クラウドとしてConoHaを選択する理由
「ConoHa」は「必要な機能をシンプルに、わかりやすく」をコンセプトにGMOインターネット株式会社が提供する、OpenStackをベースに構築されたパブリッククラウドです(図1)。もともとConoHaは2013年にVPSサービスとして登場し、高パフォーマンスな仮想サーバ、使いやすいコントロールパネルなどで、多くの方からご好評をいただいてきました。ConoHaは2015年5月18日にサービスの大幅拡充を行い、VPSの枠にとどまらず、クラウドとして必要となる多くの機能が追加されました。本連載ではConoHaの特徴や魅力、実際のユースケースをもとにした応用的な使い方などを紹介します。
図1 ConoHa
ConoHaの考える「クラウド」
「クラウド」というキーワードにはいろいろな意味がありますが、ここではいわゆるIaaS型のクラウドサービスを指します。仮想マシンやネットワークなどのインフラを、サービスとして提供するものです。高機能、高性能なリソースを、使用分だけのコストで利用できるため、サービスの迅速な立ち上げ、システム運用コストの最小化、高い安定性とセキュリティの確保など、多くのメリットをユーザに提供します。一方で、多機能化したクラウドは運用管理を複雑にする場合があります。また、クラウドの多くは従量制の課金体系を採用していますが、トラフィックの急増などの影響を受けて予想以上の料金になることがあります。
ConoHaはクラウドの良い面はそのままに、機能と価格の両面で、プロダクトをできるだけシンプルに保ち、複雑な部分を減らすように努めました。たとえば、わかりやすいプラン構成、定額制と時間制を組み合わせた料金体系、誰でも簡単に豊富な機能を扱えるよう設計されたコントロールパネルなどを提供しています。これによりユーザは、高機能なクラウドを、より手軽かつ簡単に利用できると考えています。
ConoHaの特徴
ConoHaの各機能については今後の連載で触れていきますが、まずConoHaならではの特徴をいくつかハイライトで紹介しましょう。
All SSD
ConoHaのストレージはすべてSSDを使用しています。VPSのローカルのストレージや、追加でアタッチできるブロックストレージも含めすべてです。これにより、高いI/Oパフォーマンスを実現しています。
豊富なオプション
ConoHaはプライベートネットワーク機能、ロードバランサ、無料DNS(+GeoDNS)、自動バックアップなど、豊富なオプションサービスを提供しています。この連載でも随時紹介していきたいと思っていますが、個人的にはGeoDNSはとてもおもしろいと思います。これは接続元ユーザの地域に応じて、一番近いリージョンのIPアドレスを返す機能を持ったDNSです。
海外リージョン対応
日本以外にアメリカ(サンノゼ)とシンガポールにデータセンターを設置しています。ConoHaでは、コントロールパネルやAPIを通じて、どのリージョンにも素早く仮想マシンを構築できます。また、GeoDNSやロードバランサなど、複数リージョンを活かすオプションサービスも用意しました。
海外リージョンを利用するメリットは、ユーザが海外からサーバへアクセスする場合などに、ユーザとデータセンター間の物理的な距離を短くできることです。これによりネットワークの遅延(レイテンシ)を低くでき、高速でストレスのないサービス提供が可能となります。海外リージョンは今後増やす計画もあります。
APIでプログラマブルなコントロールが可能
ConoHaで提供されている機能は、ほぼすべてAPIでもコントロールできます。VPSの構築やネットワークの設定などのシステム構築に直接関わる部分から、ユーザ管理や請求管理といったアカウント管理などが操作できます。
ConoHaはOpenStack(後述)をベースに構築されており、APIにも互換があります。そのため、OpenStack APIに対応したアプリケーションなどは、そのままConoHaでも使えます。APIについては今後の連載で詳しく触れます。
月額制と時間課金によるコストの最小化
プラン構成と料金体系もConoHaの特徴の1つです。「クラウドは従量制の料金体系が多い」と前述しましたが、これはリソースのコストを最小限にできるというメリットがある一方、コストの予測が立てづらくコントロールしづらいという側面があります。
ConoHaのすべてのサービスには、月額料金と1時間ごとの料金の2つが定められています。1ヵ月使った場合は月額の固定料金、それ以下の短期間使った場合は1時間ごとの料金の累積になります。リソースを短時間使った場合はそれだけのコストになる一方で、1ヵ月の月額料金が固定で決まっているため、それ以上のコストは発生しません。ユーザはデータ転送量やリクエスト数などを気にすることなくサービスを利用できます。
ConoHaとOpenStackの関係
