明けましておめでとうございます。株式会社トップゲートの安藤圭吾と申します。Unityについての執筆活動や技術サポートをしています。今回はUnityの概要と昨年の動き、そして今後についての話を寄稿させていただきます。
Unityとは
Unityとは3Dゲーム開発に特化したゲームエンジンおよび統合開発環境です。マルチプラットフォームに対応し、パワフルなコンテンツを作成することができます。
特に「ゲーム開発の民主化」を掲げ、高度な技術をシンプルに扱えるようにすることで、職種/年齢問わずゲーム作りが誰でもできるようにUnityの中の開発者は日々開発を行なっています。
2012年のUnity
それではUnityにとっての2012年を振り返ってみましょう。
今回は「Unity3.5の公開」「Unity4.0の公開」「海外の動き」「日本の動き」という、大きく4つに分けて振り返ってみました。
Unity3.5の公開
2012年2月にUnity3.5がリリースされました。マイナーアップデートにもかかわらず、次に挙げる数多くの機能が追加されました。
- NavMesh
- ParticleSystem (Shuriken)
- WebCam/マイクをサポート
- [モバイル] コンパス/ジャイロスコープをサポート
- [iOS] ゲームセンターをサポート
- [iOS] 広告iAdのサポート
- [iOS] プッシュ通知サポート
- ライトプローブ
- LOD
- GPU Profiler
- NaClサポート
- キャッシュサーバー
これらのUnity3.5で追加された機能は、今となってはなくてはならない必須の機能といっても過言ではないと思います。
NavMesh
3.5での新しい機能の1つ、NavMeshについて簡単に紹介します。
NavMeshは経路探索と群衆シミュレーションを行う機能です。エージェントが移動可能な範囲をMeshとして焼付けることにより実現できます。
フィールドにNavMeshを適用した状態
NavMeshには通過する道の難易度を数値化できる「コスト」というものが存在します。例えば、このコストが高いMeshがあるとエージェントはそのMesh上を通ることができず、別の経路に変更します。このコストをうまく利用すれば火事や建物崩壊で通れない道が出てきた時に、人はどこを通れば一番早く避難ができるのか、というのを簡単にシミュレートすることが可能になります。これにより、ゲームだけに留まらない活用方法が考えられるでしょう。
Unity4.0の公開
2012年11月にUnity4.0が公開されました。主な新機能は次のとおりです。
- 新アニメーションシステム 「Mecanim」
- DirectX 11 対応
- Flash書き出し対応
- Linux書き出し対応
- Androidプロジェクト書き出し対応
- モバイルでダイナミックフォント対応
Mecanim
Mecanim(メカニム)はヒューマンタイプのキャラクターに特化したアニメーションシステムです。
IKもサポート
既存のアニメーションをメカニム用にコンバートすることによって様々なモデルにアニメーションを使い回すこと(リターゲット)が可能になります。今まで作成してきたアニメーションを有効活用していきましょう。
海外の動き
Unite2012 開催
毎年行われているUniteが昨年は8月に開催されました。
Uniteとは、Unityでゲームを開発している開発者やパブリッシャーのためのデベロッパーカンファレンスです。Unityのロードマップ公開やUnityの新機能、ハンズオン、最新のマーケットについて、新サービスの公開などUnityを使う上で更なる上を目指すための濃密な4日間です。
今年のUniteでは、Unity4のプレオーダー開始やUnity4.xの情報が公開されました。Windows 8/Phone対応や新GUIについての詳しい情報も言及されました。
Unite 2012 : Keynote - Founders & Peter Molyneux
日本の動き
Unity アジア・ブートキャンプ・ツアー 東京 開催
Unity内部の開発者が各国を回ってカンファレンスを開催しており、4月に東京で「Unity アジア・ブートキャンプ・ツアー」が催されました。
Unity アジア・ブートキャンプ・ツアーでは、Unityを使用した開発に関する最新の機能や実践的なセッションを提供する2日に渡る大規模セミナー/ワークショップが行われました。このイベントには400名以上の開発者が参加し、参加者は基調講演含む19セッションの動画を見直すことができます(一部無料公開されているセッション動画はこちら)。
メガUnityミートアップ2012 開催
Unity Technologies Japanが1年の感謝を込めてミートアップイベントを12月に開催しました。 最新のUnity4の情報や開発事例の紹介、開発手法の指南など情報盛りだくさんのイベントになりました。
2012年のまとめ
2012年はUnity3.5に続きUnity4.0も公開され、Unityで出来ることが格段に増えました。Unityにとっても大きな進歩だったのではないでしょうか。 Unityを使用した開発者は世界で130万人以上(一昨年は90万人)、日本では9万人以上(一昨年は3万人)となっています。この伸び率は前年度を上回る勢いです。 日本にとって2012年はUnityを周知させる年になりました。私自身も初心者向けの勉強会やセミナー等、数多く行った年でもあります。
2013年の予想
2013年のUnityがどうなるかを簡単に予想してみます。
Unite2012で発表されたUnity4.xの機能の実装
開発速度を見る限り、2013年中には次の項目は実装されると予想しています。
- 新GUIシステム
- 新Prefabシステム
- Windows 8 / Phone 対応
特に新GUIシステムはUnityユーザー皆さんが楽しみにしている機能ではないでしょうか。
日本語サポートの強化
Unity Technologies Japanのドキュメントの日本語化、公式チュートリアル、スタッフ増員によるサポート強化により、一層の日本語圏の盛り上がりを見せると思います。 日本語情報が公式でサポートされることにより、Unityユーザーが昨年と同じ勢いで増えると予想しています。
エディタ拡張の必要性
効率の良いプロジェクト管理、開発期間の短縮にはエディタ拡張が必要と私は確信しています。詳しく紹介することは割愛しますが、次の点に注目しています。
- PropertyDrawerによるパラメータ管理の向上(Unity4から)
- SearchFilterによるアセット検索/管理向上(Unity4から)
- 独自のEditorWindow作成によるアセット管理
- AssetImporterによるアセットインポート管理
これらのプログラミングスキルを修得することをオススメしたいと思います。