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MVPを3大陸の3チームに作らせる試みビジネス

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FOODitというレストラン向けサービスを提供するロンドンのスタートアップの創業者が、3週間でMVPMinimum Viable Productをつくり上げるため、3大陸の3つのチームに異なるプラットフォームで同じ要件のソフトウェア開発を依頼した試みが紹介されていました。

創業者は直感的にGoogle App Engine(GAE)がプラットフォームとして最適だと考えていたようですが、できれば複数のプラットフォームや開発チームも試してみたかったため、3つのチームに依頼して同時に開発を進めることにしたようです。

3つのチームとは、

  • EコマースソフトウェアMagentoを使ったスウェーデンのチーム
  • Azureを使ったインドのチーム
  • GAEを使ったオーストラリアのチーム

です。当初はHerokuを使ったチームも参加していましたが、そのチームが提案したMVPは「電話番号が載っただけの本当に最小限のWebサイト」だったため、創業者はあまりにリーンすぎると思い発注には至らなかったとのこと。

この創業者はGAEが一番有望と考えていたため、開発期間中はオーストラリアのインキュベーションスペースに滞在することにし、他の2チームとはSkypeでやり取りを進めましたが、3つのタイムゾーンで3つの製品を同時に開発するのはとても大変だったようです。

気になる結果ですが、創業者自身が滞在していたこともあってかオーストラリアのチームとGAEを選択することにしたそうです。同チームは最もリーンなやり方に精通していて開発力も高く、仮説実証ができるように地元のレストランと連絡をつけるといったことにも便宜を図ってくれたとのこと。

スウェーデンのチームでの開発は、Magentoを採用することでレガシーなコードがベースとなってしまう点が懸念となり、選択肢から外れてしまいました。ただ、チーム自体は高い技術力に加えてEコマースやUIについての知識も豊富だったようで、外部に開発を依頼する場合にはそういった部分も評価することが重要だとしています。

インドのチームは洗練された開発者たちではありましたが、Eコマースにおけるビジネス経験が浅かったため、要件の定義が厳密ではなかったり開発者自身に重要な設計判断が必要とされるようなプロジェクトを任せるのは難しそうという結論になったようです。開発費用は他のチームよりも安価ですが、マネージメントのオーバーヘッドなどでそれらのメリットが相殺されてしまうという気付きもあったようです。一方で、仕様がはっきりと定義されたプロジェクトであればインドのチームと作業することもできるだろうし、同チームとの作業は楽しいものだったとも書いています(それが常に重要なことだとも⁠⁠。

オーストラリアに創業者が滞在していたという利点もあり、最終的には当初の思惑通りの結果になりましたが、とりあえずのMVPを構築する際に複数のプラットフォームを試してみるという試みはなかなか面白いのではないでしょうか。

URLhttp://blog.foodit.com/1to500/how-i-built-the-same-mvp-3-times-across-3-continents-in-3-weeks-part-1

著者プロフィール

安藤祐介(あんどうゆうすけ)

Kickstarter で海外からガジェットを購入するのに今さらハマっています。

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小倉純也(おぐらじゅんや)

小さいながらも自社のオフィスを借りました。ボロくてもテンション上がる!

Twitter:junya

溝畑考史(みぞはたたかし)

新しい職場では毎月2 回以上の出張が続き、やや燃え尽きています……。

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