ConoHaはOpenStackというオープンソースソフトウェアを利用しています。OpenStackは現在急速に普及が進んでいるクラウド開発基盤のソフトウェアで、クラウドサービスを構成するさまざまなコンポーネントが統合されています。ConoHaでは、OpenStackのコンポーネントを使用しながら、独自機能を実装したり、機能拡張を行ったりしています。
OpenStackのコンポーネントとConoHaの各種機能との関係は表1のようになっています。
表1 OpenStackとConoHaの関係
OpenStackコンポーネント | ConoHaのサービス名 |
Keystone | アカウント認証 |
Nova | VPS |
Neutron | 仮想ネットワーク
VPSへのIPアドレス割り当て |
Cinder | ブロックストレージ(追加SSD) |
Swift | オブジェクトストレージ |
| VPSのOSイメージ自動バックアップ |
Ceilometer | リソース利用状況の収集 |
Heat | cloud-initによるVPSの初期化 |
Horizon | (管理用) |
ConoHaに限らず、GMOインターネットは以前からOpenStackを採用したプロダクトをいくつもリリースしてきました。しかし、ConoHaはこれまでで最も多くの種類のOpenStackコンポーネントを使用しています。また、OpenStackのAPIをユーザに開放したりと、展開も最もアグレッシブです。さらに、まだ一部ですが、ConoHaの開発で実装した機能や修正を、OpenStack自体にもコミットしています。ユーザの皆さんにAPIなどをもっと使っていただき、さまざまな活用例が出てくることで、OpenStack界隈が盛り上がることを期待しています。
ConoHaを使ってみようでは、さっそくConoHaを使ってみましょう! ユーザ登録からVPSを作成するところまでを説明します。「インフラはよくわからないんだけど……」といった心配は不要です。冒頭で説明したとおり、ConoHaのコントロールパネルは「シンプルでわかりやすい」がコンセプトです。
ユーザ登録
始めにユーザ登録を行います。https://www.conoha.jp/にアクセスして、右上の「お申込み」をクリックします。ここからメールアドレスとパスワードを入力してユーザ登録を行います(図2)。
図2 アカウント登録画面
ユーザ登録が完了すると、コントロールパネルにログインできるようになります。メニューから「ログイン」を選択し、登録したメールアドレスとパスワードを入力してログインします(図3)。
図3 ログイン画面
会員情報の登録
コントロールパネルにログインしたので、すぐにVPSを作成したいところですが、その前に会員情報の登録と請求情報の登録が必要になります。画面に従い「電話認証」か「SMS認証」のどちらかを選択し、本人確認を行ってください(図4)。ここでは電話認証を行ってみます。ConoHaの電話認証は、実はイメージキャラクタの美雲このは(CV:上坂すみれ)から電話がかかってきます(笑)。本人確認が完了すると、お客様情報の入力画面になります。必要情報を入力してください(図5)。
図4 本人確認方法選択画面
図5 お客様情報入力画面
お客様情報の入力が完了すると、最後にお支払い方法の選択になります(図6)。ConoHaには「クレジットカード」と「ConoHaチャージ」という2つのお支払い方法があります。ConoHaチャージは、事前に入金しておくと、その金額分の利用が可能となる方法です。クレジットカード、PayPal、コンビニエンスストア、銀行決済(ペイジー)で入金できます。
図6 お支払い方法選択画面
お支払い方法の登録が完了したら、いよいよサーバを追加してみましょう。
サーバを追加する
左のメニューから「サーバー追加」を選択すると、サーバ追加画面が表示されます(図7)。ConoHaは追加するサーバに関してさまざまな設定ができます。
- 起動するOSの選択(CentOS、Ubuntu、Debian、FreeBSD、openSUSEなど)
- リージョンの選択
- 自動バックアップの有無
- ディスク容量の選択(50GB、250GB、550GB)
- ポートフィルタリングの設定
- SSH公開鍵の設定
図7 サーバ追加画面
ConoHaで追加されたサーバは、ここで設定した初期設定がされた状態で起動します。OSやリージョンを1クリックで選べますし、SSH公開鍵を設定しておけば、起動後すぐにサーバにログインできます。
さいごに
今回はConoHaのコンセプトやサービスに対する考え方を紹介し、最初のステップとしてサーバを追加してみました。ConoHaにはまだまだたくさんの機能があります。今後の連載では、各機能やAPIを使ったプログラミングなどを紹介する予定です。また、ConoHa自体のアーキテクチャやOpenStackをどう活用しているかといった、内部実装も紹介できればと思っています。お楽しみに。
皆さんには、ぜひクラウドの選択肢の1つとして、ConoHaを体験していただきたいと思っています。