小飼弾のアルファギークに逢いたい♥

#21 和田裕介(ゆーすけべー)

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欲求を満たす恥ずかしさ

弾: 1 つ不思議なのは,エロはなんでここまで特別扱いされるのかな。確かに(欲求としては)強いですよ。でも,それを言ったら食欲も1つのジャンルを確保しているわけじゃないですか,⁠美味しんぼ』じゃないけど。なのに別に飯食うことは恥ずかしいことだと今はされてないですよ。でも実は一昔前は,人前で飯を食うというのは人前でやるよりも恥ずかしかったっていう時代だってあったわけです。

ゆ:なるほど。そうですよね。

弾:自分の生理的欲求を満たしてるところを人に見られるのって恥ずかしく感じるみたいなんですよね。なんでだろうって考えたら,たぶん,そのときがスキありの状態になると。

ゆ:なるほど。

弾:だからやってるとき,トイレに行ってるとき,飯食っているときっていうのは人間が一番無防備になるときでしょう。そういうところを描くから物語というのはおもしろいのであって。ということになれば,エロを特別扱いする必要はないんじゃないかなと。

ゆ:そうですね。僕も「エロギーク」と呼ばれて別に恥ずかしいとは思いません…(笑⁠⁠。

弾:人間として正しいよ,それは(笑⁠⁠。

非同期系

弾:最近はどんな技術に注目していますか?

ゆ:さっき,malaが発表してましたけど注9⁠,やっぱり非同期系は気になっています。Web API,Web サービスは昔からすごくおもしろいと思っていて,個人でも巨大な,たとえばAmazonのデータベースを読める,本の情報をとれるっていうのがすげえなと思ったんですけど,最近はTwitter がおもしろいと思っています。一番おもしろいのはストリームAPI で,宮川(達彦)さんが作った,AnyEvent注10のAnyEvent::Twitter::Streamっていうのがあって,ストリームAPI がそのまま使えるんですけど,キーワードをトラックできるんですね。まだ日本語対応してなくて,日本語対応してほしいなと思っているんですけど,たとえばHelloとか入れとくと,みんながHelloって言っている言葉をポーリング注11なしでそのままつなぎっぱでとってこれるんですよ。だからリアルタイム。ある程度Google Waveとかも関わってくるんですけど,リアルタイム性のあるコミュニケーションが,Twitterも,あれほどみんなおもしろいと思っているということは,徐々に来るんじゃないかなと。

注9)
YAPCにて,⁠Asynchronous Programming for (A)synchronous Communication」と題してlivedoorのmalaさんが講演した。
注10)
イベント駆動モジュールの方言を吸収するモジュール。
注11)
ホストとなるコンピュータ側がネットワークに接続された端末側に,送信要求の有無の問い合わせを順番に行うこと。

いまどきのリアルタイム

弾:今,非同期とリアルタイムという言葉が出たけど,リアルタイムに関してはずーっと昔にブームみたいなのがあったんですよ。リアルタイムOSとか。そのときのリアルタイムっていう言葉と今のリアルタイムっていう言葉は結構違っていて,昔のリアルタイムっていうのは,きっちり仕事を終えるっていうのにかなり重きを置いていたんですよ。この一定時間内にこの仕事が終わらないとっていうものすごい,要は絶対タイムアウトしちゃいけないよ,みたいな。ところが,今,注目されているものは,結構ぽろぽろこぼしてもいい。Twitter の検索とか,かなりこぼれますよね。

ゆ:こぼれますね,あれは。

弾:だからリアルタイムエンジンっていうのはこの程度でいいんだなっていう。

ゆ:リアルタイムっていうか,垂れ流してるよみたいな感覚ですよね。

弾:多分にこれはミッションクリティカルでないところが。

ゆ:そうそう,おもしろい。

弾: Twitter できなくても死ぬわけではないですよね。だけど,たとえばこれが110番のシステムとかで取りこぼしが出たとかって言ったら,やっぱいやでしょ。

タイミングや時間を活かしたサービス

ゆ: Twitter はコンテンツを持っているじゃないですか。ほかにリアルタイムというか,垂れ流しでやったらおもしろいもので,何があるかなって,考えていて。

弾:一方的に流れているものをまとめてあたかもそこにコミュニケーションが成立しているように見せる,あるいは本当に成立しちゃうっていうのは今,ものすごいウケがいいですよね。もう1 つ例があって,ニコニコ動画。

ゆ:ああ,そうですね。

画像

弾:あれのコメントは完全に非同期。なのに,あたかも同じ場所にいるように見えるわけでしょ。

ゆ:そうなんですよね。おもしろいですよね。

弾:互いに相手のことを考えないで,垂れ流しにしているものを1ヵ所に集めてみたら,なんかそこにコミュニケーションが成立しているっていうのはおもしろいなと。

ゆ:タイミングとか時間をうまいこと活用したサービスはやっぱりおもしろい。それに則ったコンテンツとかサービスを注目していきたいし,自分も作っていきたいなと思いますね。

著者プロフィール

小飼弾(こがいだん)

ブロガー/オープンソースプログラマー/投資家などなど。ディーエイエヌ(有)代表取締役。1999~2001年(株)オン・ザ・エッヂ(現(株)ライブドア)取締役最高技術責任者(CTO)。プログラミング言語Perlでは,標準添付最大のモジュールEncodeのメンテナンス担当。著書に『アルファギークに逢ってきた』(2008年5月,技術評論社)。ブログは『404 Blog Not Found』

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