サイバーエージェントを支える技術者たち

第19回“ファン待望のソーシャルゲームの開発を主導”――Ameba事業本部 ピグディビジョン 浦野大輔

浦野大輔氏
浦野大輔氏

インターネットの新たな潮流として、大きな注目を集めている「ソーシャルゲーム⁠⁠。単にゲームで遊ぶというだけでなく、プレーヤー同士の交流が楽しくてついつい時間を忘れてハマってしまうというユーザは少なくない。アメーバピグに新たに登場した「ピグライフ」も、こうしたソーシャルゲームの1つだ。今回はこのプロジェクトを主導した、アメーバ事業本部 ピグディビジョン デザイナー/プログラマの浦野大輔氏にお話を伺った。

誰でも楽しめるゲームとしてシンプルさを追求

―― まず、現在担当されている業務について教えてください。

2011年6月1日に正式リリースした「ピグライフ」というプロジェクトに所属しています。このサービスはアメーバピグ内のゲームコンテンツという位置付けで、釣りゲームとカジノゲームに続く3つ目のタイトルになります。

―― ピグライフはどういったゲームなのでしょうか?

アメーバピグでは自分のお部屋を持ち、着せ替えや模様替えを楽しめる要素がありますが、ピグライフでは個々のユーザごとにお庭とアトリエを持ち、ユーザはお庭でお花や果物などをそだてたり、収穫した作物をつかってアトリエで料理をして楽しむことができます。ピグ上の友だちのお庭を行き来してお互いに水やりのお手伝いをするなど、ユーザ間の交流を加速させる仕組みや「にんじんを収穫しましょう」「トマトサラダを作ってみて!」といったクエスト機能など、ユーザが更に深く長くサービスを楽しんでいただける要素を取り入れたソーシャルゲームです。

―― プロジェクトにはどういった立場で参加されているのでしょうか?

プロジェクトの責任者として、プロデュースとディレクション、それからFlash部分のクリエイティブも担当しています。プロジェクトは2010年11月からスタートし、今年の6月にサービスリリースしました。現在は12名のプロジェクトチームで運営しています。

―― 技術面で、従来の釣りゲームやカジノゲームとの違いはありますか?

ピグライフは従来のアメーバピグ内のゲームと異なり、独立したサービスになっている点がまず違っています。ユーザサイドから見ると、アメーバピグの新機能という見え方になっていますが、内部的には別ドメインでの運営です。また、バックエンドに「node.js」を使ったり、データベースにMongoDBを採用したりと、新しい技術も採り入れています。

―― ピグライフを企画する際、どういったところがポイントになったのでしょうか?

アメーバピグとの大きな違いとして非同期の仕組みを採り入れるということがポイントでしたね。非同期というのは、ログインするたびに何か変化する、ユーザがログアウトしても時間の経過とともに世界が動いている、というようなイメージです。アメーバピグは基本的にリアルタイムの世界で、あまり非同期の要素はなかったので、ぜひ新しい要素として組み込みたいと思っていました。

もう1つは、これまでの釣りゲームやカジノゲームよりも簡単なゲームにしようということです。釣りやカジノゲームは男性ユーザの支持が特に高いゲームですが、同じゲームでも女性により支持されるものを意識しました。基本はクリックだけで遊べてしまうというような感じですね。

―― ゲームシステムをシンプルにすると、逆に作るのは難しくなりませんか?

そうですね。そこは苦労した部分になります。意識したのは、1クリックごとに作業した感覚をきちんと盛り込むということです。たとえばお庭の畑を耕すときに音が鳴ったり、クリックしたことに対して細かくキャラクターをアニメーションさせたりといったところですね。

さらにアニメーションのテンポやレスポンス、サウンドエフェクトの気持ちよさなどといった表現の部分は一番力を入れました。

node.jsやMongoDBの活用など、新たな技術にチャレンジしつつ、既存のアメーバピグの世界観を継承している「ピグライフ⁠⁠。すでにプレイヤー数は100万人を突破しているとのことで、アメーバピグの新しいゲームとして定着するのは間違いなさそうだ。

続けて、浦野氏のこれまでのキャリアや今後のスキルアップについて伺った。

スマートフォン向けのアメーバピグやピグライフを実現できる技術に注目

―― ピグライフのプロジェクトをリードされたということですが、これまでにも同様のプロジェクトを経験されていたのでしょうか?

こういったソーシャルゲームのプロジェクトは初めてでした。ただゲームの開発という点で言えば、サイバーエージェント内にはたくさんの事例があります。アメーバピグの釣りゲームやカジノゲームもそうですし、あとは携帯電話向けのゲームも数多く開発しています。そういった過去の事例を参考にしてプロジェクトを進められたのは大きかったです。

―― それ以前はどういった業務をされていたのでしょうか?

アメーバピグのプロジェクトに立ち上げのときから参加していました。その中で、Flashのクリエイターとして何でもやっていたという感じですね。本当にゼロの状態からだったので、アバターを動かすところやさまざまなアニメーション、ここを押すと障害物を避けて歩くなどゲーム的なロジックも作りました。

あとは、外部の企業とのコラボレーションしたプロジェクトもいくつか担当しました。たとえばAKB48やテレビ朝日とコラボレーションして、新しいエリアを作ったりアクションを開発したりというものです。

―― サイバーエージェントには中途採用という形で入社されたとのことですが、以前はどういった企業に務めておられたのでしょうか?

主にキャンペーンサイトやコマーシャルなどを受託で制作する、開発デザイン会社でした。そこでもFlashを中心とした作業に従事していました。

―― 転職先としてサイバーエージェントを選んだ利用というのは、どういったところだったのでしょうか?

当時、インターネット上のメディアに興味があってさまざまな会社を見ていたのですが、サイバーエージェントはゲームやキャラクター、エンターテインメントなどの分野に強いというイメージがあり、その中でFlashをがっつり使ってさまざまなものを制作していました。当時、こうした企業は珍しかったので、面白いものが作れそうだなと魅力を感じていました。

―― 最後に、スキルアップのために個人的に取り組んでいることがあれば教えてください。

今はスマートフォン向けの技術を勉強しています。現在、アメーバピグやピグライフのスマートフォン対応も進めていて、それに関連する技術には注目していますし、頑張って習得していきたいと考えています。

アメーバピグの3つ目のゲームとなるピグライフを完成させたばかりの浦野氏。しかしそれに満足することなく、新たなプラットフォームとして無視できないスマートフォン対応へとすでに動き出しているようだ。アメーバピグ、そしてピグライフの世界をスマートフォン上で楽しめるようになる日を期待して待ちたい。

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