サイバーエージェントを支える技術者たち
第9回 “強力タッグで緊急プロジェクトを成功に導く”─システムディベロップメントグループ 切通伸人/フロントクリエイティブグループ 馬場絵美
サイバーエージェントの運営する
これを利用することで,
通常業務の合間を縫ってAndroid版を開発
- ―― まず,
お二人の役割を教えていただけますか。 切通氏:普段エンジニアとしてFlashやJavaを使った開発を担当しています。今回,
PC版の 「アメーバピグ」 をAndroid版に移植するにあたり, システム面を担当しました。 馬場氏:普段は
「アメーバピグ」 内で展開しているゲームのユーザインターフェースやイラストレーションを担当しています。今回のAndroid版では, アプリ全体のインターフェースを担当しました。 - ―― どのような経緯で今回のプロジェクトに携わられることになったのですか。
切通氏:私は社内でAndroidで何かやれないかと話をしている場にたまたま居合わせたので,
自分がやります! と手を挙げました。 馬場氏:ある日,
あまり関わりのない上司から呼び出されたんですね。それでドキドキしていたら, Androidをやってみないかという話で。普段の業務ではあまりスマートフォンに関われる機会がないので, これはチャンスだと思って挑戦することにしました。 - ―― Android版の開発はいつ頃スタートしたのでしょうか。
切通氏:2010年9月頃ですね。ただそのときは,
サイバーエージェントのサービスを使って, Android向けのアプリを開発できないかというだけの話で, 「アメーバピグ」 を移植すると決まっていたわけではありませんでした。このとき, 4つの候補がありましたが最終的にその中から 「アメーバピグ」 を移植しようという話になったんです。 実は最初からアプリとして開発しようと考えていたわけではなく,
Android標準のWebブラウザでアメーバピグを動かせないかという検証から始めました。AndroidはAdobe Flashをサポートしているので, とりあえず動かすことはできたのですが, やはり画面が小さいので使いづらかった。AndroidのWebブラウザに最適化したものを作るということも考えましたが, やはり難しいという判断になり, 最終的にアプリの開発に踏み切りました。 - ―― 実際の開発で難しかったのはどういった部分でしょう。
切通氏:やはりデザインですね。画面が小さい中で,
どれだけ使い勝手を高められるかというところで苦労しました。 馬場氏:
「アメーバピグ」 はクォータービューになっているので, それを画面上に再現すると四隅にスペースが生まれます。今回はその空いた部分にボタンを配置すると最初に決めました。あとは利用頻度などを考慮して配置を考えたり, デザインを新たに作り直したりといった作業を行いました。 - ―― 開発にはどの程度の時間がかかったのでしょうか。
馬場氏:実はAndroid版の
「アメーバピグ」 に専念した期間というのは少しだけで, メンバー全員がそれぞれ自分の仕事をしながら, 合間を縫って開発していました。開発にかかったのは2ヵ月でしたが, 実質的には1カ月もないくらいの時間ですね。ただ, 時間を十分に取れないということもあり, 最初にどの機能を移植するか, といった優先順位を明確にしていました。そのおかげで開発しながら試行錯誤するといったこともなく, スムースに作業を進められたと考えています。
超人気サービスのスマートフォンへの移植ということで,
続けて,
エンジニアとデザイナーの連携プレイでスムーズな作業を実現
- ―― Androidへの
「アメーバピグ」 の移植と普段の業務を掛け持ちされていたとのことですが, 時間の振り分けはどのようにしていたのでしょうか。 切通氏:当社の勤務時間は18時までなので,
そこまでは普段の業務をやって, その後でAndroid版の開発に取りかかるというイメージですね。 - ―― ということは,
Androidへの移植のために割いた時間というのはあまり長くはなかったということですね。 馬場氏:そうですね。私は当時,
「アメーバピグ」 上で提供するゲーム運営・ 開発にも関わっていて, そちらを最優先で仕事を進めていました。Android版に使った時間は1日に2~3時間程度です。ただ, リリース間際は本腰を入れて, 業務時間も使っていました。 切通氏:そもそも,
最初は完成するかどうかもわからなかったので, 業務時間内に作業するのがちょっと申し訳ないというか (笑)。それで通常業務が終わった後の時間で開発を進めていました。 - ―― プロジェクトを進めるにあたって,
工夫された点はありますか。 馬場氏:モックアップを作ったことです。普段の開発では,
ひととおりデザインが終わると紙に印刷したものでアートディレクターなどに確認してもらうのですが, デザインしたものをAndroid上のモックアップに当てはめて確認してもらうようにしました。イメージを伝えるための説明を省くことができ, 確認もよりスムーズに進みました。 切通氏:PC上で動作するアプリであれば社内メンバーも慣れていますが,
Androidにおいてはそれほど経験がなかったので, 最終的にどんなアプリになるのかイメージが掴みづらいという課題がありました。たとえばボタンの大きさにしても, これで本当に使いやすいのかどうかわからない部分があったのです。それで馬場がデザインしたものをベースに, モックアップを開発したんです。 - ―― 今後の課題があれば伺わせてください。
切通氏:実はAndroid版は根幹の部分についてはPC版と変わりません。ただAndroid版はプログラム自体がクライアント端末側にあるため,
PC側で何かしらのアップデートを行うと影響を受ける可能性があります。そのため, アップデートをユーザに通知するような仕組みが必要ではないかと考えています。今年の1月からは正式なプロジェクトチームとしてAndroid版の開発を進めることになったので, 今後もアップデートを続けて改良していきたいですね。
今回,
なお,
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バックナンバー
サイバーエージェントを支える技術者たち
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