インターネット上で提供されるサービスの多様化が進み、女性向けを謳うものも珍しくなくなっています。こうした背景から、女性エンジニアの採用を前向きに取り組む企業が増えてきました。しかし、女性は出産や育児といった個人の事情から離職せざるを得なくなってしまうケースが少なくありません。企業の視点で考えると、成長した女性エンジニアの離職は大きなマイナスとなるでしょう。そこでサイバーエージェントでは、女性エンジニアの積極採用と同時に、女性が働きやすい環境の整備にも力を入れています。
ここでは、実際にサイバーエージェントで働き始めた3名の女性エンジニアに、同社に転職を決めた理由や職場環境についてお話を伺いました。
女性エンジニアとしての道を進むことになったきっかけ
今回お話を伺うことができたのは、いずれもサイバーエージェント ネットビジネス総合事業本部インキュベーション室に所属する山口さんと井上さん、そして永谷さんの3名です。さっそく、これまでのキャリアとサイバーエージェントに転職したきっかけについて伺ってみました。
「最初はB2B系の開発を行っていて、その後ネットサービスを提供している企業でB2C系のサービスの開発や管理といった業務を担当していました。このとき、もう少し自分でサービスを考えるところから仕事をしたいという思いが強くなっていきました。そう考えていたときに、サイバーエージェントがスマートフォン市場でたくさんのサービスを立ち上げるという話を聞いて、自分もそこに参加して力を付けていきたいと思い、転職を決意しました」(山口さん)
「私も最初はB2B系の開発業務に携わり、その後フリーランスのエンジニアとして働いていました。このフリーランスのときに、テレビ番組と連動したモバイルコンテンツの配信などを行うコンシューマ向けのサービスの開発に参加する機会があり、そのときに大勢の人に自分の作ったサービスを楽しんでもらえることのうれしさを経験しました。それがきっかけで、コンシューマ向けにサービスを提供している会社でエンジニアとして働きたいと思うようになり、サイバーエージェントに入社しました」(井上さん)
「前職はソフトウェアの開発会社で、Androidアプリケーションの開発なども行っていたのですが、その会社が経営不振に陥ってしまったんですね。自分としてはエンジニアのキャリアを継続したい、手を動かしていたいという思いがあり、サイバーエージェントへの転職を決めました」(永谷さん)
エンジニアという職種は、女性の比率は高まっているものの、まだまだ男性が多いというイメージを抱えている人が多いでしょう。そうした中で、エンジニアを目指すことにしたきっかけとは何だったのでしょうか。
「大学で金融工学を学んでいて、そこでプログラミングを経験したんです。そのときにモノを作る楽しさを実感しました。あと、エンジニアとして手に職を付けておけば(将来も)大丈夫だろうと考えたことも理由の1つです」(山口さん)
「私は『これからはパソコンを使えなきゃ駄目だろう』という安易な考えで、大学で情報科学部を選びました。最初はパソコンの電源ボタンの場所すらわからないような状況だったのですが、大学でCやJavaを学ぶうちにプログラミングを楽しく感じるようになりました。自分の思ったとおりに動くと『これだっ!』みたいな感覚です(笑)。そういった経験がベースとなり、自然とエンジニアとして働きたいと思うようになりました」(永谷さん)
このように、大学時代にプログラミングの楽しさに触れてエンジニアを目指すことになったという山口さんと永谷さんに対し、井上さんはまったく別のところから興味を持ったと話します。
「大学時代にパチンコにはまっていて(笑)、そのパチンコ台で使われているROMを開発したいという思いから、エンジニアの道を目指すことになりました。結局その夢はかなわなかったのですが、プログラミングを始めてみると、自分が作ったものが実際に形となって動くところにすごく魅力を感じるようになりましたね」(井上さん)
井上さんの動機は意外でしたが、プログラミングの楽しさが現在の職業に結び付いているという点では3名とも一致していました。エンジニアに限らず、職業人としてキャリアを積んでいくうえで、仕事を楽しめるかどうかは大きなポイントだと言えるのではないでしょうか。
目の前の作業に没頭できる「集中しMAXタイム」とは?
