小飼弾のアルファギークに逢いたい♥

#13 シックス・アパート 宮川達彦

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4 分

日本のエンジニアのレベル

弾:宮川さんはシックス・アパートというアメリカの会社でバリバリやってるわけですけども,日本のエンジニアのレベルってどんなもんだろう,アメリカと比較して。

宮:日本のエンジニアのレベルは高いと思います。特に,僕はコミュニティという意味では東京しか見てないですけど,Shibuya.pmとかShibuya.jsで発表しているようなエンジニアは,シリコンバレー,サンフランシスコとかのスタートアップ企業でタレンテッドなエンジニアとして数えられる人と遜色はないと思いますよ。

弾:連中をそういう企業に売る仕事をすれば楽してお金を作れる印象があるけども(笑⁠⁠,にもかかわらず,彼らが,こう言うのもなんだけど,日本に居続ける理由ってなんだろう。

画像

宮:さっき話さなかったんですけど,シックス・アパートを選んだ理由の1つには,日本法人からアメリカに行けるっていうパスがあったからなんですね。ヤフーとかグーグルもあたりましたが,日本法人に入ったらエンジニアリングはローカライズとかの仕事がほとんどで,日本からUSに転籍するパスはほぼないっていう話だったんですよ。当時グーグルの日本オフィスが立ち上がったばかりだったんで今は状況が違うかもしれませんが。言い尽くされてることかもしれないけど,東京は人口密度も異常に高くて情報の密度も高い。コミュニティもある。で,日本語のサービスをたてれば1億何千万人にはとりあえず通じるという,そこで完結してしまっているっていうことが一番大きい理由なんじゃないですかね。自分もたまに東京に帰ってきて,やっぱりいろいろ便利だなあと思ったりするし,それ自体が悪いことだとは全然思わないですけど。特に技術系の部分で言うと,英語じゃないっていうだけで(海外とは)差ができたり。

弾:そう。存在してないことと同じことにされちゃったりするからね。

ベイエリアの給料

宮:あと,エンジニアの給料については,ベイエリア自体が税金とか物価が高かったりするから。

弾:額面どおりにっていうのはなかなかないけどね。

宮:評価という意味では日本とちょっと違うとは思うんで。

弾:やっぱり一番わかりやすいもんね。サラリーでなんぼというのが。オン・ザ・エッヂというのはそういった意味では日本でそれをやってるすごい稀有な会社だったという。

宮:やっぱり堀江さん自身がプログラマだったっていうのもあるし,そこらへんの…。

弾:そう,ちゃんとできる子にはお金ザクッと出してたからね。実はそっちのほうが安上がりだったりするんですけど。別の上場企業の話で,新卒をドカーンと取っといて「枝狩り」をかけちゃうという話しがあるけど,実はすごい効率悪いんですよ。少なくとも会社が小さいうちは一本釣りしてきたほうがね。

編集部:ベイエリアのほうが東京より給料は高いですか?

宮:高いですね。いろんなサイトに載ってますけど,スタンフォードでコンピュータサイエンス専攻の大学院出て,シリコンバレーでソフトウェアエンジニア,なんていえば10万ドルは難しいかもしれないけどそれに近い数字はいきなりもらえますしね。ただその前提として,日本より所得税が全然高いし,ベイエリア,マウンテンビュー周辺は物価が異常に高くて,部屋もすごく高いんで,手取りで言うと,額面で見るほど差があるわけじゃないですね。

弾:日本だと,1千万(円)プレーヤーっていうのが役員とか執行役員のレベルになっちゃうのね。それくらいでないと出したくても出せない。ましてや上場とかしてると株主さんから突っ込まれちゃう。ほんとはそのくらい出すべきだと思うし,いいエンジニアが一人いると何十人分ですもん。何十人分じゃ済まないな。

優れたエンジニアとは

画像

弾:いつも聞いてることなんですけども,優れたエンジニアって何だろ? たとえば今の20代が(30代前半の)宮川さんの年になったときに,今の宮川さんくらいのスキルを身につけるにはどうしたらいいだろうかという。

宮:スキルというのが当てはまるかわからないですが,自分の場合,興味が一番大きかったと思います。僕が東京大学に入って一番よかったと思うのが,入学する時点ではまだ学科が決まってないんですね注6⁠。最初の2年は一般教養で,いろんな授業をとってこれおもしろそうだなっていうのが選べる。で,僕の場合,ラッキーだったのが,1年のときにインターネットの波が来て授業でインターネットとかコンピュータサイエンスの授業を取って,なんかおもしろいなと思って,で,世の中で公開されているCGIスクリプトみたいなもののほとんどがPerlで,これとりあえずやってみるかなってオライリーの本買ったら,オライリーでバイトすることになってみたいな,そういう自然なつながりがあったんですけど。もうこれはコンピュータサイエンスの学科に行くしかないと思って調べたらぴったりの学科があって,そこに,点数順なんですけども,一番最低点で入って…(笑⁠⁠。

弾:あらま。

宮:ほんとに危うかった。でもまあ,それはすごいラッキーで,大学で学んだことも仕事の役に立ってるし,タイミングがよかったなと思いますけど。

注6)
宮川さんは理科一類に入学

著者プロフィール

小飼弾(こがいだん)

ブロガー/オープンソースプログラマー/投資家などなど。ディーエイエヌ(有)代表取締役。1999~2001年(株)オン・ザ・エッヂ(現(株)ライブドア)取締役最高技術責任者(CTO)。プログラミング言語Perlでは,標準添付最大のモジュールEncodeのメンテナンス担当。著書に『アルファギークに逢ってきた』(2008年5月,技術評論社)。ブログは『404 Blog Not Found』

URLhttp://blog.livedoor.jp/dankogai/