小飼弾のアルファギークに逢いたい♥

#16 UIEvolution/Big Canvas 中島 聡

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PhotoShare

弾:PhotoShare注7のサービスはビジュアルコミュニケーションということなんですけど,どういうふうになるのかもう少し詳しく説明していただけませんか?

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中:ユーザシーンでわりと最初から考えてたのは,たとえばアメリカだと,子供のサッカーの試合がありましたと。で,アメリカでは,お父さんもお母さんもそういうときは来るんだけど,なかなか両方は行けない。その日はたまたまお母さんしか行ってなかった。するとお父さんは見れない。当然だけど,家に帰って,息子はゴール決めたんだよって言えるし,そのときの写真を見せることもできるし,もしくはゴールを決めた瞬間にテキストでお父さんにメールしてもいいんだけど,たぶんその笑顔をリアルタイムで見せることができたら,やっぱすばらしいわけですよ。

リアルタイムなビジュアルなコミュニケーションがあって,メールでも可能なんだけど,もっと簡単に,もっとゆるく。メールってやっぱりすごく押し付けがましいから,僕もあんまりメール受け取るとやなんですよ。

たとえば,試合が始まった瞬間のメールが写真で送られてきて,ゴールをしそうになったときの写真が送ってきてとかってやってると,いっぱい写真がくる。そうじゃなくて,試合っていうのは連続的に続いてるんだから,その間そのお母さんはぽこぽこ写真を撮ってるわけですよ。それがリアルタイムに,メールじゃなく,共有された写真の形で届いて,僕はいつでも見れる。ゴールを決めた瞬間の写真や,そのあとの笑顔の写真がメールっていうユーザエクスペリエンスは違うんじゃないかと。もう少し違う形の共有フォトアルバムっぽいものがあっていいはずだし。わりと意識してるのは写真版のTwitterかな。

注7)
BigCanvasの最初のプロダクトとなるiPhone用ソフトウェア。

Windowsのノーティフィケーション

弾:メールで通知(ノーティフィケーション)がうっとおしいという話しがありましたが,中島さんに言うのは筋違いかもしれないですけど,Windowsのタスクバーって,いちいちノーティファイするでしょう? あなたのコンピュータは危険にさらされてますって。あれはひどいと思うんですね。初めてコンピュータ買った人がユーザ登録とかやってると,⁠あなたのコンピュータは危険にさらされてます⁠⁠。これはものすごくひどいんじゃないですか。パーティに来て,⁠はじめまして,あなたの余命は何年です」とかって,おまえは細木数子かって(笑⁠⁠。

中:あれは,ほんとに後悔してる。あれは僕が入れたんですけど。

弾:そうなんですか(笑⁠⁠。

中:もうすごい後悔してる。っていうのはあれ,表面的にはすごく良いアイデアなんですよ。⁠ソフトウェアを)作ってる立場としては,アプリケーションっていうのは立ち上がってるときしかユーザとコミュニケーションできないけど,アプリケーションが立ち上がってないときにコミュニケーションしたい場合があるじゃない。そういう方法をアプリケーションに与えようっていうすごい純粋な動機で作ったんだけど,ほんとにやってみたら失敗したね。

弾:なんで,あんなにうざくなっちゃったのかな。確かに正しいですよ,こういう世の中ですから,アンチウィルスソフトを入れましょうっていうのはあるんですけど,ひどいときになるとバルーンが3つくらい並んで(笑⁠⁠。

中:使えば使うほどWindowsって遅くなるじゃないですか。あれ実はそこが原因で…。こんな話はあんまりしたくなかったなあ…。自分のパソコンもそうなんだよ。使ってると,だいたい半年とか1年で妙に遅くなるじゃないですか。

弾:(笑)

若いエンジニアへのメッセージ

弾:『WEB+DB PRESS』は日本の若いエンジニアが読んでる雑誌なんですけど,彼らに「これは言っておきたい」ということは?

中:なんだかんだ言って,今後ますます,いろんな意味で力がある人と,力がない人の貧富の差が開いちゃうわけですよ。善かれ悪しかれ,アメリカが仕掛けている資本主義の中に巻き込まれてるわけです。日本のエンジニアって,わりとハングリー精神がないというか,もっと自分が良い環境にいてもいいはずだっていう思いが足りないのかなあ,勉強不足とは言いたくないんだけど,なんかハングリーさが足りない部分から来る勉強しなさみたいなのは,見ててすごく歯がゆいと思うんですよ。

弾:あんまり怒りませんよね。アメリカに限らず,第一線の人たちって,職人的怖さがあるじゃないですか。今この人に話しかけたら殺されるぞみたいな。日本では,そういうのを感じるエンジニアって確かに少ないですね。

中:そうですね。たとえば,下請けのSI企業に入っちゃって,こき使われて将来ない,みたいな暗い思いをしてる人はいるんだけど,ほんとに優秀だったら,そこに留まってるはずはないんですよ,本来なら。別に会社を辞めろって言ってるわけではないんだけど,そういう押し付けられてる過酷な環境,給料安いとか,無理やり長時間働かされてるとか,自分のやりたいことができないとかっていう状況に置かれたら,それはばねだったら縮められてる状況なんだから,必ず力がたまって,跳ね上がってくるはずなんですよ。だからこそ,すごくおもしろいことが世界中で起こってるんで。

弾:でも,こういう意見もありまっせ。本来だったらびよーんっていくところに同時に塩水をかけてると,使おうとしたときにはにはもうさびついてる(笑⁠⁠。

中:でも,さびつくなよと,びよーんとなれよと。ぎゅっと抑えられたときに,弾けろよと。別に上司とケンカしたっていいし。

弾:確かに,ケンカのしかたを知らないですよね。ケンカすると戦争になると思ってる。違うんだよなあ。

中:社長くらいになると,会社にとっていいこと言ってる人の意見は聞きたいわけですよ。どんなに下っ端でも。中間管理職がバカだとうまくいかないんだけど。そこはいくら騒いでもいいと思う。社長さんがわかってくれる人だったら,ちゃんと扱ってくれるし,でも騒ぐことをいやがるような会社にいてもしようがないと思うから,僕は騒ぐべきだと思う。僕は,上司を2回くらいクビにしてるから。

弾:そうですよ。みなさん,上司ってクビにできるもんなんです。部下でも。これはマジですよ。社長だって,株主ならクビにできるわけです。だから実は上の人たちのほうが,よっぽどクビになりやすい。権力と引き換えですもんね。偉くなればそれだけえらい難儀なこともさせられるっていう,それでバランスが取れてるわけですから。

中:自分のやりたいことと会社の方向性を一致させるようにして,一致したと思ったら,思いっきりわがままを言っていいと思う。で,そこでうまくいかないなら,そこは間違った場所なんだし。かなりの可能性で,上司は折れたりクビになったりするから,まあがんばれよと。

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著者プロフィール

小飼弾(こがいだん)

ブロガー/オープンソースプログラマー/投資家などなど。ディーエイエヌ(有)代表取締役。1999~2001年(株)オン・ザ・エッヂ(現(株)ライブドア)取締役最高技術責任者(CTO)。プログラミング言語Perlでは,標準添付最大のモジュールEncodeのメンテナンス担当。著書に『アルファギークに逢ってきた』(2008年5月,技術評論社)。ブログは『404 Blog Not Found』

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