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Pythonはオブジェクト指向スクリプト言語です。Perl,Ruby,PHPなどと並んで「軽量言語(LL)」と呼ばれています。LLは,開発効率の良さや手軽さなどが評価され,Webの開発を中心に世界中で広く使われています。
プログラミング言語としてのPythonの特徴には以下のような特徴があります。
- 動的な型付け
- インデントを使ったブロック表記
- 豊富なモジュール
- オブジェクト指向機能
- 組み込みのユニコードサポート
Pythonはとてもシンプルなプログラミング言語です。プログラムで利用される「if」「for」のような予約語は,Ruby 1.8の40より少なく31しかありません。シンプルでいて奥深いのがPythonなのです。
GoogleやYouTubeで活用
Pythonの作者Guido van Rossum氏が米検索エンジン大手のGoogleで働いているのは比較的有名な話です。Guido氏は2005年の末に転職し,Googleで費やす時間の半分をGoogleの仕事に,半分をPythonに使っていると言われています。
Guido氏が転職する前から,GoogleではPythonを積極的に活用していました。データ連携といった裏方の仕事をはじめとして,Google Groupsのようなフロントエンドの実装にもPythonが使われているようです。
また,動画配信サイトとして人気の高いYouTubeの多くの部分はPythonで書かれています。著名な成長企業が採用し,人気のあるWebサービスに使われていることからも,Pythonが優れた言語である,ということがよくわかります。
豊富なモジュール,フレームワーク
言語として優れているだけでなく,モジュールやライブラリ,フレームワークが豊富に揃っているのもPythonの魅力のひとつです。Webの開発に限っても,とても多くのライブラリやフレームワークが手に入ります。ZopeをベースにしたPloneのように重厚で歴史のある高機能Webフレームワークもありますし,TurboGearsやDjango,Pylonsといった,より軽量で取り回しがしやすいフレームワークを見つけることもできます。Pythonのフレームワークやモジュールは,ドキュメントが整備されていて,保守が行き届いているものが多く,安心して利用できます。無料で利用できるものが多いのも嬉しい点です。
Pythonはオールレンジ言語
Pythonが活用されているのはWebの世界だけではありません。ハリウッドで作られる映画のCGを作る一流のCGスタジオの多くはPythonを積極的に活用しています。Eve onlineのようなネットワークゲームの構築にもPythonが使われていますし,物理や生命科学のような研究分野で行う数値計算にもPythonが活用されています。
このように,Webだけではなく,いろいろな分野でPythonが活用されています。
マイクロソフトからリリースされている.NETで動くPython実装IronPythonや,JavaのVMで動くPython実装Jythonのような平行実装も,Pythonの活用の幅を広げています。Javaや.NETのプログラムの一部を,Pythonの文法を使って作ることができるのです。
国内のコミュニティ活動
欧米を中心に利用実績が多く,知名度が高いPythonですが,日本ではまだメジャーなプログラミング言語と言い切れないのが現状です。しかし,この状況も変わりつつあります。
国内のコミュニティ日本Pythonユーザ会では,定期的にセミナーや開発合宿を開催しています。2007年の3月には志賀高原で40人以上の開発合宿を行いました。6月の末には東京大学駒場キャンパスを借りて大規模なセミナーを行いました。ユーザ会以外では,WebフレームワークDjangoのコミュニティなどが勉強会や合宿を定期的に開いています。
拙著「みんなのPython」を皮切りに,日本語の書籍が増えたのも状況を変えている要因のひとつかも知れません。今後は「最新Pythonエクスプローラ」や「TurboGears×Python」のように,入門書に書かれない深い分野を扱った書籍が増えてくることが望まれているように思います。
コミュニティ活動,出版などを通じて,Pythonの露出度が急激に高まっているのが国内での状況です。この連載を通じて,読者の皆さんにPythonの素晴らしさを伝えることができれば嬉しく思います。
次回は,8月の末にバージョン3.0がリリースされた高機能WebフレームワークPloneについて解説したいと思います。