い、どれがアジャイル開発に適しているかを考察しています。10種類の契約形態は次のとおりです。
- ① スプリント契約
- ② 固定価格・固定スコープ
- ③ 実費精算契約
- ④ 実費精算契約(固定スコープ、上限コスト付き)
- ⑤ 実費精算契約(変動スコープ、上限コスト付き)
- ⑥ フェーズ開発
- ⑦ ボーナス/ペナルティ条項
- ⑧ 固定利益
- ⑨ 「早期中止、変更無料」
- ⑩ ジョイントベンチャー
①「スプリント契約」は、30日間の開発サイクル単位を表したスクラム用語「スプリント」で区切って納品および支払いを行うことです。スクラムの用語が使われているとおり、スクラム開発に適しています。
日本での受託開発において最も多い契約は②「固定価格・固定スコープ」でしょう。名前とは裏腹に価格が変わらずスコープだけが変更することは往々にしてあり、サプライヤが見積りを誤ると大きな損失につながります。
これを避けるために、④「固定スコープ、上限コスト付き」では予定工数より少なくなった場合支払い金額も少なくなる構造をとっており、顧客は無駄に工数が増えないようにスコープを変更しようとは思わなくなり、結果的に両者間の信頼を上げる助けになります。
著者が勧めているのは、3ヵ月のリリースごとに予算を出して成功すれば追加予算を請求できる⑥「フェーズ開発」と、ビジネス価値を見極め早期に中止したり機能変更をしたりできる⑨「早期中止、変更無料」です。そして最後に、契約そのものよりも「プロジェクトを成功に導くために、顧客と恊働して良い関係を築くことが重要だ」と締めくくっています。
URL:http://capsctrl.que.jp/kdmsnr/wiki/transl/?10-agile-contracts