それでは、サイバーエージェントの職場環境というのは実際のところどうなのでしょうか。「自由度が高く働きやすい」と答えてくれたのは山口さんです。
「私たちの部署は立ち上げたばかりなので、すべてが自由なんです。たとえば開発の進め方や利用するミドルウェア、スケジュールなどがすべてプロジェクトチームに任せられています。もちろん、ただ自由というだけでなく責任も伴うのですが、自分の考えで動けるのですごく働きやすいですね」(山口さん)
一方で永谷さんは、新しく立ち上がった組織ならではの未完成な部分を垣間見ることがあると話します。
「本当に細かなところですが、たとえば関数の命名規則やコーディング規約も最初は決まっていなかったんです。ですので、ほかのプロジェクトチームも交えて話し合いをして、決定していくという作業から始めなければなりませんでした。そういった環境は経験がなかったので、最初は少し戸惑いを感じましたね」(永谷さん)
井上さんが話すのは「集中しMAXタイム」という、ちょっと不思議な名前が付けられた施策のメリットです。
「私たちが所属する部署では、「15時と17時にはチャイムが鳴って『集中しMAXタイム』が始まります。これは集中して仕事をしましょうという時間なんです。この時間内は、ほかの人に話しかけたり、内線への電話、Skypeでのチャットなどをお互いに控えて、静かに集中して仕事に励んでいます。この時間は本当にありがたいですね。あとはデスクも広いし、与えられるPCのスペックも高いし、ジュースも飲み放題だし(笑)。恵まれた職場環境だと思います」(井上さん)
集中して作業したいときに話しかけられて、集中力が途切れてしまったという経験を持つ人は多いでしょう。もちろんチームで働く以上コミュニケーションは欠かせませんが、一方で集中して作業するための時間も重要です。特に集中力が結果を大きく左右しかねないエンジニアという職種にとって、集中しMAXタイムの存在はありがたいものでしょう。
ちなみに彼女たちが働く職場では、深夜まで仕事をしていると帰宅を促すメールが送られるとのこと。特に女性の場合、深夜の帰宅が思わぬトラブルにつながる可能性もあるという配慮からのようですが、永谷さんは「もっと仕事を続けたいのにと思うこともありますよ」と笑います。
「担当プロジェクトが佳境に入ると、開発が立て込み、なかなか帰れないケースがどうしても出てくるのですが、特に女性には、帰宅時の安全という意味でも会社が気遣ってくれていると感じる機会が多いですね」(永谷さん)
前職と比べて業務時間がどう変わったか聞いたところ、「結構減りました」と答えてくれたのは山口さんです。
「前職は残業が多かったのですが、サイバーエージェントに転職してからは自分の時間を持てるようになったので良かったなと思っています。また、女性を対象にしたサービスも数多く開発されているので、そういった点でも女性エンジニアの強みを活かせる環境だと言えるのではないでしょうか」(山口さん)
女性エンジニアがのびのびと働けるサイバーエージェント
3名の個性がハッキリ出たのは、現在興味を持っていることは何か、という質問でした。クライアントサイドのアプリケーション開発にこだわりを見せる永谷さん、新しい開発手法を考えていきたいという井上さん、そして山口さんは新しい技術を盛り込んだおもしろいサービスを作りたいと、自分自身のこだわりを話してくれました。
「今はAndroidアプリケーションの開発がメインになっていますが、ゆくゆくはiPhoneにも手を出していきたいですね。今は各プロジェクトにAndroidとiPhoneのアプリケーションを担当するエンジニアが1名ずつ在席している状態ですが、いずれ私1人で両方とも対応できるようになりたいですね」(永谷さん)
「コンシューマ向けのサービス開発では、時間に余裕がない中でリリースしなければならないケースが多いんです。そうすると、どうしてもエンジニア一人一人の負担が大きくなってしまいます。こうした課題を解決でき、短納期ですばやくサービスを展開できるような開発手法を作れたらいいなと考えています」(井上さん)
「私は大ヒットするサービスを生み出していきたいですね。そこに技術者ならではのアイデアと新しい技術を組み合わせておもしろいことができたらいいなと考えています」(山口さん)
なお、山口さんと永谷さんは、女性のためのダイエットSNS「GIRLS UP」のサービス開発に現在携わっているとのこと。
「今までのダイエットって、1人でがんばって痩せるというイメージだったと思いますが、GIRLS UPはもうちょっと気軽に、友達とみんなでちょっとオシャレにダイエットに取り組めるように開発されています。女性ならではのかわいらしさを前面に押し出したサービスになっているので、ぜひチェックしてみてください」(山口さん)
「GIRLS UPのAndroid版を開発したのですが、たとえばロード中の画面でキャラクターが一所懸命走ったりとか、細かなところもこだわってかわいく仕上げているので、そういう部分にもぜひ注目していただきたいですね」(永谷さん)
女性をターゲットに、写真をメインにしたSNS「友だち年鑑」の開発を行っているというのは井上さんです。
「クラスに必ずいた派手系女子グループみたいな(笑)、そういうユーザをターゲットとしたサービスです。自分の友だちの写真を投稿して、友だち一人一人の年鑑を作るというもの。その友だちとの思い出を保存したり、その友だちのことをほかの人に自慢したり、といったことを楽しむサービスです。現在、夏休み前のリリースを予定しているので、友だちとの思い出が増える花火大会やお祭りといった今年の夏のイベントにはぜひ、多くの人に利用してほしいですね」(井上さん)
男性エンジニアの比率がまだ高いというサイバーエージェントですが、女性エンジニアの積極採用を進めているとのこと。実際に開発が進められている新規サービスも女性をターゲットとしたものが多いので、そういった点でも女性エンジニアの強みが活かせる環境なのかもしれません。このインタビューでは、女性エンジニアがのびのびと働いている様子が伝わってきました。今後の彼女たちの活躍に注目したいと思います。
- サイバーエージェント公式エンジニアブログ
- URL:http://ameblo.jp/principia-ca
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