児玉サヌールと田中ばびえの会社訪問

第3回チームラボ(後編) 猪子社長は、とても自由な人だった

オモロ検索エンジン「SAGOOL」や「iza!」の開発で有名なチームラボ株式会社さんへのインタビュー後編です。

人材の幅

――数学に強いエンジニアが多いんですか?

猪子:数学に強いエンジニアは何人かいる。あと数学しかできないやつもいる(笑⁠⁠。

――文系エンジニアはいないんですか?

猪子:全然いる。

――人材のスキルにすごい幅がありますね。

猪子:幅あるよね。その数学者みたいな人は絶対、受託開発のほうには入れないよね。デザイナにしても、Flash寄りの人もいれば、3Dアニメーターな人もいる。

――採用方針というのは、どんな感じになるわけですか? なんでもありなんですか?

坂下:まぁ、話してておもしろければいいかなぁって思っています。

猪子:ヤバそうだけど、もしかするとすごいかもしれないっていう人の面接は、僕に回されるんですよ(笑⁠⁠。

坂下:猪子に見せておけば判断してくれるかなという人は、すぐそちらに(笑⁠⁠。

人材の評価

――入社後の評価とかどうですか?人材に幅があると評価も難しいと思うんですけども。

猪子:現場からするとひどい感じだよね。どう評価されているか、まったくわからないみたいな。

坂下:まったくわからないですね。

――上下の階層が低そうな印象がありますよね。社員がフラットというか。それで評価する/されるという関係があまりないのかなと思ったんですけど。

坂下:そうなんです。ないんですよ。

猪子:突然ね、天の声が聞こえるんです。

――天の声(笑⁠⁠。

開発部の坂下 渉さん。
(写真:上松尚之)
開発部の坂下 渉さん。(写真:上松尚之)

坂下:プロジェクトの大きな山を越えれば評価が上がったりしますけど、上がらないときもあるので、タイミングがよくわからないですね。

――下がることはないんですか?

猪子:下がったことはないです。そこは極めて日本的な。じゃあ、ちょっとタバコ吸ってきます(笑⁠⁠。

――(なんて自由なんだこの人!)坂下さんは、ご自身も誰かを評価をする立場なんですよね?

坂下:評価というか、一緒に仕事をして頑張っているなぁってのが見えたりすると、猪子に話したりする程度ですね。あとは、何かやりたいと言っている子には、その技術を身につけられるプロジェクトに移動できるようにしてあげるとか。

――ほかの会社と違うと思うところはありますか?

坂下:現場の雰囲気が明るいですね。前職が普通のSIerだったので、そこと比べるとみんな生き生きしているなと。

――何が原因なんでしょう?

坂下:うーん、わからないですね。一般のユーザの方が使ってくれるサイトを作っていることが多いので、それ自体が楽しいと思いますし、単純に物を作るのが好きな人が多いかなという気はしますけど……。まあ、現場の雰囲気がよいですね。開発者だろうがデザイナだろうが関係なしにみんなでワイワイ話して、おもしろそうなものを作りたいみたいな感じの雰囲気です。

猪子:いいっすか? 戻ってきても。

――どうぞ(笑⁠⁠。ただ、人数が増えてくると、みんなが同じような価値観でいくのは難しくなってくると思うのですが、社員は今後も増やしていく予定ですか?

猪子:あんまり考えてない(笑⁠⁠。

――2001年からここまでというのは?

猪子:まったく考えてなかった(笑⁠⁠。

――どうですか? 今のを聞いて。

坂下:とても不安です(泣⁠⁠。

猪子:まあ、人数が多いのはいいことだと思ってて、というか、多様性があるのはいいことだと思うんだよね。プロジェクトの幅も広がるし、もっと広がっていける気はするから、ちょうどよいところまで行ければいいと思ってる。まあ、人数はどっちでもよくて、世界中の人に使ってもらえるものを作れればいいかな。

そして世界へ

――世界中の人に使ってもらうようにするには、多言語化する必要があると思うのですが、検索やコンテンツマッチって問題ないんですか?

猪子:確率モデルだから問題ない。

――言語には依存していない?

猪子:言語に依存しないというと言い過ぎだけど、意味論ではなく記号としてとらえているから問題ない。ただ、世界規模にするにはインフラの整備が必要だから、金はかかるよね。

――「エンジンの中身は神秘的なほうがいい」とほかのインタビューに書いてあったんですけど。

猪子:あーやばい、言い過ぎた。カットカット! 全部嘘! 今の!

――載せておきます(笑⁠⁠。

猪子:評価の話から全部嘘!

東大とコラボレーション(したい)

――オフィスが東大に近いのは、東大とコラボレーションしたいからだというのは本当ですか?

猪子:したいねえ。シリコンバレーみたいになるといいのに。自分も研究室にいたからわかるんだけど、研究室って社会からめちゃくちゃ遠いんだよ。もっと社会で使われるようになるものを意識して研究するほうがいいと思うんだよね。

――研究のしがいがある。

猪子:そうそう。最終的なサービスまで落としてフィードバックもらったほうが、本当に研究したいこととか興味があることとかがわかるんじゃないかと思うんだけど。

――具体的に何かやってるんですか? コンタクトを取ったりとか。

猪子:全然。近くにいるよーって思ってるだけ。

――えー! 電話とかすればいいじゃないですか。向こうから声がかかるのを待ってるタイプですか?

猪子:いや、そういうわけじゃないんだけど……そうね、そのとおりだよね。

――じゃあ、これを読んだ東大関係者の方、連絡をくださいってことで(笑⁠⁠。長時間、ありがとうございました。

猪子・坂下:ありがとうございました。

みんなで記念撮影。⁠写真:上松尚之)
みんなで記念撮影。(写真:上松尚之)

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