新春特別企画

2010年Google Waveの

新年あけましておめでとうございます。シーサー株式会社のあんどうやすしと申します。本記事では2010年Google Waveがどうなるのかということについて、多分に楽観的な予想を書いてみようと思います。

とは言っても、Google Waveは一般公開に向け非常に活発に開発が進められており、一年後どころかひと月後の予想も難しいと言うのが正直なところです。あまり時期的な記述については信用せず、だいたいこういう方向に進むのかな、くらいの軽い感じで読んでいただけると幸いです。

Google Waveとは

Google Waveは、2009年5月のGoogle I/Oカンファレンスにおいて大々的に発表された全く新しいリアルタイムコミュニケーションプラットフォームで、その目指すところは「メール・チャット・ Wikiなどを統合し置き換える」という非常に野心的なものです。現在のところGoogle Waveはデベロッパープレビューとして主にAPIを利用して拡張を作成する開発者への限定的な公開に留まっていますが、とはいえそのユーザー数は9月末のプレビューバージョン公開時に10万人、その後それぞれのユーザーに対して合計で10人以上、多い人には30人以上の招待権が配られていることから、現在はさらにその数倍から十数倍になっている可能性もあります。

Waveのこれから

以下では2010年にWaveに起こりうる変化について「プラットフォームの変化」⁠プロトコルの変化」⁠プロダクトの変化」と3つに分けて紹介します。変化の順番もおおよそこれに従うと予想していますが、実際にはそれらの変化は相互に関連しあっていて、前後することもありえると言うことを予めご了承ください。

プラットフォーム(API)の変化

OpenSocialプラットフォーム化

Google Waveが持つAPIの一つとしてガジェットAPIというものがあります。このAPIは現在のところOpenSocial APIをサポートするものではありませんが、ビューアーの扱いなどの関してすでに同様のコンセプトを持つAPIが実装されています。また、動作しているガジェットのソースを見るとガジェットコンテナのURLの中にopensocialという文字が見えることからも、将来的にOpenSocial APIをサポートすることは既定路線のようです。WaveのOpenSocialプラットフォーム化は以降の予定にも絡んでくるところがありますので、ほどなく達成されることを期待しています。

ロボットプロトコルのGoogle App Engineからの開放

もうひとつのAPIとしてロボットAPIというものがありますが、現在のところそのロボットAPIを利用するにはGoogle App Engineを利用してサービスを公開する必要があります。しかし「GAEを使う必要がある」という制限に伴う「公開できるアプリケーションの数は10個まで」⁠利用できる言語はPython・Javaのみ」という制限はなかなか厳しいものです。

実はロボットプロトコルはすでにドラフト版が公開されており、この仕様が固まりさえすれば、あとはGoogle Waveがこのプロトコルを利用したGAE以外のサーバーとのやりとりを認めるだけで、ロボットを自分の好きなサーバーで動作させることができます。ロボットプロトコルについてのフィードバックは本家Wave APIグループで受け付けていますので、一刻も早くロボットAPIを好きなサーバーで動かしたいと思う人はグループに参加して、いろいろと意見してみるといいでしょう。

プロトコルの変化

参照実装の登場

Waveの仕様は膨大で、Waveプロバイダになるために各社が独自にWaveサーバーを開発する必要があるというのは現実的ではありません。Wave普及のためにはプロダクトレベルの参照実装がどうしても必要でしょう。

現在我々が目にすることのできるWaveの実装としては、FedOneと呼ばれる主にフェデレーションプロトコルの確認に重点をおいたプロトタイプ実装があります。これはあくまでも実験的な用途を目的としたもので、足りない機能も多く、実際にユーザーにサービスを提供することを目的としたものではありません。しかし不足している機能というのは実はほとんどがOpenSocialコンテナに実装されているものです。個人的にはWaveがOpenSocialコンテナになったあと、FedOneと既存のOpenSocialコンテナ(Shindigなど)の組み合わせと言う形で参照実装が出てくるような気がしているのですが、さてどうなるでしょうか。

プロダクトの変化

一般公開

Googleの発表によるとGoogle Waveの一般公開については、いかなるタイムフレームも設定していないということになっています。またGoogle Waveと同じように招待制として始まったGMailが一般公開されるには2年以上の時間が必要でした。そういったことからGoogle Waveの早期の一般公開には悲観的な人がいるのも事実です。しかしWaveの場合はメールと違い、実装がGoogle Waveしか存在せず、まずはGoogle Waveがある程度一般に普及しないことには「メールを置き換える」どころではありません。意外と早い時期、例えば5月のGoogle I/O 2010で一般公開が発表され、Google Waveの利用に招待状が不要になるなどということもありえるのではないでしょうか。

ガジェット&ロボットマーケットの登場

Google Wave拡張用のApp Storeについてはかなり早い段階から噂されています。あるTechTalkで発表者のGooglerがそれに言及したこともあり、いずれ登場するということについては間違いがありません。APIを利用して様々に拡張できることはWaveの大きな特徴の一つですが、適切な拡張を見つける手段がないのでは宝の持ち腐れです。マーケットの存在は拡張の開発者と潜在的なWaveプロバイダの両者への強力なアピールにもなりますから、Google Waveが一般公開されると程なくマーケットが公開されることも考えられます。

Google以外のWaveプロバイダの登場

参照実装が公開されれば、Google以外の会社または個人が所有するドメインでWaveサーバーを公開できます。Google Waveが一般公開されていれば、もちろんそれらのWaveサーバーとGoogle Waveの間でもWaveがやりとりできるはずです。おそらくリリース後すぐに個人Waveサーバーはいくつも立ち上がり、その後にいくつかのベンチャー企業が続くことになるでしょう。このGoogle以外のWaveプロバイダの登場がWaveの普及のための大きな要で、もし2010年内にこの段階まで進むことができればWaveの将来は安泰と考えてよいと思います。

さいごに

ここに挙げたことのどこまでが実現されるかは分かりませんが、2010年はWaveにとって正念場であり、そしてきっと躍進の年になるに違いありません。未来のWebの基盤になりうるWaveのこれからに今年も注目していきましょう。

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